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サヨウナラ、アラーナ領都 2
しおりを挟む門の所で引き継ぎをし、最後の任務となる為別れの言葉を告げる5人の騎士。
対する、交代で来ただろう騎士達は嫌らしいニヤニヤとしたとても高潔には見えない同僚達。彼等はちゃんと仕事して居るのだろうか?だらけた感じで歩き方もゴロツキのようだ。下手したら盗賊より下卑た印象がある。
「あー、お前らなに何処か行こうとしてんの?引き継ぎ終わったらコレからまだ門番の任務だろ。」薄気味悪いにやけた顔で見て来る騎士達。
「ああ、お前は俺の代わりな。ヒヒッ」と5人の騎士の内の1人の肩を掴もうとして来る。 他の騎士達もそれぞれが自分達の仕事を押し付けようとして居る様だ。
「私達は、今の任務で最後となる。だからもうお前達の代わりはやらない。自分の仕事は自分でやれ」
「あらら~、そんな事言っていいのかな?お前の大切な妹ちゃん。パン屋で働いてるよな? そろそろ、女としても役に立つかなぁ?まぁ、色気は足りないがな?」とますますニヤニヤして気持ち悪い。手が自然と刀に掛かる。が、我慢出来ない。かも
せめて、殴りたい
「妹の事なら心配御無用だ。」
「おっと、強気だな。どうなっても知らないぞ?若い女が好きな奴はたくさん居るんだヒヒヒッ。
お前の妹以外にも、お仲間さんがまだまだ居たよな? 俺たちと仲良くさせた後は、まぁ、王都も近いし?此処でも良いし、高級から最低ランク迄娼館もあるからなぁ。楽しみだな?なぁ、お前ら」
「そうっすね。すげえ、楽しみです。ウッハハハハ!」
うわー、全員キショい。滅びろ
「では、失礼する」5人の騎士達は相手にせずそのまま去ろうとした。うん、何やかんや言うよりその方が良いね。私も見習わなきゃ
「おい、こら待て!!なに無視してんだ!身の程を弁えろ!」とゴロツキ以下騎士が叫ぶと
「何をしておる騒々しい!コレから大事な使者が来るのだぞ!しっかりしろ!!!」
とかなり役職としては上の立場の者だろう。尊大な態度で威張り散らした感じのとても悪人顔の煌びやかな軍服を着た者が来た。
「ハッ。申し訳ありません。クズラ様。コイツらが騎士は辞めたから最後の任務だと行こうとするものですから。」
「何を言っておる。コイツは妹がおるだろう。それに他の仲間もな。そいつらを連れて来い!どうとでもなる。」
クズの上官?親玉?は、やはりクズ。思考回路も同じの様だ。
「間も無く、王都より使者が来るのだぞ!いよいよアラーナ領は私の物となるんだ。コレからは好きに出来る。さっさとしろ!」
「お言葉を返す様ですが、私達の離職はアラーナ公爵様にも受理されています。それに、クズラ様にも、書類が出されて居る筈です。
5人分の・・・この前私に、印を推して出しておけと言われたではありませんか。いつもいつも、能無し、いつだって首に出来るんだぞ!って言ってたじゃ無いですか。」淡々とした声音で返す騎士。
「私もそうですね。早く辞めてしまえって。アラーナ様が領主で居られるのもあと少しだ、やっとお前達を追放出来るな!って言ってましたよね?」
「私もです。いつも脳なしが、って言いながらご自分の仕事を押し付けてましたよね?もう直ぐ、クビにしてやるからそれまでは騎士でいさせてやる。ありがたく思えって・・・脳なし、能無しってそれとクビだって事しか思い付かない貴方の方が仕事も出来ない本当の意味での能無しでしたよね。」
「ふざけるな!」と怒鳴るクズラ。
「ああ、今迄は貴方が上官でしたから何も言えませんでしたが、ここに居る私達はあなた方より事務能力も剣の腕も上ですよ。」と冷静に切り返す
「っ、このヤロウ!お前達コイツらはもうただの平民だ!!痛め付けて立場を分からせてやれ!死んでも構わん」
「「「「「「御意!」」」」」」
相手側はクズラに伴って来た者を併せると30人程。対して出て行く騎士達は5人。
ニヤニヤとしながらこちらを見下しつつ剣を抜き放って来る。
「下がっていて下さい。」と剣を構える騎士5人。凄い人数差が有るけど大丈夫かな? 危なくなったら手を貸そう。皆んなとアイコンタクトする。念話するまでも無い。
「ホラ、跪いて命乞いするなら今だぞ?可愛い、可愛い妹ちゃんは、お兄ちゃんが居なくなったらどうなるのかなぁ?」
ニヤリと嫌な笑みを浮かべ切り掛かってくるダメ騎士達。
内心かなりイライラして思わず刀を抜くと
「待ってやってくれるかな?彼等だけでケリをつけさせてやりたいんだ。もう、ずっと彼等には我慢させて来てしまった。不甲斐ない私のせいで。」
「アラーナ公爵様。出ていらして大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ。彼等、王家にちゃんと伝えて行こうかと思ってね。アラーナ領は王家にお返ししますとね。王都にわざわざ捕まりに行くのは嫌だけどね?」とフッと笑う
「お前達、我慢しなくて良いよ。本気でいけ」アラーナ様が騎士達へと声をかける
「アラーナ!!!お前何でこんな所に居るんだ!」
「おやおや、騎士団長は主人に対する作法を失くしたのかな?」
「うるさい!もう直ぐ俺がアラーナ領主だ!お前なんか俺がどうとでも出来るんだ!今日中にでも王家から書状が届くんだからな!」
「なるほど?じゃあ、私はアラーナ公爵位はお返しするよ。もう必要無いからね。それとこちらを王陛下に届けておく。」と封蝋された立派な書状を見せる。
「お前達!公爵、いや元公爵も一緒に切り捨てろ!王女殿下からは許可を得ている。この、新アラーナ公爵が命ずる!」
おやおや、爵位って価値がこんなに低いのかな。この国は何でもありだな。本当にギリギリだったんだなぁ。
『何か、本当にやりたい放題だね。』と皆んなに話しかける。
『ああ、異世界だけどコレは普通では無いだろうね。』と優さん
『俺、厩務員クビになっててよかったよ。こんな事しかやらない主君なんて真っ平ゴメンだからな』と眉を下げたガントさん
『ケッ、胸くそ悪いな。俺もあれ以上武器、防具と納めずに済んで良かったぞ。アイツら、大丈夫かなぁ。』と親父さん。王都にまだ居るであろうお弟子さん達が心配なんだろう。
『ふふっ。心配無いですよ。彼等もちゃんと王都から脱出してますから』とヨワヒムさん。
『本当か!良かった。』
『良かった!』琥珀もホッとした様だ。
『もう直ぐ合流出来ると思いますよ。』
ヨワヒムさんは連絡を取り合っていた様だ。
ホント、この国終了しそうだね
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