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僕を覚えてらっしゃいますか? ※ジル
しおりを挟む僕とエヴァ様の出会いは数ヶ月前に遡る。
エヴァ様の事は噂で知っていた。生徒会会長の親衛隊隊長であり、歴代のどの隊長とも比較にならないほど過激な人物だと。
そしてその頃の僕と言えば、その会長様に恋をしていたのだ。
美しい容姿に溢れ出るカリスマ性。入学式で彼を見た時御伽噺に出てくる王子様のようだと思った。
僕のこの想いを届けたいと手紙にしたためて渡そうとしたのだ。
だがその行為が親衛隊の目に止まってしまった。
気づいた時には既に遅く、中庭に呼び出された。
親衛隊の隊員から散々詰められ萎縮した僕の元に現れたのがエヴァ様だった。冷たい眼差しに圧倒的「美」。美しいとはこの人の為にある言葉なのだと、自分の状況を忘れ見惚れてしまった。
僕に手酷い制裁を加えようとする隊員を制し、エヴァ様は僕の手を掴んで校舎裏へと連れていった。
今からもっと酷いことをされるというのに、僕の手を掴んだエヴァ様の手があまりに細かったのをよく覚えている。
校舎の壁に押さえつけられ所謂壁ドンの体勢をされた時、キスしそうな程に近づいたエヴァ様の顔に僕は胸の高鳴りが抑えられなかった。
「今回君がした事がどんなに愚かな事か分かってるね?」
「は・・・はい・・・もうっ・・・もうしません・・・!」
「ふふっ物わかりの良い子は好きなんだ。僕は器が大きいからね1度の過ちは許してあげる。もし君が二度と面倒事を起こさないと違うならそのうちご褒美をあげるよ」
細く白い指で、僕の顔をなぞりながら妖艶な笑みで囁かれる。
その瞬間、僕は強烈な興奮と恋情を感じたんだ。
会長様に恋していたふわふわした気持ちと違う。腹の底からどす黒いマグマのように沸き立つ熱い感情。
今まで僕は、どちらかと言えば抱かれる部類の人間だった。けれど、目の前で僕を誘うような表情で見るエヴァ様を、雌を、屈服させめちゃくちゃにして、自分だけのものにしたいと。
僕はエヴァ様に性癖をぐちゃぐちゃにされたんだ。
エヴァ様が僕に制裁をしてくれないガッカリな気持ちと同時に、ご褒美という言葉に馬鹿みたいに興奮した。面倒事を起こさないなら?良い子にしてるなら?エヴァ様を抱けるって事ですか?
そんな僕の興奮を他所に邪魔者が入る。
アダン・ディディエ。
エヴァ様が一緒に立ち去ろうと声をかけてくださった瞬間嬉しさで何度も頷いた。
しかし、エヴァ様はあの男に捕まってしまう。僕とエヴァ様の邪魔をするなと吠えてやりたかったが、奴の僕を見る鋭い眼光に僕は立ち去るしなかった。僕と奴では体格も何もかもが違いすぎて今は勝てない。
だがその後、隠れながらも奴とエヴァ様の情事をずっと覗いていた。アダンに犯され泣き喘ぐエヴァ様に酷く興奮して、僕は1人自分を慰めた。奴が僕だったらと妄想して。
アダンに犯されるエヴァ様は、まるで気高いお姫様が圧倒的雄に陵辱され屈服する画のようで何度抜いても興奮が止まらなかった。
その日から僕の頭の中はエヴァ様でいっぱいになった。
影からエヴァ様を盗み見る日々。脳内で何度エヴァ様と交わる妄想をしたか。あの赤い唇でいやらしく啼きながら「ジル」と僕の名前を呼んでくれる日々を何度も妄想した。
だがエヴァ様が選ぶのはいつも僕より勝る雄。
体格も、ステータスも、全てエヴァ様を犯すために優れた人間。
エヴァ様よりも身長が低くて力も弱い僕がエヴァ様を押し倒すことなんて出来やしない。悔しくて悔しくて仕方がなかった。
だが、そんな僕にも神様は味方してくれたのだ。
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