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まともな証言者はいねえのか

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「すみません、どうか僕にも証言をさせて下さい」
「ユリス・・・確か貴方は幼少期からエヴァ・ヴィリエに仕えているとか。それでは、エヴァ・ヴィリエの横暴な振る舞いを傍で見ていたということですね?」

「はい、僕はここの誰よりも長い間エヴァ様を見てきました。エヴァ様は噂通りのお方です。横暴で我儘で自己中心的で・・・そう、その愛らしく美しいお顔で命令をしてくるのです。下手したらその細い身体を組み敷いて分からせられてしまうとも知らずに、目の前の男に上から目線で命令を・・・。いざ抱かれてしまえば目の前の雄に逆らえずあんあんと喘ぎ助けを乞うくせに、愛らしい声で我儘を言う姿も堪らなくて・・・!ついつい言うことを聞いてしまいたくなるのです。想像してみてください・・・エヴァ様の子の可愛らしい顔、声で「足が疲れたから足を揉んで」とお強請りされる姿を・・・。小さく美しい足を舐めしゃぶりたくなってしまうのは仕方ないでしょう?」

ユリスの早口台詞に何故か傍聴席にいる1部の生徒や攻略対象達が頷く。

「わ・・・分かりませんが結局何を仰りたいのです?」
「つまりエヴァ様は退学して僕と一緒に屋敷に戻るべきだと」

まあ今まで出た意見の中では一番マシ。

「そして僕と一緒に蜜月を過ごすのです。僕の子を産み家族3人で仲良く過ごしていきたいです」

前言撤回。誰が子供産むか。



「あぁエヴァ様・・・なんとお労しい・・・!こんな場所に立たされて絶弾されるなんて貴方は何も悪いことなどしていないというのに・・・!」
「ジル・・・」

大袈裟な程にそう叫ぶジル。
お前は何を証言するんだよ。

「強いて言うならエヴァ様の存在が罪・・・と言ったとこでしょうか。エヴァ様はそこにいるだけで雄を誘惑し魅了してしまうのです。やはりエヴァ様の魅力を1番わかっている僕こそがエヴァ様の伴侶に相応しいかと」

「もういいっ!!こんな馬鹿げた証言聞いてられない!皆おかしいよ!僕はエヴァ・ヴィリエに殺されそうになったんだよ!?なんで肩入れするような発言をするの!?もっと重い罰を与えるべきでしょ!」

エマの叫びに執行部員たちが我に返る。
そうだそうだと俺も乗る。

「ふん、僕は反省なんかしてないからね。退学処分にして国外追放にでもすればいいよ。でも、お前たちのことは許さないから」
「駄目だ。国外へ逃げようなどと責任逃れも良いところだ。お前に相応しいのは我が別邸。大人しくディディエ家に嫁げ」
「なっ・・・!大体罰を受けるのに嫁ぐって意味不明だから!それに皆好き勝手言ってるけど僕は自ら抱かれてなんかない!全部無理やり強いられたんだ!!」

「エヴァ・ヴィリエそれは本当ですか?」

俺の発言に攻略対象達は馬鹿にしたように笑う。
は!?なんだよその態度!

「無理矢理だと?あれだけ俺の物を強請っておいてよく言う」
「エヴァ、流石にそれは無理があるだろ。俺の事受け入れてキスまでしてくれたじゃん」
「なぁお姫様、清純ぶってんのも可愛いけど。そういう事言っちゃうのか?」
「エヴァ・・・気持ち・・・よさそうだった・・・」
「エヴァ様、あれだけ抱かれて今更無理やりは厳しいですよ」
「私の初めてを奪っておきながらレイプ魔扱いですか」
「エヴァ様っ・・・僕を求めてくださったのは演技だったのですか?」


「エヴァ・ヴィリエどうなんですか。彼等との行為は合意だったのですか?」
「そ・・・そんなのこの裁判に関係ないだろ!?」
「ちょっと僕を殺そうとしたことについての裁判なのに趣旨変わってきてない!?」

「エマ、今はそんなことどうでもいいんです。エヴァと僕たちの行為は合意によるものだったのか。ついでに誰が本命なのかもここで決めさせましょう。それによって罪の重さが変わってきますからね」

完全にズレ始めた裁判に俺はお手上げだった。
攻略対象達が、エヴァはこう感じていただの、性感帯はどこだのと話し始めたせいで、公開羞恥プレイをさせられ俺は顔を真っ赤にして俯いていた。

「エヴァ・ヴィリエ、貴方は乳首を弄られながらクリ吸いされるのが好きなのですか」
「なっなんでそんなこと聞くの!?」
「それが本当かどうかで彼等と寝たのか、彼らの証言が本当なのか確認する必要があるからです」
「やっやだッ!!!そんなの答えたくない!」

「被告人が返答を拒否するのであれば、無理矢理にでも口を割らせるしかありませんね」
「・・・・・・へ?」
「これは学園裁判です。何をしてでも真実をはっきりさせなくてはいけません」









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