何度目かの恋もサヨウナラ、ざまぁは致しません。自分の幸せを探します

ポチ

文字の大きさ
上 下
2 / 55

分かっていたのに

しおりを挟む

ドレスを脱ぐのも一苦労だった。よく脱げたと思う。やっとの思いで脱ぎ終わり眠る支度が済んだ頃・・・

ガタンッ!

ハッ!怖い!公爵家の敷地内である為危険はないはずだ。しかし、離れといえども大きな屋敷。ただ独り過ごすには怖かった。
いずれにせよ、ワンピースを着ていて良かった。それしかなかったのだ。


「アリアーナ!居ないのか!!」

あ、お父様・・・夜会が終わったのかしら
早く、早く行かなくちゃ。
急ぎ、父の元へ行こうとするも、足が縺れる。

「はい、ただいま参ります。」



「遅い!何をしておるのだ!それで良く王太子殿下の婚約者が務まるな!!」其処には、執事を引き連れたお父様がいた。灯りを持つ侍従も付いている。


「申し訳ございません。」

「本当に母親にそっくりだな。フンッ。まあ良い。お前が、ソフィアを虐げてきたのはイライザとソフィアから聞いているから知っている。だが、王太子殿下の婚約者であったから今までは、許されてきたのだ」

「わ、私はその様な事は本当にしていないのです。信じてください、お父様。」

「何を抜け抜けと、まだその様な事を申すか!イライザとソフィアが泣きながら教えてくれていたのだぞ!!」

「本当に、違うのです。」
パンッ、頬が燃える様に熱い。よろけて倒れると涙が溢れてきた。お父様にとって私の言葉は何よりも軽いのだ。

「フン、いつまでもしつこい、黙れ!もうその様な事はどうでも良いわ!今宵の事を受けてソフィアが第二王太子妃になる事が決まった。あの会場に居た者達は皆分ってくれた。ソフィアがどれだけ素晴らしい令嬢であるかな。

王太子殿下が婚約者にとあの場でおっしゃったのにも関わらず、ソフィアはお前を庇っておったのだ!だから、まだお前は婚約者のままで居られるのだ!ソフィアに感謝しろ!

お前が、王太子殿下の第一婚約者で居られるのも時間の問題かもしれぬがな!

、仕方ないからお前をこの離れに置いてやる。そうでなくなった場合は分かっておるな?」
と、見なくとも冷えた眼差しを感じる。

「・・・・・」
何と言えば良いのか。本当に愛情が無いのだろう。知っていた筈なのに、突きつけられると胸が痛い。
イライザとソフィアへ向けられる眼差しはお母様と私には向けられた事がなかった。

「分かり、ました。」

「分かれば良い。その時は直ぐさま出て行くのだぞ!ツーリフ公爵家の名を語る事は許さぬ。良いな?」


「・・・はい」


足音高く出て行くお父様。執事と侍従が付き従う。涙がこぼれるも、泣いている暇はない。いつ出て行く事になるのか分からないのだから。次の夜会の前だろうか?

次の夜会は、王城である。年に一度、国内の全ての貴族が集う夜会だ。その時は他国からも来賓がある。そんな所では婚約は解消されないだろう。やはりその前か?

どうやら、公務のお人形も要らないらしい。いや、次の夜会までは、必要としたのだろうか。慌ただしくなる筈だから。


私にとっては、その方が良い。忙しくして、そしてそのままサヨウナラの方が・・

リーゼファルト様が私以外の女性ひとを側に置くその姿を見なくて済むのだ。


そう、私は、リーゼファルト様をいまだに愛しているのだから
何度も、ソフィアと仲睦まじく歩く姿を目にしていても。突き放されたとしても


まだ、彼を愛している











しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

伯爵令嬢の秘密の知識

シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

嫌われ聖女さんはとうとう怒る〜今更大切にするなんて言われても、もう知らない〜

𝓝𝓞𝓐
ファンタジー
13歳の時に聖女として認定されてから、身を粉にして人々のために頑張り続けたセレスティアさん。どんな人が相手だろうと、死にかけながらも癒し続けた。 だが、その結果は悲惨の一言に尽きた。 「もっと早く癒せよ! このグズが!」 「お前がもっと早く治療しないせいで、後遺症が残った! 死んで詫びろ!」 「お前が呪いを防いでいれば! 私はこんなに醜くならなかったのに! お前も呪われろ!」 また、日々大人も気絶するほどの魔力回復ポーションを飲み続けながら、国中に魔物を弱らせる結界を張っていたのだが……、 「もっと出力を上げんか! 貴様のせいで我が国の騎士が傷付いたではないか! とっとと癒せ! このウスノロが!」 「チッ。あの能無しのせいで……」 頑張っても頑張っても誰にも感謝されず、それどころか罵られるばかり。 もう我慢ならない! 聖女さんは、とうとう怒った。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

僕は君を思うと吐き気がする

月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。

十分我慢しました。もう好きに生きていいですよね。

りまり
恋愛
三人兄弟にの末っ子に生まれた私は何かと年子の姉と比べられた。 やれ、姉の方が美人で気立てもいいだとか 勉強ばかりでかわいげがないだとか、本当にうんざりです。 ここは辺境伯領に隣接する男爵家でいつ魔物に襲われるかわからないので男女ともに剣術は必需品で当たり前のように習ったのね姉は野蛮だと習わなかった。 蝶よ花よ育てられた姉と仕来りにのっとりきちんと習った私でもすべて姉が優先だ。 そんな生活もううんざりです 今回好機が訪れた兄に変わり討伐隊に参加した時に辺境伯に気に入られ、辺境伯で働くことを赦された。 これを機に私はあの家族の元を去るつもりです。

君は妾の子だから、次男がちょうどいい

月山 歩
恋愛
侯爵家のマリアは婚約中だが、彼は王都に住み、彼女は片田舎で遠いため会ったことはなかった。でもある時、マリアは妾の子であると知られる。そんな娘は大事な子息とは結婚させられないと、病気療養中の次男との婚約に一方的に変えさせられる。そして次の日には、迎えの馬車がやって来た。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

処理中です...