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エピソード44 【飛び魚からの吉報】

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★「おしゃれ」「お母さん」→マンモス白珊瑚の森に住む。おしゃれ金平糖ウミウシ。


★「いちご」→船形石珊瑚に住む「おしゃれ」の心友。いちごジャムウミウシ。


★「兄」→マンモス白珊瑚の森に住む14匹の魚たちの長男。青くて大きめの魚。過度の心配性の特徴あり。


★「妹」→マンモス白珊瑚の森に住む14匹の魚たちの末っ子。オレンジ色の小さな魚。しっかり者の性分。





******



「それなら、わけないでござんすよ。あっしどもの使いの飛び魚たちが、この海の世界、全国津々浦々を行脚(あんぎゃ)しておりますゆえに、彼らに聞いてみましょう。きっとすぐに吉報が飛び込んで参りますよ」



「それはよかった。でも、どれくらい待っていればいいのかしら」



「いちご」が言うと、



「なあに、月が二つ三つあがるくらいには、間に合いましょう」



老シャチは、飛び込んでくる飛び魚たちに耳打ちしながら、チラリとそうこぼす。



いったい飛び魚というものは、海の世界にどれだけいるのだろう。



さっきから休むことなく、老シャチの前に次々と新たな飛び魚が飛び込んでくる。



「これもハズレ」



ターコイズブルーウミウシの手がかりを持ち合わせていないと、老シャチからそんな声があがる。



「これはウム、いい傾向だな」



けっこう前になるが、それらしいものをチラリと見たという情報に出会うと、



老シャチは上を向いて考えるような様子をみせる。



「こりゃあいい、なるほど」



という声が上がったら、つい最近の情報を得たというしるしだ。



やがて、一つ目の月が上がったが、依然として有力な手がかりは見つからない。



「おしゃれ」と、「いちご」は、ホシガメの上で眠ってしまった。



「兄」だけが眠れない。



老シャチの部屋の天井には、大きな穴があいている。



穴はずっと上までトンネル状に続いていく。



トンネルは、上へ行くほどその口径を徐々にせばめ、かなた出口とおぼしきところには、



真っ白い円い月が浮かんで見える。



それを見た時、「兄」は、このトンネルを潜ると空へ行くのだな、と思った。



遠くの空には、闇の中に浮かぶ月が見えるというのに、老シャチの部屋は何故かまばゆく明るかった。



夜なので老シャチは寝ている。



ぷかぷかと水に浮いた氷のベッドの上で、何度もピシャリという音を立てて、寝返りをうつ。







〈続く〉
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