上 下
5 / 6

街へお買い物

しおりを挟む








今日は月に一度街に出る日。
いつもは兄様や父様?達が外に出るなって言うから、屋敷の外にはなかなか出られないんだ。
僕は美しくて可愛いから攫われたら大変だって。
確かにそうだよね!
でも今日は月に1度屋敷の外に出られる日。護衛とメイドを連れて買い物をしに行くんだ。
早速着替えるユキ。
袖が膨らんだスリーブシャツ、後ろの腰部分に大きなリボンがついたフィッシュテールドレスのようなハイウエストパンツは、ユキの足腰の細さを際立たせている。

「ユキ様、今日はどちらに行かれますか」
「うーんそうだなぁ。いつも行ってるスコーンのお店と新しい服を買いたいから服屋さん、あとは~」

あれやこれやと言いつければメイドたちは二つ返事で従ってくれる。
ついこの間も沢山服を買ったばかり。ユキの私物はクローゼットだけには収まりきらず、部屋を増設し続けている。
けれどユキにとってそれは当たり前のことなのだ。美しい自分が望むのなら何だって手に入れる。
だって兄も父もみんなそれが正しいって言ってくれてるから。
何か言いたげなメイド達を無視してユキは到着した店へと入っていった。




「あ~沢山買えた!次は宝石だね。持って帰れないものは屋敷に送っておいて」

店員に進められるがままに、あれこれと注文したユキ。購入品は早速馬車にはいりきらないほどだった。

「ゆ・・・ユキ様、お言葉ですが少し買いすぎてはありませんか・・・?先日も沢山のお召し物を購入されてましたし、これ以上は・・・」
「何、僕に逆らう気?」
「あ・・・いっいえそんなつもりは・・・!」
「僕の言うことは絶対だから。メイドごときが僕に指図しないで。ボクが一言言えば君なんてすぐにクビに出来るんだから」

ユキの言葉に青ざめたメイドはさっと俯いた。
(せっかく良い気分だったのに台無し。沢山ジュエリーを買って気分転換でもしよう)
メイドの言葉に気分を害したユキは、店内に入り早速ショーケースの中身を見始める。

「おお!これはこれはヴィリエ様。今日は何をお探しでしょうか?」
「今度の舞踏会で付けていくジュエリーを頼みたいんだ。1番目立つ華やかな物にしてよ!」
「かしこまりました。それではこちらにお座り下さい」

カタログを手にし、ペラペラと捲る。
綺麗で華やかな物は大好きだ。だって僕も華やかだから。色とりどりのジュエリーを見て、一際輝くアクアマリンの宝石が目に付く。

「これすごく綺麗・・・!僕の瞳の色と同じだし、これにしよう」
「流石ヴィリエ様、お目が高い!こちらの宝石は隣国でも少量しか取れない希少な物なんですよ」
「ふふん、尚更僕にピッタリだね。次の舞踏会につけて行きたいから、サイズを合わせてよ」
「かしこまりました」

店員はメジャーを持ってユキの首周りの長さを測っていった。

「ヴィリエ様の細い雪肌の首にはどんなジュエリーでもお似合いですねぇ」 
「ふん、当然でしょ」

ユキは満足気に鼻を鳴らした。







しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

愛されなかった俺の転生先は激重執着ヤンデレ兄達のもと

糖 溺病
BL
目が覚めると、そこは異世界。 前世で何度も夢に見た異世界生活、今度こそエンジョイしてみせる!ってあれ?なんか俺、転生早々監禁されてね!? 「俺は異世界でエンジョイライフを送るんだぁー!」 激重執着ヤンデレ兄達にトロトロのベタベタに溺愛されるファンタジー物語。 注※微エロ、エロエロ ・初めはそんなエロくないです。 ・初心者注意 ・ちょいちょい細かな訂正入ります。

イケメン王子四兄弟に捕まって、女にされました。

天災
BL
 イケメン王子四兄弟に捕まりました。  僕は、女にされました。

悪役令息に転生したら、王太子に即ハメされまして……

ラフレシア
BL
 王太子に即ハメされまして……

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

元会計には首輪がついている

笹坂寧
BL
 【帝華学園】の生徒会会計を務め、無事卒業した俺。  こんな恐ろしい学園とっとと離れてやる、とばかりに一般入試を受けて遠く遠くの公立高校に入学し、無事、魔の学園から逃げ果すことが出来た。  卒業式から入学式前日まで、誘拐やらなんやらされて無理くり連れ戻されでもしないか戦々恐々としながら前後左右全ての気配を探って生き抜いた毎日が今では懐かしい。  俺は無事高校に入学を果たし、無事毎日登学して講義を受け、無事部活に入って友人を作り、無事彼女まで手に入れることが出来たのだ。    なのに。 「逃げられると思ったか?颯夏」 「ーーな、んで」  目の前に立つ恐ろしい男を前にして、こうも身体が動かないなんて。

え?なんでオレが犯されてるの!?

四季
BL
目が覚めたら、超絶イケメンに犯されてる。 なぜ? 俺なんかしたっけ? ってか、俺男ですけど?

買われた悪役令息は攻略対象に異常なくらい愛でられてます

瑳来
BL
元は純日本人の俺は不慮な事故にあい死んでしまった。そんな俺の第2の人生は死ぬ前に姉がやっていた乙女ゲームの悪役令息だった。悪役令息の役割を全うしていた俺はついに天罰がくらい捕らえられて人身売買のオークションに出品されていた。 そこで俺を落札したのは俺を破滅へと追い込んだ王家の第1王子でありゲームの攻略対象だった。 そんな落ちぶれた俺と俺を買った何考えてるかわかんない王子との生活がはじまった。

処理中です...