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ドナドナ
しおりを挟む「エヴァ様皇子とは何をお話されたのですか」
「別に、大した話じゃない。あいつがあまりに嫌味を言ってくるものだからそんなに俺が嫌いならとっとと婚約破棄したらどうだと突きつけただけだ」
「そうですか・・・!僕もその方がいいと思います!エヴァ様が王宮になんか行ってしまったらなかなか会えなくなっちゃうし」
「何でお前が嬉しそうなんだよ。でもほんと早く破棄してくれればこんな面倒臭い教育受けなくていいのにな」
毎日渡されるお妃教育の課題とやら。今日は1番苦手な裁縫だ、以前俺が指に針を突き刺して血を流しているのをユリスに見られた時。そのまま布をひったくられこれからは自分にやらせてくれとユリスに言われた。まあやってくれるなら助かるけど。
「僕は自分のお嫁さんにこんな事させません。家事だって何だって僕がやるし僕の傍にずっといて幸せに笑ってくれればそれで幸せです」
「はぁ・・・。お前の伴侶になれる女は幸せだろうよ」
「・・・・・」
「大丈夫お前にも運命の人ってやつ?現れるよきっと」
ヒロインとかヒロインとか。だから早く俺に手を出すのやめてくれなんて口が裂けても言えない。
「そんな人現れません。だって僕には・・・」
ユリスの呟きは俺には聞こえなかった。
「明日、国王陛下から王宮へ来るよう命が出された。エヴァ支度しておくんだ良いな?」
「・・・はいお父様」
きっと婚約破棄の話をするのだろう
仮にも王族にあんな事を言ってしまったのだ。いくら父が王宮に出入りする官僚だからといって王族への不敬を働いた俺を許す筈は無い。アルベールにはめちゃくちゃ嫌われこのことは国王の耳にも入っているはずだ。下手したら罰を受けるかもしれない。出来ることなら島流しの系にでもしてこの物語から離脱させてくれればいいのに。
けれどどう考えてもあれはアルベールが悪いだろ。
「エヴァ様本当に行かれるんですか」
「ああ、国王の命令だからな。こればかりは従うしかない」
「心配です・・・。僕もついて行きます」
「やめろよ・・・!大丈夫だからそんな心配するなって」
わあわあとうるさいユリスを横目にメイドが用意した余所行きの服へと着替える。襟元は白いフリルが付いたゆったりとしつつも上品なデザインのシャツ。ゴテゴテと装飾の着いた白色のジャケット羽織ればあっという間に良いとこの坊ちゃんみたいな見た目が完成だ。
父の用意した馬車に乗り込み城を目指す。
さあ俺はどんな罰を受けるのか。馬の蹄の音を聞きながら運ばれる俺はまるで出荷前の豚のようだ。
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