上 下
57 / 66

La Madrugada 32 〔薄氷 1〕

しおりを挟む
「兄さま!」
 はずませた声とは裏腹に、弟はそっと兄を抱擁ほうようしてから、伸び上がって口づけした。

 ーーどうしよう……どうしたらいい? 日陰シェイ!ーー

「ーーあるじ、湯殿へ。リシェ様……湯殿で、お兄さまをお|《なぐさ》慰めする|《すべ》術を、お勉強いたしましょうか」
 日陰シェイドは、弟の心の内の逡巡しゅんじゅんに応えるように、言ってくれた。

「はい! 日陰シェイ。兄さま……リシェにさせて? リシェにご奉仕……させてください……」

 兄は嘆息たんそくしてから、日陰シェイドを流し見る。

「身体が冷えていらっしゃる。まいりましょう、あるじ
 日陰シェイドが重ねて兄をうながすと、兄は弟に手を引かれるまま、足をみ出した。



 §



 ぴちゃ……ン…………。

 湯殿の天井てんじょうから、落ちる水滴がはじける音に、口淫こういんみだらに湿った音がひびく。

 湯殿用に置かれた安楽椅子に背を預け、足を開いて腰掛けた兄の足元に、弟は、両膝をついて座り込み、兄の男根ペニスなぐさめていた。

「は……、んっ…………ぅく……」
 ちゃぷ……ちゅぷっ……ちゅく……

 荒く、息をきながらのどの奥まで兄の男根ペニス口腔こうこうに受け入れ、弟は、懸命けんめいに兄の男根ペニスへ奉仕を続けていた。

「リシェ様。お兄さまのおぐしの手入れは終わりました」
 かたわらで何事もないような声音こわねで、日陰シェイドは髪を洗い終えたことを伝え、弟は、兄に射精をうながすように、ぎょくを揉みしだき、竿さおをしごいて鬼頭きとうを吸い上げた。

「ーーふっ……く……ぅ……っ」

 弟は、嘔吐えずくのをこらえ、口腔こうこうに兄の精を受け止めると、兄の膝に手を置いて伸び上がり、口腔こうこうに受けた精を兄に見せた。
 弟の両ほほに手をえて、それを確認した兄は薄く笑みながら弟に許しを与えた。
「上手だね……、リシェ。お飲み」

 コク……っ
 兄にのどさらして精をで飲み下した弟は、恍惚こうこつとした表情かおで、ささやいた……。

「美味し……ぃ……」

 唇をめ、半開きのまま待つと、ふっ……と笑った兄が弟に口づけてくれた。

「言っただろう? 自分の精は不味まずいんだぞ」
 そう言いながら舌を絡ませ、濃厚な口づけを交わす。

「ん……でも、……して、欲し…………」
 兄の精でれた唇に、兄の口づけが。

「リシェ様。ご用意、整いました」
 無機質むきしつひび日陰シェイドの声に、弟は唇を離す。

「兄さま……、リシェにお身体、洗わせて……ください」
 兄の胸に手を置いて、弟は、兄にそうこいねがった。
 そしてふわっと乳首をなぞり、胸から手を、放した。

 兄は弟の首筋に口づけ、それから興をそそられたように弟の希いを聞き入れた。
「良いだろう。してごらん、リシェ」

 施術せじゅつ台に置かれた大きなたらいに、たっぷり用意された石鹸シャボンで、弟は、兄を洗い始めた。
 ひざまづいて兄の足先から……大腿だいたいの内から、上へと。
男根ペニス……も。リシェ綺麗きれいにします。兄さま」
 やわやわと……でも、丁寧に石鹸シャボンを絡ませていく。

 そして、自分よりずっと広い背に石鹸シャボンを|塗ると、弟は自分の上半身ーー胸にも石鹸シャボンを塗り、兄を後ろから抱きしめた。それから、密着したまま……身体を上下にすべらせた。

「あ…………、は……ぁ……ーー」
「……気持ちいか? リシェ」
「や…ぁ……、気持ち悦くする……の。兄さま……」
「おいで。前に」
「はい、兄さま」

 弟は兄の前に回り、兄の胸に石鹸シャボンっていった。くるくると兄の乳首をねながら。

「こら」

 兄の、弟をたしなめる声に、ふふ……未熟ながらも蠱惑こわく的な笑みを見せると、弟はもう一度、自分の胸にたっぷりと石鹸シャボンを乗せ、兄と胸を合わせ……兄の背に手を回した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

神官、触手育成の神託を受ける

彩月野生
BL
神官ルネリクスはある時、神託を受け、密かに触手と交わり快楽を貪るようになるが、傭兵上がりの屈強な将軍アロルフに見つかり、弱味を握られてしまい、彼と肉体関係を持つようになり、苦悩と悦楽の日々を過ごすようになる。 (誤字脱字報告不要)

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

双葉病院小児病棟

moa
キャラ文芸
ここは双葉病院小児病棟。 病気と闘う子供たち、その病気を治すお医者さんたちの物語。 この双葉病院小児病棟には重い病気から身近な病気、たくさんの幅広い病気の子供たちが入院してきます。 すぐに治って退院していく子もいればそうでない子もいる。 メンタル面のケアも大事になってくる。 当病院は親の付き添いありでの入院は禁止とされています。 親がいると子供たちは甘えてしまうため、あえて離して治療するという方針。 【集中して治療をして早く治す】 それがこの病院のモットーです。 ※この物語はフィクションです。 実際の病院、治療とは異なることもあると思いますが暖かい目で見ていただけると幸いです。

愛人少年は王に寵愛される

時枝蓮夜
BL
女性なら、三年夫婦の生活がなければ白い結婚として離縁ができる。 僕には三年待っても、白い結婚は訪れない。この国では、王の愛人は男と定められており、白い結婚であっても離婚は認められていないためだ。 初めから要らぬ子供を増やさないために、男を愛人にと定められているのだ。子ができなくて当然なのだから、離婚を論じるられる事もなかった。 そして若い間に抱き潰されたあと、修道院に幽閉されて一生を終える。 僕はもうすぐ王の愛人に召し出され、2年になる。夜のお召もあるが、ただ抱きしめられて眠るだけのお召だ。 そんな生活に変化があったのは、僕に遅い精通があってからだった。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集

あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。 こちらの短編集は 絶対支配な攻めが、 快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす 1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。 不定期更新ですが、 1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 書きかけの長編が止まってますが、 短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。 よろしくお願いします!

処理中です...