ガネーシャ君とイジメン隊

エピソード２ なみだを、けとばせ

イジメン隊が、おすなおすな、と入っていくと、

ガネーシャ君は、もう洗面台で手を洗っているところだった。



「あ～っ、おしい。もうすこしのところで！」


隊長は、おもわず頭をかかえた。



「きみ、いま、くもをすてなかった？」


とつぜん、イジメンブラックが、聞いた。


ガネーシャ君は、手を洗いながら首を横にふった。



「きゅうすぎるだろ。ええぃ、おまえら、せんとうはいちにつけ！」


すかさず、イケメンゴールドと、イジメンブラックが、隊長のよこにきて、

サルのようなポーズと、トラのようなポーズをとった。



「すいこむぞう！ もうにげられないぞ。ほんとのことをいうんだ」


ガネーシャ君は、目を丸くして、イジメン隊を不思議そうに見ている。



「おまえ、あまぐもをトイレにながしただろ。

そんなことをしたら、じめんから、くもの芽（め)がでてきて、花がさいて、雨がふるんだぞ」



「たいちょう、いってること、おかしいです」


イジメンゴールドが、首をひねる。



「おかし、ちょうだい！」


隊長がくるりと振り向き、ゴールドに向かって、猫なで声をだした。



「たっ、たいちょう～。」


ゴールドのホホに冷や汗がたれる。



「たこやき、くうか？」


ブラックが気のぬけたような声をだしたその時、

三人の顔に水しぶきがとんだ。



ガネーシャ君が、鼻から水をすいこんで、飛ばしたのだった。



イジメン隊は、たいさんした。


ブラックとゴールドは、逃げながら泣き出したけど、

隊長だけは、泣かなかった。



「なみだを、けとばせ」


そんな、フレーズが、隊長の小さな胸に、

くりかえし響いていた。



〈続く〉