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La Madrugada 8 〔華灯 1〕# R18
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§
調教が続き、弟はうつ伏せーーあたまを下げて尻を突き上げた四つ這いの姿勢で、ひと回り太い張形を受け入れた。
日陰は、張形を馴染ませることを優先し、徒らに弟を追い込むことはしなかった。
そして弟もまた、日陰に対しては、兄にして見せたような、殊更な甘えを見せることはなかった。
「ふ…………あ…………ぅ………………」
弟が息を吐くのに合わせて、ゆっくりと水晶の張形は沈められていった。
もう一度、張形が弟の肛門に全て入れられると、弟はほっとしたように息をついた。
「兄さまのペニス、これより大きいものね……」
日陰の苦笑したような気配が、弟に伝わり、弟はふふ……と笑んだ。
茎環を受けている男根が硬く勃ち上がってしまわないよう、快感を拾い過ぎないように日陰は細心の注意を払い、張形を揺らした。
「ん…………」
ーーしばらくゆるゆると張形が馴染ませられた後、日陰の片方の手が弟の肩に置かれた。それを合図に、張形が抜かれた。
「ーーーーン……!」
は……ぁ…………は……ぁ……、と弟は切な気に息を吐き、張形を抜かれた衝撃に耐え、ゆっくり仰向けになり、目の上に腕を重ねる。
生理的に浮かんだ涙が眦を濡らし、ゆるく勃ち上がった男根には先走りが伝った。
もう一度、日陰の手が弟の肩に置かれた。
「ーー大丈夫」
弟は腕をどけて、日陰を見る。
「ありがとう」
日陰はゆるく首を振ると、ゆっくり弟の身体を起こすと、髪と顔をハーブ水に浸した更紗で拭っていった。
そしてそれが終わると、日陰は弟に水を飲ませてから寝室の寝台へ運び、入口の帳を閉めた。
薄暗闇の中で、弟は眼閉じると自身を包むハーブ香を大きく吸い込む。
ーー王宮の、ハルキのミント…………。
気持ち、い……………………
すうっと訪れた心地好い睡魔に、弟は身を委ねた。
§
日陰にそっと起こされ、朝と同じ手順を踏んだ後、早い時間の夕食が供された。朝と違うのは、魚のスープが供されたこと。いっそ質素と言って違いない夕食だったが。ーーそれで十分だった。
「美味し…………」
静かな卓に、自分の中の呟きだけが落ちていった。
夕食後、薄緑の緩下薬を受け取り、暫く後に肛門の洗浄を受けーーそして、湯浴み。
朝以上に時間をかけて、身体の隅々まで磨き上げる施術を受けた。
後宮の妃や、姫達のように……
それでも、大人しく施術を受けていた弟は、くん……と、密やかに流れてきた香りを聞き分けて驚く。
ーーティゼ…………?
そして、最後に眼を閉じるように促されると、日陰の指が眦を掠めるようになぞった。
「え…………?」
眼を開けると、日陰が指先を拭く様子と、まだ蓋が開けられたままの小さな陶器が目に止まった。陶器に入っていたのは……朱。ーー眦に朱を掃かれたことを知る。
そして、透けたガウンを羽織らされるに至り、頬が紅潮する。
「日陰……!」
しかし、応えは無いまま、朱とは別の、手のひらに乗る小さな陶器が開けられた時、
「ーー最後の化粧は、私がしよう」
「兄さま!」
兄が訪う時間となっていた。
兄は日陰からティゼの練り香水を受け取り、弟の背後からその首筋をすっと撫でた。
ふわっと花嫁の花の香が立ち上る。
「あぅ……っ……!」
そして、ティゼを纏わせた指で乳首にくにくにと塗り込まれ、脇腹、鼠径部をなでられる。
そこで身体を返されるとガウンの脇から手を差し込まれ、背筋を尻まで辿られると、その先、肛門へもティゼが塗り込まれた。
ーーつぷ……つ……
「うん……っ……あ…………んっ」
「いいね。感じやすい」
兄が完爾と笑む。
眦にティゼを刷き、ティゼを香らせ、透けたガウンを纏う。
ーー初夜の、花嫁の装いーー
「行こうか」
兄は弟を抱き上げてティゼが香る寝室へ歩む。
「灯りが……」
燭台が、華やかに明るく部屋を照らす……初夜を照らす“華灯”に変えられていた。
「初夜の花嫁を迎えるには必要だろう?」
事も無げに兄は言う。
「兄さま!」
詰るように、弟は声をあげたが、兄は上機嫌にくすくす笑って彼の言を取り上げない。
「は……ずかしい、よ…………。僕は……僕は、男なのに…………」
「今さら? もう既に、沢山恥ずかしいことをしているのに? これから……もっと、ずっと恥ずかしいことをするのにか?」
「に……さま…………!」
兄は、ティゼの白い花びらが散らされた寝台に弟をそっと降ろし、傍らに座ると、弟の左足を取り、バングルに重ねづけるように、細身の輪に小さなコインが幾つも下がっているアンクレットを着けた。
アンクレットの輪を滑るようにつけられているコインは、重なりあう度にシャラシャラと繊細な音を立てる。
「お前が啼く時、これも良い音を奏でてくれるだろう」
兄は弟の足の甲に口づけして言った。
「ーーーーこんな……明るい」
「もちろん。……性奴隷は、主人に全てを晒さなければならないのだから」
「私のーー性奴隷」
調教が続き、弟はうつ伏せーーあたまを下げて尻を突き上げた四つ這いの姿勢で、ひと回り太い張形を受け入れた。
日陰は、張形を馴染ませることを優先し、徒らに弟を追い込むことはしなかった。
そして弟もまた、日陰に対しては、兄にして見せたような、殊更な甘えを見せることはなかった。
「ふ…………あ…………ぅ………………」
弟が息を吐くのに合わせて、ゆっくりと水晶の張形は沈められていった。
もう一度、張形が弟の肛門に全て入れられると、弟はほっとしたように息をついた。
「兄さまのペニス、これより大きいものね……」
日陰の苦笑したような気配が、弟に伝わり、弟はふふ……と笑んだ。
茎環を受けている男根が硬く勃ち上がってしまわないよう、快感を拾い過ぎないように日陰は細心の注意を払い、張形を揺らした。
「ん…………」
ーーしばらくゆるゆると張形が馴染ませられた後、日陰の片方の手が弟の肩に置かれた。それを合図に、張形が抜かれた。
「ーーーーン……!」
は……ぁ…………は……ぁ……、と弟は切な気に息を吐き、張形を抜かれた衝撃に耐え、ゆっくり仰向けになり、目の上に腕を重ねる。
生理的に浮かんだ涙が眦を濡らし、ゆるく勃ち上がった男根には先走りが伝った。
もう一度、日陰の手が弟の肩に置かれた。
「ーー大丈夫」
弟は腕をどけて、日陰を見る。
「ありがとう」
日陰はゆるく首を振ると、ゆっくり弟の身体を起こすと、髪と顔をハーブ水に浸した更紗で拭っていった。
そしてそれが終わると、日陰は弟に水を飲ませてから寝室の寝台へ運び、入口の帳を閉めた。
薄暗闇の中で、弟は眼閉じると自身を包むハーブ香を大きく吸い込む。
ーー王宮の、ハルキのミント…………。
気持ち、い……………………
すうっと訪れた心地好い睡魔に、弟は身を委ねた。
§
日陰にそっと起こされ、朝と同じ手順を踏んだ後、早い時間の夕食が供された。朝と違うのは、魚のスープが供されたこと。いっそ質素と言って違いない夕食だったが。ーーそれで十分だった。
「美味し…………」
静かな卓に、自分の中の呟きだけが落ちていった。
夕食後、薄緑の緩下薬を受け取り、暫く後に肛門の洗浄を受けーーそして、湯浴み。
朝以上に時間をかけて、身体の隅々まで磨き上げる施術を受けた。
後宮の妃や、姫達のように……
それでも、大人しく施術を受けていた弟は、くん……と、密やかに流れてきた香りを聞き分けて驚く。
ーーティゼ…………?
そして、最後に眼を閉じるように促されると、日陰の指が眦を掠めるようになぞった。
「え…………?」
眼を開けると、日陰が指先を拭く様子と、まだ蓋が開けられたままの小さな陶器が目に止まった。陶器に入っていたのは……朱。ーー眦に朱を掃かれたことを知る。
そして、透けたガウンを羽織らされるに至り、頬が紅潮する。
「日陰……!」
しかし、応えは無いまま、朱とは別の、手のひらに乗る小さな陶器が開けられた時、
「ーー最後の化粧は、私がしよう」
「兄さま!」
兄が訪う時間となっていた。
兄は日陰からティゼの練り香水を受け取り、弟の背後からその首筋をすっと撫でた。
ふわっと花嫁の花の香が立ち上る。
「あぅ……っ……!」
そして、ティゼを纏わせた指で乳首にくにくにと塗り込まれ、脇腹、鼠径部をなでられる。
そこで身体を返されるとガウンの脇から手を差し込まれ、背筋を尻まで辿られると、その先、肛門へもティゼが塗り込まれた。
ーーつぷ……つ……
「うん……っ……あ…………んっ」
「いいね。感じやすい」
兄が完爾と笑む。
眦にティゼを刷き、ティゼを香らせ、透けたガウンを纏う。
ーー初夜の、花嫁の装いーー
「行こうか」
兄は弟を抱き上げてティゼが香る寝室へ歩む。
「灯りが……」
燭台が、華やかに明るく部屋を照らす……初夜を照らす“華灯”に変えられていた。
「初夜の花嫁を迎えるには必要だろう?」
事も無げに兄は言う。
「兄さま!」
詰るように、弟は声をあげたが、兄は上機嫌にくすくす笑って彼の言を取り上げない。
「は……ずかしい、よ…………。僕は……僕は、男なのに…………」
「今さら? もう既に、沢山恥ずかしいことをしているのに? これから……もっと、ずっと恥ずかしいことをするのにか?」
「に……さま…………!」
兄は、ティゼの白い花びらが散らされた寝台に弟をそっと降ろし、傍らに座ると、弟の左足を取り、バングルに重ねづけるように、細身の輪に小さなコインが幾つも下がっているアンクレットを着けた。
アンクレットの輪を滑るようにつけられているコインは、重なりあう度にシャラシャラと繊細な音を立てる。
「お前が啼く時、これも良い音を奏でてくれるだろう」
兄は弟の足の甲に口づけして言った。
「ーーーーこんな……明るい」
「もちろん。……性奴隷は、主人に全てを晒さなければならないのだから」
「私のーー性奴隷」
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