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まさかのお前も攻略対象!?
しおりを挟む「お前なんかッお前なんかッ!!!」
発狂し怒り狂うエマから必死にお腹を守る。
(もう駄目だっ・・・)
両手でお腹を守り目を瞑った。次の瞬間、来ると思った衝撃も、痛みもなくエヴァは恐る恐る目を開ける。
「ッ・・・!?何だよお前!邪魔するなッ!!!?」
エマの腕を押えつけ地面へと押し倒す男。
男はエマの首を絞め、エマはそのまま気絶した。
「こ・・・殺したの・・・?」
エヴァの恐れおののいた震え声に男は振り返る。
ブラウン色の髪をした男はエヴァを見てにこりと微笑む。
「助けに来たよエヴァ」
「っ・・・だ、誰・・・?」
「今は説明してる時間が無い。早く逃げよう」
男はエヴァを抱き抱えると妖精の元へ歩き出した。
誰だか分からない。
しかし、助けてくれたということは味方という事か。ほっとした安心感からエヴァは意識を落とした。
「・・・ヴァ・・・エヴァ、起きて・・・エヴァ・・・!」
「っ・・・!」
「良かった・・・随分長い間眠ってたんだよ。水持ってきたからこれを飲んで」
気絶する直前、エヴァを助けてくれた男が水の入ったコップを差し出す。
ここは、どこだろうか。木でできた小屋のようだ。
暖かい暖炉の光が落ち着く。
「あの・・・ありがとう、助けてくれて。・・・その、君は誰?」
「ふふっまだ分からないの?僕はずっとエヴァと一緒にいたのに」
「・・・・・・?」
心底嬉しそうに微笑みながら俺の手を握る男。
本当に誰だ、俺の記憶が無くなってるのか?
訝しげに見ていれば、いつのまに現れたのか妖精がふよふよと現れる。
『エヴァ、驚かないで聞いて。この子はエリックだよ』
「・・・えりっく・・・?・・・エリックっ!?」
「やっと思い出したんだねエヴァ」
エリック・・・あの、・・・あの可愛い俺の愛犬が。
何故人間の姿に!?
「どっどうしてエリックが人間に・・・犬だったはずだろ・・・!?」
「僕も分からないんだけど。エヴァが学園から居なくなってから、ずっと会いたいって思ってたんだ。エヴァは何処にいるんだろう、エヴァが困っているのなら助けたいってずっと願っていたら、気づいたら人間になってた」
「そっ・・・」
そんなファンタジーな話あるか!?
いや・・・そもそもここはBLゲームの世界だし何でもありなのか・・・。
『エヴァ、エリックは攻略対象の1人・・・いや、1匹と言うべきなのかな・・・。とにかくエリックは攻略対象の1人なんだよ』
「嘘つけ!エリックは犬だぞ!?」
『隠しルートなんだよ。原作でエリックはエヴァの飼い犬だったけど、エヴァはエリックを酷く虐待してヒロインのエマに拾われるんだ。そして上手くフラグをたてていけば人間になったエリックと結ばれるルートに行くはずだった。まあ、君がエリックを溺愛してた時点でエマの所に行く可能性は1ミリも無くなったけどね』
そ・・・そんな馬鹿な・・・
「俺のエリックが・・・こんなむきむきの男に・・・」
ふわふわコロコロで可愛くわんわん懐いてきたエリックが、今や服の上からでも分かる筋肉にガタイの良さ。低く女が聞けば惚れてしまうような甘い声で俺に微笑んでいる。
「違うっエリックはこんなんじゃない!エリックは犬だもん!」
現実が受け入れられずエリックの手を振り払う。
しかし、エリックは悲しそうな、今にも泣きそうな顔でこちらを見た。
「エヴァ・・・僕はエリックだよ・・・。今も前も変わらず ずっとエヴァが好きなのに・・・!エヴァは犬じゃない僕は嫌いなの・・・?」
エリックが鳴いた時のようなクゥンと言う声が聞こえてくる。いや、幻聴だ。これは幻聴。
しかし、エリックの表情を見て俺はうっと苦しくなった。
だって人間なのにあの時のエリックにそっくりだったから。
「ご・・・ごめん・・・。急なことで受け入れられなくて・・・。僕もエリックのこと好きだよ・・・」
「っ・・・!嬉しい!エヴァだぁ~いすき!!」
「ぐえっ・・・」
エリック
エリックお前は可愛いけどさぁ
今は190cm超えの大男だってこと自覚しろよ。
エリックに飛び込むように抱きつかれ、俺は圧迫感のあまり再び意識が遠のいた。
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