何度目かの恋もサヨウナラ、ざまぁは致しません。自分の幸せを探します

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私は何もしておりません。

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「きゃっ!」
あ、大丈夫?と手を伸ばそうとする私
パシンッ!  
「痛っ・・」何故私の手が痛いの?

「何をしている!貴様!」と、私を睨みつける婚約者。 王太子のリーゼファルト様

わたくしは、危ないと思ったから手助けしようと・・・」

「怖かったですぅ。くすんくすん」と煌めく涙を拭いながら我が婚約者に縋り付く義妹。

「何を言っている!今、ソフィアを突き飛ばしたな!」と怖い顔で睨んでくる

「そんな事は、ございません!心配しただけですわ」ただ、ただびっくりした

「近寄るな!いくら、義妹だからと、そこまで悪様にするなど・・・ハァー。見損なったぞ。本当に、ソフィア穣が言っていた通りだったのだな。」

「本当に、突き飛ば・・し・たりなど・・・

『煩い、お前の顔など見たくない!去れ!』 しておりません。」

「リーゼファルトさまっ。お姉様は、傷付いていらっしゃるだけなのです!お母上を亡くして、お父上まで取られるのではと・・
だから私に冷たく当たっておられるだけなのです。だから、許してあげて下さいませ。」

「ソフィアは、優しいな。冷たく当たられているのに・・・それでも、このどうしようもない義姉を庇うなどと・・・」

「いえ、私もお義姉様が怖くて、いつもみたいに打たれるかと・・うっかり、リーゼファルト様に縋ってしまいました。申し訳ありません。大丈夫ですので・・・」とポロリと涙をこぼす。

知らないい者が見ればいつも義姉に虐げられる義妹。それでも健気に義姉を庇う儚くも優しい令嬢、そう見えた事だろう。

そこへやって来た公爵当主であるお父様。

「アリアーナ!・・・お前、ソフィアを虐げて居たのか!!!」

「っ!!違います。お父様。私・・は」

「黙れ!兎も角、殿下のご命令だ。去れ」

リーゼファルト様とお父様。2人からの凍てついた眼差しに凍り付きながらも無意識にカーテシーをする私。

「早く、去れ」と、低く怒りの籠った殿下の言葉に俯き頭を下げ、そのまま会場を後にした。 胸が張り裂けそうだった。

後を追いかけてくる、ソフィアを労わる声。義姉である私への怒りの籠った声。
どうしてこうなったのかしら。私、本当に何も悪い事はして居ないのに・・・

急ぎ、馬車を探すと紋もなく、質素な馬車が目の前に。馭者が痛ましい者を見る目で
「お嬢様、旦那様からのお言葉で帰りはこの馬車でお帰りくださいと・・。」


「分かりました。ありがとう。頼むわね」

帰りの馬車の中、独り声を殺して泣いた。お母様が亡くなり、喪も開ける前にお父様が連れて来た義母と義妹。血が繋がり歳が同じと言う事は、そう言う事だ。いつも帰りがまばらで遅いお父様。
お母様は、きっと知っておられたのだろう。私に秘密の鍵を渡してくれていた。



「愛するアリアーナ。本当にどうにもならなくなった時、この鍵を使いなさい。場所は、外の桜の木。分かったわね?誰にも言ってはいけないわ。
必要な時が来たら、鍵を使える様になるから。」

「お母様・・・逝かないで。」

「ごめんね、アリアーナ・・・愛しているわ。ずっと。愛している」

最期に優しく微笑み逝ってしまわれたお母様。私は、お母様には愛されていた・・


今は、まだこの鍵を使うのは早いのかしら。きっと、殿下と私の結婚は辛いものになるだろう。ズキズキと軋む胸の痛みを抱え涙する。

それでも、この10年、王太子妃教育を受けて来た。無駄にしてはいけない。 明日からも、公務が待っている。王太子殿下が下げて来る仕事。また、冷たい目で見られるのだろうか?最近、私と過ごす時に時折感じた冷たさ。そして、庭園をソフィアと仲睦まじく散歩する姿を良く見かける様になった。それでも、公務はこなさなくてはならない。重い気持ちを引き摺りながら着いた場所は・・・



「お嬢様・・・申し訳ありませんが今宵からこちらの離れを使う様にと旦那様から」と、とても申し訳なさそうな顔の馭者が伝えて来る。

「・・・分かりました。貴方のせいではありません。気にせずとも良いのですよ。ありがとう。」

「お、お嬢様。申し訳ありません・・」
と涙を流す馭者の心が嬉しかった。

「ありがとう。もう、お行きなさい。貴方が叱られるわ。」

馭者を帰し、独り真っ暗な離れに入る。今日からは、ここが私の過ごす場所ね。
其処は、急ぎ整えてくれたのか、私が使うであろう部屋、寝室と、バスルーム、クローゼットも最低限ではあるが登城もする為ドレスも入っていた。型遅れではあったが。

殿下と、お父様から冷たくされる私にはもう、遠慮などしないと言う事なのだろう。
義母の父に甘える声と、私の事を有る事無い事伝える声。それに義妹も加わり泣きつくその様が思い出された。
前からお父様は、私には冷たかった。3人の輪には入れなかった・・・


それでも、私は王太子殿下の婚約者。ただそれだけで私にも、何とか接してくれていたのだろう。でも、先程、王太子殿下から冷たく突き放され、『去れ』とまで言われた。 義妹も、同じ公爵令嬢。第二王太子妃にでも据えるつもりなのかもしれない。


だって、公務をこなす人間が必要だもの


それだけの、お人形











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