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出産は大変世の女性に敬意を

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エリックと妖精に助けられ、逃げてきたのが山奥にあった山小屋だと分かったのは数日後。
あんな事があった後だし、俺は妊婦なので小屋で安静にすることにした。
幸い、動けるエリックが居たおかげで食料調達には困らなかったので本当に感謝しかない。

「そういえば何で俺があの屋敷にいるって分かったんだ」
「匂いを辿ってきたんだ。僕の嗅覚舐めちゃだめだよエヴァ」
「ああ・・・そういえば犬だったねエリック・・・」

お腹も大きくなりいつ出産してもおかしくない。
それにしても、一つ気になったことがある。
どう考えてもお腹が膨らむ速度が早すぎるのだ。妊娠が発覚してからまだ2ヶ月と経っていない。にも関わらず、もはや妊娠後期と言われてもおかしくないほど腹は膨らんでいる。

『エヴァは両性だからね。普通よりも妊娠や出産の速度が早いんだよ。それにここは物語の中の世界だよ?何が起きても不思議じゃないって』
「お前全部それで済まそうとしてない?ご都合世界すぎだろ」
『とにかく、エヴァは今身重なんだから安静にしてなきゃダメだよ』
「はぁ・・・まあ、そうだな」

本当はここもいつ見つかってもおかしくなかったから、出来れば早めに逃げたかった。
でも、俺の体調のことを心配してエリック達は落ち着くまでここで過ごそうと考えてくれてたみたいだ。
そして、出産の日は案外早く来た。

「っ"~~~…!!!??い"ッだぁッ~~~……!!!??」
「エヴァっ頑張れっ・・・!!」
『もうちょっとだよエヴァ!』

気絶しそうなほどの激痛の中、俺はエリックに手を握られながらも懸命に第1子を出産した。
おぎゃおぎゃあと産声が聞こえた瞬間、思わず泣いてしまったのはここだけの話。
俺は男で、少し前まではまさか子供を産むなんて考えたこともなかった。

「わ・・・アルベールそっくりだ・・・」

そっと抱き抱えた赤子は薄いながらも父親にの銀髪。瞳は俺そっくりの青い瞳だった。

「お前の父親には酷い目にあわされたけど、俺の大事な息子だ。お前の名前はアレクだぞ」

ぷくぷくとした頬を撫でればその柔らかさに思わず口角が上がった。








「なあ、そろそろここを出ないか」
『うん。そうだね、攻略対象達はここを探してるだろうし。いつ見つかってもおかしくはない状況だったから』
「ああ。船を使って隣国に逃げよう。働き口を探して静かに暮らすことくらいなら出来るだろ」

アレクが生まれて数週間。
まだ小さい赤子を連れていくのはリスクが高いが、ここにいつまでも留まる訳にはいかない。
幸い、アレクはどこも悪くなく、今だって俺の乳にむしゃぶりついて元気にミルクを飲んでいた。
正直、授乳はいつになっても慣れない。真っ平らだった乳は僅かに膨らんでいる。

「エヴァ様とアレクの事は僕が守ります!」
「ありがとうエリック。お前には本当に頭が上がらないよ」

わしゃわしゃと頭を撫でれば犬のように嬉しそうにするエリック。
俺達は隣国へ向かうことにした。








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