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ドラゴン母さんを探して
しおりを挟む昼休憩の後出発してかれこれ2時間。まだまだ森の浅層部分だ。しかし、小動物だけでは無く鹿や猪も見かけるようになってきた。モンスターも居るけれど、レオは流石魔淵の森から人々を守護する公爵家の子息、流れる様な剣捌きで倒して行く。まだまだこの辺りは弱いモンスターらしい。
私にも、剣での戦い方を教えてくれながら警戒もしてくれてとてもありがたい。そして、モンスターが出始めてから気付いた事がある。レオンやクロ、モモも戦えると言う事に。しかもかなり強い・・・いつの間に?私も早く追いつかなくちゃね。
レオからは、取り敢えず自分の身が守れているからそれで大丈夫だと言われたけれど自分だけ戦えないのは嫌だ。剣は難しいから近接戦の練習を教えて貰いつつ、魔法を使いこなせるように頑張ろう。試行錯誤しながら。
自分に余裕があれば無駄な戦いはしなくて済むかもしれないしね。
そんなこんなで進んで行った。
ヘビもとい、ドラゴンベビーの母さん探し。
森は段々と深くなり、樹々も大きな物が増えて来た。幹は太く両腕が回らない太さになり葉もしっかりとした大きさと緑が濃い物が増えて来た。
時折出てくるボアも普通のボアからBIGボアとなり、鹿もディアイラというモンスターになった。他にも蜘蛛のモンスターや木のモンスター、と色々なモンスターと遭遇する様になった。
ゴブリンとオークの定番?モンスターも良く出て来たけれど、向かってくる物とだけ戦ってそれ以外はスルーだ。
向かってこないモンスターなんているのかなと思っていたけれど全部が全部敵対してくる訳では無いようだ。勉強になりました。
遭遇するモンスター全部と戦っていた訳では無いけれど、結構な数になった。インベントリがあって良かったよ。
こうして進んで2日目の事。空を大きな空色の美しいドラゴンが通過した・・・
めちゃデカいけど話出来るかな?何か殺気立ってたよ。
きっと、このカフェオレ色の手足が短いヘビもどき、ドラゴンベビーちゃんのお母さんだね・・・失った卵を探しているに違いない
どうすれば良いかな。ヘリコプターなんて無いし、たけこ○ターなんて物も無いし。ドローンじゃ無理そうだし空飛ぶ魔法。
うーーーん、困った。いや、そうでも無いのか、頭は丸く。柔軟な考えを持とう。出来ないと思うから出来ない!想像魔法は自分の想像を形に出来るはずだ!
そう思い、皆んなとも相談しながら
自分達を結界で覆いつつ好きな方に上下左右自在に移動出来る。そして踏ん張りも出来るような魔法を!と念じた。今回はクリエイトするのにめっちゃ疲れたけれど何とか浮く事が出来た。
そして皆んなで動けるように練習した後木の上に出てみた。ドラゴンベビーちゃんは私が抱えてレオが守ってくれている。
殺気だったドラゴン母さんと話ができる事を祈ろう。ベビーちゃんには見える所に居てもらっている。コレで攻撃はして来ないよね?頼むよ?
ウロウロと旋回したりしながら探しているドラゴン母さんを発見。少し低めに飛びつつ匂いも確認しているようだ。上に出た事もあってかこちらに向かって来た。視認出来たのか物凄いスピードだ!!怖いよーー
『グルルルルァーー!!!』咆哮しながら睨んでくるドラゴン母
『お母さん??僕貴女の子供?会いたかったよーー!母さん!この人達は僕の事助けてくれただけなの!味方だよ。落ち着いて、母さん!!』
『ソレはホントウカ?ニンゲン』
響き渡るドラゴン母さんの声。まだ興奮しているようだ。当たり前だが・・・
「本当です。この子から一緒に居たいと寄って来たのです。そして母さんと離されてしまったと。母さんに会いたいと聞いて貴女を探していました。貴女の元にお返しします。どうか近付く事を許して下さい。」
ドラゴン母さんの金色の美しい瞳から涙が溢れる。
『勿論だニンゲン。早く近くに来て。』
その時、『ガアーーーーーー!!!』
と、別の場所からもう一体ドラゴンの咆哮が響く。
『待って!!!そのニンゲンは私達のベビーを連れて来てくれただけみたい。今坊やと話したわ!』
『ソレはホントウカ?』
と未だ殺気を迸らせ乍らどうやらドラゴン父さんであろうブラックドラゴンが赤い目で睨んで来る!!!
こ、怖ーーーい!今日が命日かも知れない
『本当だよ!!父さん?僕がお願いして父さんと母さんの所に連れて来てもらったの!だから攻撃しないで!』
『勿論だ。私達の可愛い坊が居るのに攻撃しない!早く顔を見せておくれ!』
父さんと母さん。2体並んでホバリングしている。
「今から其方に行きますね。まだこの子は小さいです。しっかり抱っこしてますが出来るだけ羽ばたかないでくださいね。」
お願いしてから近付く。父さんも母さんも愛し気にベビーを見つめている。そりゃあこんな状態になるならドラゴンを狩るのも簡単になるね。ベビーを育ててテイム出来ればまた良しだしね。違法でもこうして密売人が暗躍するのも分かるけど、分からんわ!!親から子を離すな!親の頭もおかしくもなるわ!今回、ベビーちゃんがすぐ話せて分かってくれようとしたから私達は無事だった。隠している所を見つかれば・・・想像もしたく無い!
両親の元へ連れて行くと親に比べて豆粒の様に小さいけれど、両親からの愛を感じる。こちらまで幸せになった。良かった本当に。
ドラゴンは大きすぎて私の視界には鼻しか入らないけれど。
「ドラゴン父さん、母さん。この子をあなた達にお返ししたいけれどどうすれば?」
『ああ、ありがとう。私達が人化しよう』
そう言うと父さんと母さんは下に降り始めた・・・
「俺たちも降りよう。」レオの言葉にハッとなり私達も下に降りた。
アレ?ドラゴン父さん母さんが居なくなった!?
と思って居たけれど、私達が降りた所にめっちゃスラリとした男女が寄って来た。
「改めて礼を言わせてくれ。俺たちの子供を助けてくれてありがとう。」
「いいえ、私達は最初は置いていこうとしていました。ソレでもこの子が一緒に連れてって!と追いかけて来たんです。この子の頑張りです。赤ちゃんなのに偉いね。」
とベビーちゃんを撫でると満更でもなさそうにしながら
『うん、貴女達なら大丈夫と思った。』
ときっとキラキラの笑顔なんだろうなって感じさせる声で応えてくれた。
「どうか、お礼をさせて下さい。」と言う御両親に
「ソレなら、私達拠点を作りたいんです。出来ればそこに住みたいんですけど・・・他のドラゴンさん達やモンスター、動物達の邪魔にならなくて、平らな住みやすそうな所が有れば教えて欲しいんですけど。」
と伝えると。
「そうね、沢山の人間がやって来るの?」
と母さんドラゴンに聞かれた。
「いいえ、私達だけです。時には他に数人の人間は来るかも知れませんが基本私達だけです。 出来ればこの魔淵の森の中でも奥深く、泉や川等有ればもっと良いのですが・・・」とレオが答えてくれる。
「分かった。あなた達だけならば良いだろう。しかも奥深くね・・・モンスターもかなり強くなるが大丈夫か?」と父さんドラゴン
「はい、私が結界も張れるので大丈夫です。ソレと凶暴化してしまい森の外に出そうなモンスター達は間引く事にはなりますが・・・」
「うん、ソレは構わないよ。凶暴化してしまうと他の生き物にも被害が及ぶからね。森の浅い所ならば人の集落が出来ても大丈夫だよ。深い場所で街を造らなければね。」
「俺たちが乗せて行ってあげよう。うちの子を頼むね?」とドラゴン父さんが
「ありがとうございます。よろしくお願いします。」
良かった。ソレに、浅い所なら村程度なら作って良いみたいだね。ソレはおいおいだな。
先ずは、初めてドラゴンさんに乗せてもらうことに。緊張する!風は風避けの魔法があるとして、何処に捕まれば?と思っていたら既にお空に・・・いつの間に?
『私達は転移でそのまま上空に上がり同時にドラゴン化するんだ。』と父さん。
隣を見ると優雅に飛ぶドラゴン母さん。とても綺麗だ。人の姿もドラゴンの姿も。
そして、不思議と私達はワンコ、ニャンコ含めて落ちずに父さんの首近く?に居た。何だかシートは無いのにシートに凭れた感じだ。適度な柔らかさがある。不思議。
『落ちないように、結界を張ったからね。大丈夫だよ。』父さんの深みのある声が落ち着く。
ベビーちゃんは両親に会えて安心したのかホヨホヨした感じに寝ている。良かったね。クスクスと笑いながら寝顔を見る。
深淵の森奥深く。どんな所だろうね。楽しみだ。まぁ、森なんだけどね
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
久しぶりの投稿となりました。読んで下さりありがとうございます。
また、エールをくださった方。本当に嬉しかったです。ありがとうございました🌸
まだ読んで頂けると嬉しいです。よろしくお願いします✨🌸
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