ある月の晩に  何百年ぶりかの天体の不思議。写真にも残そうと・・あれ?ココはどこ?何が起こった?

ポチ

文字の大きさ
上 下
64 / 69

サヨウナラ、アラーナ領都  3

しおりを挟む


こうして、念話しながら彼等を見守る中円陣を組み戦っている5人の騎士。背中を預ける事の出来る仲間って良いよね。
たった5人だけど、優勢の様だ。うん、ゴロツキ30人と言えども、数の暴力は大きい筈。腐っても騎士。なかなかの手練れに見える。しかし、其の手練れよりも5人は強かった。まだ若いのに殺さず戦闘力を削いでいる。

この世界は手を切り落としてもスパッと切れていればポーションが有れば神経まで問題無くくっ付く。それがあるからか武器を持っている腕をスパ、スパと切り落として行く。大抵はそれで戦闘不能で転げ回っているけれど、それでも向かって来る者は両腕を切り落としている。出血死しない様に傷口だけ塞ぐか・・・その後くっ付くかは、知らない

こうしてクズラ以外の騎士達は戦闘不能になった。アワアワとしながら見ていたクズラ。逃げ道は無い。結界で囲っているから


「とうとう、貴方で最後ですね。クズラ様。まだ何か言いたい事が?」とリーダー格の騎士が

「う、うるさい!王家より使者が来ればお前達なんぞに好き勝手はさせん!」

「フッ、その王家が来るまでは領主。お前は何をされても文句は言えんな?」とニヒルに笑うアラーナ様。

「ヒッ!」と今更息を呑むクズラ

「馬鹿な人」思わず出てしまった

チラリとこちらを見遣り、また目線をクズラに移すと

「まぁ、お前なんかでも今すぐ居なくなれば領民達も困るだろう。見逃してやる。」刺す様な強い視線。殺気も込められたそれにズボンを濡らすクズラ

「そ、そんな強気で居られるのも今のうちだぞ!アラーナ、お前は平民となるんだ。何をされても文句は言えなくなるんだ!」

「ハァ。」ため息を吐き残念な者を見るアラーナ様

「アンタ、本当にバカね。今アンタの生命もそこに転がってる騎士もどき達の生命も、現アラーナ当主のアラーナ公爵様が握っているのよ?今直ぐ死にたいなら、私がヤッテあげるよ?ツマラナイモノは切りたく無いけど。それよりイライラの方が上だし、このままアンタ生きてたら他の人が迷惑しそうだし。」我慢出来無い私はスッとクズラの首筋に三日月〇〇を押し当てる。血がツーッと落ちる。

「や、やめろーーー、辞めてくれ!」
狼狽え無様を晒すクズラ。余計に出血した

「暴れないで。首、ちょん切れるよ?アンタは、アラーナ様を奴隷にしようとした癖に何言ってんのよ。」

「いや、平民だ。奴隷はその後に・・あ、イヤ、違うんだ!俺のペットにしようと、美しいモノを虐めるのが好きなだけだ!」

「あーあー、アンタの趣味はどうでも良い。てか、まさかアンタの館に居ないでしょうね?そんな不幸な人」

「いや、寧ろ私が求められて『もう良い。お互い両想いなら』・・・」


アラーナ様は苦笑いしながらクズラを見て

「では、私は行く。さらばだ。もう2度とこの国には戻って来ない。」
くるりと踵を返すと馬車に歩いて来られるアラーナ様。いや、もうアラーナの名は捨てられたのだ。後でお名前聞いておこう。


と、そこで門近くになって兄を心配して外を見守って居た15歳くらい?の少女が馬車から飛び出し

「お兄ちゃん!!」と飛びついて行く。

「ああ、心配かけたな。もう大丈夫だぞ。」とそっと妹さんを抱きしめる
うんうん。ありそうな展開でも涙が出る。良かったね。コレで売り飛ばされずに済む

騎士達と共にもアラーナ様は馬車に乗られた。

最後に残った私達は

「あ、そう言えば彼等が居なくなったらモンスターや諸々アンタ達で対処するんでしょ?大変ね。まぁ、頑張って!5人に出来た事だもの大勢居ればなんて事無いもんね。ほら、手向けに手はくっ付けといてあげる。黒鉄!」と声をかけヒールで治してやる。すると


「ヲフ、ヲフッ!ワヲーーーーン」と黒鉄が吠える。それに呼応して、馬車から降りて来た狼父さんと、母さんが揃って

「「ワヲーーーーン!!!」」と遠吠えると存外近くから
「「「「「ワヲーーーーン」」」」」
と返って来て、狼の群れが出て来た。どうやら父さん、母さんの仲間が探しに来てくれた様で居並ぶ様は圧巻だ。カッコいい!

「「「「「「グルルルルゥ」」」」」」

「「「「「ギイャーーーーー!」」」」」

周りに居た騎士達はギャラリーとなっていた民達も皆一目散に門の中に入って行く。



「さっ、行こっか!」と私たちは幾分スッキリとして馬車に乗り込んで行く。ゾロゾロと。仲間の狼達と共に。











しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

超文明日本

点P
ファンタジー
2030年の日本は、憲法改正により国防軍を保有していた。海軍は艦名を漢字表記に変更し、正規空母、原子力潜水艦を保有した。空軍はステルス爆撃機を保有。さらにアメリカからの要求で核兵器も保有していた。世界で1、2を争うほどの軍事力を有する。 そんな日本はある日、列島全域が突如として謎の光に包まれる。光が消えると他国と連絡が取れなくなっていた。 異世界転移ネタなんて何番煎じかわかりませんがとりあえず書きます。この話はフィクションです。実在の人物、団体、地名等とは一切関係ありません。

異世界無宿

ゆきねる
ファンタジー
運転席から見た景色は、異世界だった。 アクション映画への憧れを捨て切れない男、和泉 俊介。 映画の影響で筋トレしてみたり、休日にエアガンを弄りつつ映画を観るのが楽しみな男。 訳あって車を購入する事になった時、偶然通りかかったお店にて運命の出会いをする。 一目惚れで購入した車の納車日。 エンジンをかけて前方に目をやった時、そこは知らない景色(異世界)が広がっていた… 神様の道楽で異世界転移をさせられた男は、愛車の持つ特別な能力を頼りに異世界を駆け抜ける。 アクション有り! ロマンス控えめ! ご都合主義展開あり! ノリと勢いで物語を書いてますので、B級映画を観るような感覚で楽しんでいただければ幸いです。 不定期投稿になります。 投稿する際の時間は11:30(24h表記)となります。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊

北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。

俺は普通の高校生なので、

雨ノ千雨
ファンタジー
普通の高校生として生きていく。その為の手段は問わない。

【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~

みやま たつむ
ファンタジー
【本編完結しました(812話)/後日譚を書くために連載中にしています。ご承知おきください】 事故死したところを別の世界に連れてかれた陽キャグループと、巻き込まれて事故死した事なかれ主義の静人。 神様から強力な加護をもらって魔物をちぎっては投げ~、ちぎっては投げ~―――なんて事をせずに、勢いで作ってしまったホムンクルスにお店を開かせて面倒な事を押し付けて自由に生きる事にした。 作った魔道具はどんな使われ方をしているのか知らないまま「のんびり気ままに好きなように生きるんだ」と魔物なんてほっといて好き勝手生きていきたい静人の物語。 「まあ、そんな平穏な生活は転移した時点で無理じゃけどな」と最高神は思うのだが―――。 ※「小説家になろう」と「カクヨム」で同時掲載しております。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

異世界楽々通販サバイバル

shinko
ファンタジー
最近ハマりだしたソロキャンプ。 近くの山にあるキャンプ場で泊っていたはずの伊田和司 51歳はテントから出た瞬間にとてつもない違和感を感じた。 そう、見上げた空には大きく輝く2つの月。 そして山に居たはずの自分の前に広がっているのはなぜか海。 しばらくボーゼンとしていた和司だったが、軽くストレッチした後にこうつぶやいた。 「ついに俺の番が来たか、ステータスオープン!」

処理中です...