上 下
2 / 2

その1 授業をサボってはダメです

しおりを挟む
どこまでも青い空、白い雲!
……本当は今曇り空で、全然青くなくて灰色の空で、灰色の雲だけど。
きれいな景色!……今ら曇り空のせいで、あまりきれいな景色ではないけど。
そういえば前も曇り空で、その前も曇り空で、そのまた前も曇り空だったっけ?
あ、その時は雨が降ってきて大変だったっけ。
……ふふ、ふふふ。なんでいつも私ばかりこんな目にあうのだろう。どうしていつも私だけ。どうしていつも私だけ。どうしていつも私だけ……。
私アカリは、授業をサボって学校の屋上に来ていた。本当はダメだけど、まあバレないだろうから大丈夫!
なぜ学校の屋上に来ていたのかというと、私の性格を変えるためだ。
小さいころから、なにかあるたびに「どうしていつも私だけ」と考えてしまう。なんとか気持ちを切り替えようとするのだが、またすぐに同じことを考えしまう。ずっとそれを繰り返してきた。
そんな時私の通う学校でこんな話を聞いた。
「学校の屋上に行くといいことがある」と。
私はその話を聞いて、すぐに行こうと思った。きっと暗い気持ちが吹き飛ぶぐらいのなにかすごいことがあるに違いない。
「善はいぞけ」ということわざがあるので、さっそく授業をサボって行くことにした。
ふふふ。私を変えるわよー!
しかし1つだけ問題がある。どうやって授業をサボって、屋上に行くかだ。屋上へ行くことは禁止されている。
その時私はあることを思いついた。さすが私、天才ね!さっそく次の授業で使うわよ!


次の授業が始まってしばらくして、
「先生、急に熱が出たので保健室に行ってきまーす!」
と私は先生にそう言うと、立ち上がって大急ぎで教室を出た。体調が悪く保健室へ行くと言えば、皆私が保健室へ行ったと思いこむ。
そして屋上へ行ったことがバレない!
さらに授業中ならあまり人はいないため、屋上に入ったことがバレることがないからだ。
さすが私、本当に天才ね!
ゆっくりしてしまっていたら、授業をサボって屋上に行くことがバレてしまう。そうなると、先生や親に怒られ皆に笑われてしまう。
そんなこと絶対にあってはいけない!
そう思い私は大急ぎで、屋上へと向かった。
屋上の扉は、古くてなかなか開かなかったけど気合いを入れたらなんとか開いた。
開いた扉から屋上へ入ると。そこには柵のない灰色の広い床の屋上があった。
「……」
私は屋上の真ん中でじっと座っていた。端になどいけるわけがない。
だって柵がないからだ。
……さっきつい好奇心でどんな景色なのかなと見てしまった。地面や草木が小さく見えて、「あ、怖い」と思ってしまった。そのため真ん中でじっと座っている。
真ん中にじっと座っていれば、よっぽどのことがない限り動くことはないし、さっきの景色を見ることがない。あとはいいことが起こるまで、ジッと待つだけよ。
さすが、私!天才よ私!


とそんなことを考えてどのくらいだったんだろう。座っているのになんでだろう、なぜかしんどい。なんでこんなにしんどいの?
(理由:長い時間同じ姿勢で座っているから、腰や肩が痛くなってきたから)
そ、そろそろ立ってもいいかな?
……いやダメよ。またあの怖さ景色を見ることになって、怖い思いをすることになるのよ。絶対に座っていないとダメよ!
……でもちょっとぐらいは立っていいよね。なぜか腰が痛い。座っているのに……。
(理由:長い時間で同じ姿勢を座っていたからである)
ちょっとだけ、ちょっとだけならいいよね。
そう思って立とうとした時。
キーンコーンカーンコーン、と音が鳴った。
……あ、授業が終わった。
あ、授業中に戻ろうと思っていたのに……。
すっかり忘れてた!!
今気づいたけど、保健室に先生が見にくるんじゃ……。そ、そうなったら屋上に来たことがバレちゃう!
……あ、いそいで走れば大丈夫よ。さっきチャイムが鳴ったばかりだから大いそぎでいけばまだ間に合うわ。さすが私、天才ね私!
よし、それじゃ……いそがないと!
そして私は大いそぎで教室へと戻ったのであった。



その後のことは全く覚えていないが、たぶん大丈夫。なんか皆ちょっとかわいそうな目で見ているような気がするけど、きっと気のせいよ!
そしてそれを何回繰り返したんだろうか。何回も屋上に来て、じっと座って待っているのに何も起こらない。
……なぜだろう?
……あ、そっか。私は気づいてしまった。
「学校の屋上に行くといいことがある」という話は嘘で、私は騙されたのか。
……ふふふふふふ。私は昔から騙されやすい。今思い出したけど、小さいときに食べるといいことがあるお菓子を買って食べたけど、何も起こらなかったっけ。
あれからもう騙されないと決意したのに、何回も何回も騙されたんだっけ……。
本当に私って騙されやすいな。ふふふふふふ。
「……あのすいません。もう教室に戻ったほうがいいですよ。もう少しでチャイムが鳴るので」
「……はい、そうします。教えてくれてありがとうございます」
……ん?今誰がしゃべったんだろう?
今ここには私しかいないはずだが。
「はやく戻ってくださいね」
声のしたほうへ振り向くと、私と同じ年くらいの少年がいた。
どうやってやったのか左目あたりだけが包帯をしていて、右目の瞳がとても赤い。学生服はなんだろう。なんかこう昔ながらのデザインだ。どこかで見たことあるけど、名前が分からないよ……。
「…えっとこんにちは」
「あ、こんにちは」
「……ん?」
とりあえずあいさつをしてふと気づく。いつの間にこの子はいたのだろうか。
扉は1つだけなので、誰かが来たらすぐに分かる。だけれど誰も来なかった。
ま、まさか……。恐る恐る聞いてみる。
「あ、あの……」
「はい」
「おかしなことを聞くんですが……。その、あの、えっと……。お、お化けではないですよね?」
「はい、お化けです」
「あ、やっぱりそうなんですか。へえー」

「ってえええーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー?」
私は驚きすぎてなぜか後ろに動いてしまった。そのせいで後ろにあった壁におもいっきりぶつかってしまった。

「いったーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーい!」

その時ゴーンと大きな音が鳴ったようで、なぜか学校中にその音が響いたらしい……。
な、なんで……?
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!

芽狐
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️ ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。  嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる! 転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。 新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか?? 更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!

裏アカ男子

やまいし
ファンタジー
ここは男女の貞操観念が逆転、そして人類すべてが美形になった世界。 転生した主人公にとってこの世界の女性は誰でも美少女、そして女性は元の世界の男性のように性欲が強いと気付く。 そこで彼は都合の良い(体の)関係を求めて裏アカを使用することにした。 ―—これはそんな彼祐樹が好き勝手に生きる物語。

悠々自適な転生冒険者ライフ ~実力がバレると面倒だから周りのみんなにはナイショです~

こばやん2号
ファンタジー
とある大学に通う22歳の大学生である日比野秋雨は、通学途中にある工事現場の事故に巻き込まれてあっけなく死んでしまう。 それを不憫に思った女神が、異世界で生き返る権利と異世界転生定番のチート能力を与えてくれた。 かつて生きていた世界で趣味で読んでいた小説の知識から、自分の実力がバレてしまうと面倒事に巻き込まれると思った彼は、自身の実力を隠したまま自由気ままな冒険者をすることにした。 果たして彼の二度目の人生はうまくいくのか? そして彼は自分の実力を隠したまま平和な異世界生活をおくれるのか!? ※この作品はアルファポリス、小説家になろうの両サイトで同時配信しております。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~

於田縫紀
ファンタジー
 ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。  しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。  そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。  対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。

キャンピングカーで往く異世界徒然紀行

タジリユウ
ファンタジー
《第4回次世代ファンタジーカップ 面白スキル賞》 【書籍化!】 コツコツとお金を貯めて念願のキャンピングカーを手に入れた主人公。 早速キャンピングカーで初めてのキャンプをしたのだが、次の日目が覚めるとそこは異世界であった。 そしていつの間にかキャンピングカーにはナビゲーション機能、自動修復機能、燃料補給機能など様々な機能を拡張できるようになっていた。 道中で出会ったもふもふの魔物やちょっと残念なエルフを仲間に加えて、キャンピングカーで異世界をのんびりと旅したいのだが… ※旧題)チートなキャンピングカーで旅する異世界徒然紀行〜もふもふと愉快な仲間を添えて〜 ※カクヨム様でも投稿をしております

私は聖女ではないですか。じゃあ勝手にするので放っといてください。

アーエル
ファンタジー
旧題:私は『聖女ではない』ですか。そうですか。帰ることも出来ませんか。じゃあ『勝手にする』ので放っといて下さい。 【 聖女?そんなもん知るか。報復?復讐?しますよ。当たり前でしょう?当然の権利です! 】 地震を知らせるアラームがなると同時に知らない世界の床に座り込んでいた。 同じ状況の少女と共に。 そして現れた『オレ様』な青年が、この国の第二王子!? 怯える少女と睨みつける私。 オレ様王子は少女を『聖女』として選び、私の存在を拒否して城から追い出した。 だったら『勝手にする』から放っておいて! 同時公開 ☆カクヨム さん ✻アルファポリスさんにて書籍化されました🎉 タイトルは【 私は聖女ではないですか。じゃあ勝手にするので放っといてください 】です。 そして番外編もはじめました。 相変わらず不定期です。 皆さんのおかげです。 本当にありがとうございます🙇💕 これからもよろしくお願いします。

処理中です...