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ー他慰、後、王と影ー

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「泣き疲れてお眠りになりましたよ、あるじ
  弟の涙を拭っていた日陰シェイドが、寝室の奥に向かって告げる。

「いつから?」

「馬鹿、馬鹿、言っている辺りかな?」

 しとねかたわらに腰を掛け、兄は弟の短い髪ベリーショートの金髪をいとしげに、くように撫でた。

「まさか、あるじのことまで馬鹿と仰るとは思いませんでしたが」

 揶揄からかうように 日陰シェイドは言ったが、兄は眼をすがめただけで、 日陰シェイド揶揄やゆ赦した。

頑是無がんぜな時分じぶんからやり直しているようなものだ。あれで良い。だが、あそこで俺が出ては、リシェも更に収拾がつかなくなっただろう? リシェももう、何が何だか分からなくなっていた事だろうしな」

 弟は、二人を馬鹿っ! と言いながらイった後、声を上げて泣くだけ泣いて、 日陰シェイドにあやされながら、泣き疲れて眠ってしまった。

 兄は、弟の頬に口づけ、そして唇の端を何度も、ついばむ。

あるじ、その辺りで。お起こしするには忍びない」

 ふ…ん、と不満そうにしながらも、兄は身体をを起こすと、代わりとばかりに 日陰シェイドの腕を取り、後頭部を捉えて深く口づけた。

 舌を絡ませて湿った音を何度も響かせながら口づけ、兄は唇を離すと、眼を細めて 日陰シェイドを眺めると、 日陰シェイドは、眼を伏せて首を斜めに傾けた。

「やっと肩迄伸びたか……」
 兄は、サラサラと前に落ちる 日陰シェイドの黒髪をき上げ、首筋に口づけた。

「伸びました。だから、もう……、いい加減にお許しいただけませんでしょうか……ーーっ」

 無駄と知りつつ、 日陰シェイドが訴えると、兄は咎めるように 日陰シェイドの首筋をキツく吸い上げた。
 紅く花弁のようについた跡に兄は満足し、その刻印しるしめた。

「許さない、と言ったら?」

「……諦めます」

「なら、諦めろ。罰だよ、日陰シェイ

不遜ふそんにも、あるじの頬を打ったことの、でしょうか?」

「アレで正気になった。咎めはしない。髪を切ってしまった罰だよ、日陰シェイ

「ーーならば、罰にはいささか重過ぎでは」
  日陰シェイドは、嘆息しながらこぼしたが、兄はただ笑うだけで取り合わなかった。

 兄は 日陰シェイドの首筋に唇を寄せたまま、ささやいた。

日陰シェイ、ーー早いかもしれない」

「…………」

今代こんだいで動くとは、正直予想していなかった。だが、ーー流れは止まらない。止められないだろう。諸侯どもでは」

 そして、も止めない。

「ーーあるじ

「犠牲は最小限に。できれば出さずに済ませたい」

 ーーそれを、最後の務めとしたいーー

「お前は連れて行くーーリシェと共に」

  日陰シェイドの意思は問わない。強い瞳で言い切った兄に、 日陰シェイドは、微笑む。

「ーー承知」



━━━* †……━━━* †……━━━* †……

僕(♀だよ)、結構今話好きーー^^!

弟が寝てるかたわらで、何やってるのーー、ってのがイイ^^
(弟は、起きていたら、じーーっと見てると思う。見られている方も、見ている方も気にしない^^;)
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