黒の瞳の覚醒者

一条光

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十章~平穏な世界を求めて~

吉報を携えて

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 みんなで過ごす時間は瞬く間に過ぎていき残りの日数をあっという間に消化して予定していた滞在期間の終わりを迎えた。クロイツ王たちの目的であった協力を取り付けるという目的も充分に達成されたと言っていいだろう、異世界への派兵については国連の安全保障理事会でも議論が行われたが一部の常任理事国などの反対に遭い国連軍の派遣は得られなかった。関心を集めていても実際に魔物を知らない人たちからしたらヴァーンシアの問題はやはり遠い別の世界の関りのない出来事に思えるのかもしれない。だが、実際に魔物の被害に遭い危険性を知り、アドラに未だ帰還出来ない日本人が居り今後も救助活動を続けていく為にも日本はヴァーンシアへの助力を決断した。そして、どのような思惑があるにせよアメリカと中国からは軍の派遣を、EUの一部の国からは物資の提供を受けられる事になった。今回の帰還には準備が間に合っていないので後日迎えに来ることになるが……協力を得られた事は喜ぶべき事で大変な成果だろうが、色々あったせいで多少の不安がある。上手くやっていけるだろうか? ……いや、上手くやらないといけない、死地となった大陸を魔物を蹴散らしながら縦断をするんだ。かなり長い時間行動を共にする事になる、連携は必須だ。妙な苦手意識を持たない方がいい、とはいえ……恨まれたりしてる可能性も――。
「如月さーん! こっちは準備オーケーですよー! 何か問題がありましたかー?」
「ワタル大丈夫? 今日はずっとぼーっとしてるわよ。やっぱり故郷から離れるのは寂しい? もう少し頻繁に訪れた方がいいかしら」
 自衛隊員に声を掛けられてようやく自分のせいでヴァーンシアへの移動が止まっている事に気が付いた。隣に居るティナは心配そうにしていて目の前にある空間の裂け目は既に完全に閉じる寸前だった。大分物思いに耽っていたようだ。
「悪い、郷愁とかじゃないんだ。それに頻度を上げると問題が出るかもしれないんだろ? 今回はしょうがないけど、世界を行き来するなんて異常な事やってんだ、これ以上リスクを増やさない方がいいって。悪いけどもう一回頼む」
「そう? ならワタルが寂しい思いをしないように、あっちがワタルの故郷になるように頑張るわね。さっ、帰りましょう」
「了解――って、なんで手を握るんだよ。人目があるのに恥ずかしいだろ」
「ふふふ、ワタルが寂しくなってる暇なんて無くなるくらいにもっと触れ合う時間を増やそうと思って」
「バスん中からナハト達が睨んでんぞ」
「きっと後でやきもち焼いた娘にワタルはもみくちゃにされるわね」
 からかうような素振りを見せて楽しそうにするティナと話しながらも黒雷を纏った右腕から空間の裂け目へと電撃を打ち込みヴァーンシアへ向かう為の入り口を作り俺たちはそこへと吸い込まれる。この、世界を繋ぐ作業、何故俺だけが出来るのか……俺と同様の電気系覚醒者や恋、他の覚醒者の能力をぶつけても世界を行き来できる入り口は一度も開く事がなく俺以外は鍵になりえていない。エネルギーの問題だろうか? 俺は他人よりレベルが上がっている……でも瑞原が強化した恋も駄目だったんだよな……俺が居なくなるだけで多くの人間が帰還不能に陥る、か……軽はずみに動かないようにと偉い人たちから釘を刺されているが、性に合わないんだよなぁ。そんな事を考えている内に通常の空間へと抜けヴァーンシアへの帰還を果たした。いい加減この世界移動にも慣れたものだが、ティナが懸念したようにこの移動方法は問題があるんだろうか? 今の所どちらの世界の各国にも異常らしい異常の報告は無いと聞いているけど。
「またぼーっとしてる、そんなにぼーっとするならキスしちゃうわよ?」
「させるかっ、するなら私がする!」
「うおっ!? 何だなんだ!?」
 いつものように大胆なティナとそれに張り合うナハトに押し倒されてドタバタとバスの中で騒ぎ始める俺たち、どっちの世界に居ようと変わる事のない、寂しさを感じる暇なんてない。この温かさをいつまでも感じていたい、これを守る為に俺は戦うんだ。
『ひょわぁぁぁあああああ!?』
「ふむ、やっぱりティナも耳は弱いのか……良い事を知った」
 俺に伸し掛かった二人の耳へ手を伸ばしてそっと撫でると驚くほどの勢いで飛び退いた。ティナのこういった反応は新鮮だな、普段はどこ触っても何しても好きにしていいみたいに言っているのにこれほど驚くとは……今、俺は怪しく笑っているに違いない。
「わ、ワタル? その手は何?」
「いやもっかい試そうかと」
「っ! み、耳なんて触っても楽しくないでしょう? ほら! ワタルの大好きなおっぱい、こっちにしましょう?」
 俺の怪しい手の動きに恐れをなしたティナが自分の胸を持ち上げそっちへと気を引こうとしているが、その言い方だと俺がかなりの変態みたいで嫌だなぁ。それにティナの悲鳴は新鮮だった、もう一度ぐらい聞いてみたい。
「そんな事言ってると遠慮なく揉みしだくぞ――あた!? 何すん――紅月さんその燃える拳を収めてくれないでしょうか?」
「セクハラしてるあんたが悪い。そういうのは他所でやって、これ以上あたしの目の前でやるなら……髪が無くなるわよ?」
 頭への衝撃で振り返ると自身の拳に炎を纏わせ阿修羅のような顔をした紅月が目だけで人を射殺せそうなほどにこちらを睨んでいた。
「ひぃっ、止めます! だから髪は勘弁、ハゲは堪えられん。ハゲたら死ぬ、即刻死ぬ」
 頭を守りつつ後部座席の隅に逃げ込み丸くなる。なんとも情けないが男にとっても髪は命である、失うなど耐えられるはずもない。頭が光る黒雷使いの騎士とか……締まらねぇ、電撃撃つ度に頭が光りそうだ。
「大袈裟ねぇ、ほっとけばまた伸びるでしょうに」
「一時でも嫌なんだ! みんなも想像しろ、頭部に何もなくなってつんつるてんの俺を、何気ない時間を一緒に過ごしている俺の頭がテカってんだぞ!」
『っ!?』
「れ、麗奈、お願いですからやめてください。頭がピカピカしてるワタルはなんか嫌です」
 どんな状態を想像したのか焦ったリオが紅月に取り縋り必死に止めるものだから紅月の方も毒気を抜かれたのか炎を収めた。リオ以外もハゲた俺を想像したのかげんなりしている、フィオに至っては微妙に青ざめている。お前は何を想像したのか……妙な空気のまま俺たちは王都への帰路に就いた。

「航おかえりー。あーあ、いいなぁ~、あたしも日本行ってみたかったなぁ。あたし達だって一応日本人だと思うのになぁ」
「一般人の移動は制限されてるんだからしょうがないだろ、どうしてもってんなら移住は出来るが生活環境がらりと変わるぞ。この土産で我慢してくれ」
 城門前で出迎えてくれながらも不満そうにする美空たちに土産で買った山盛りの菓子や漫画、雑誌、面白文房具、音楽プレイヤーとデジカメを渡す。思い付いた物を適当に買ってきたんだが満足してくれるだろうか?
「わ~! これお兄さんが前に教えてくれたカメラってやつですよね。私たちの三人分ある、こっちのはなんだろう? お兄さんが持ってるすまほと同じですか?」
「いや、音楽プレイヤーだ。それに日本の音楽が大量に入ってる」
「音楽が? 航さんが言ってたでーたってやつですか?」
「そそ、よく覚えてるなぁ美緒は、偉いえらい」
 くしゃくしゃと頭を撫でてやると目を細めてされるがままになる。うむ、いい娘だ。あの一件の後も俺の手に怯えるような素振りが僅かにあったが、今はもうすっかり蟠りのようなものも感じないし普通に接してくれる。
「あ、あたしだってそのくらい覚えてたし! それで、こっちの大量の本は何? あたし勉強はあんまり好きじゃないんだけど」
「漫画とファッション誌その他諸々。少しは日本の同い年の娘たちの様子が分かるかと思ってな、字は読めるんだったよな?」
「読めるに決まってるじゃん、日本の文字を廃れさせないようにって受け継がれてきたんだからちゃんと読める……ところで漫画って? ファッションって何?」
 美空たちは土産に興味津々といった様子だがそれなりの量がある漫画や雑誌、ついでに買った勉強関連の書籍には戸惑いを見せている。
「そこからか……いやまぁそうか。漫画は、簡単に言えば絵本? ファッション誌は服装関連の写真が載ってる……はずだ。俺も読んだ事ないから分からんな」
「ふ~ん……それにしても多過ぎ! 運ぶの手伝ってよ――あっ、そういえば航たちの家完成したよ。見に来るでしょ? ついでに荷物運んで」
 完成、したのか。二度目の勲章を貰った後俺やフィオ達は何か褒美をと言われて暫し悩んでから城住まいもいいが日本区画に家を、と頼んでみたらあっさり了承されたんだよな。大所帯だからそれなりの大きさでと言ってあるがどうなったんだろう?
「素敵! とうとう愛の巣が完成したのね。私の部屋はワタルの部屋の隣に――」
「勝手に決めるなティナ、勿論隣の部屋は私のものだ」
「旦那様の隣の部屋も魅力的じゃが妾は折角頼んだ作業場が近い部屋がよいのじゃ」
 新居の完成に目を輝かせて当然の如く言ったティナを制してこればかりは絶対に譲れないとばかりにナハトが間に割って入る。ミシャも一瞬張り合おうとしたものの自分が頼んでいた工房の事を思い出して希望を変えた。
「儂は日当たりの良い部屋を所望する。場所はどこでも構わぬ」
「私のお部屋はクロエ様のお部屋のお側にお願いします」
 部屋割りには大して興味無さそうにそう言うと買い込んでいた醤油せんべいを齧り始めた。クーニャは住んでいた神殿が日当たりが良かっただけに日向ぼっこが好きなんだろうか? 俺は引きこもってたせいで暗い部屋は嫌いじゃないんだが。シロは何事もクロが中心だ、みんなの事も大切に思っているが一番はクロなのだ。今は同じく婚約者の身だから元の身分は関係なく平等だとクロは言ってるんだがシロ的にはクロのお世話がしたくて仕方がないんだろうな、クロの意見を尊重しつつもいつも傍に控えてるし。
「ワタル様のお婆様のお家で何日か過ごす事はありましたがこれからはずっと皆さん一緒にみんなのお家で暮らすのですね。とても楽しみです」
「結婚はまだですけどもう私たちは家族ですからね、私も楽しみです」
 クロとリオは俺たちという家族との新たな生活に期待で胸を膨らませているといった様子だ……よくよく考えてみれば俺たちは家族に恵まれていなかったり失っていたりなんてのが多いな、これからはみんなで楽しく暮らしていけるといいな。なんて俺も新たな暮らしに期待を寄せている。
「家族のお家……私の部屋もあるのよね? 部屋が貰えるなんて初めて…………」
「私はどこでもいい、どうせワタルの部屋には忍び込む」
 最後キリッとして自信満々に言うんじゃありません! 守ろう俺のプライバシー! といっても無理かフィオだし、日本家屋だから基本襖が多いだろうから鍵ないし……希望したの俺だけど。アリスはクロのずっと一緒やリオの家族という言葉に嬉しさが滲み出て顔がにやけるのを隠そうと必死だ。隠せていないが。
「今更だけど航って女誑しだよね。何でみんなここまで仲良いんだろ? 普通こんなに女の人居たら怒らない?」
「みんな同じ立場の婚約者だからじゃないかな? 上も下もなくて公平だから……お兄さんまだまだお嫁さん増やしそう。村に来た時は寂しい独り身だったのに」
 呆れ半分楽しみ半分といった様子の愛衣の言葉で全員がもう駄目だとばかりに睨んでくる。流石にもう増えないよ!? これ以上増やしたら人としてどうかしてるよ!? 九人も居る時点でアウトな気もするが今は気にしない……しないったら!
「ワタルの女運は確かに異常ですからまだ増えそうで怖いですね」
「大工さんそれを見越したのかお部屋がいっぱいあるお屋敷になってますよ」
 お屋敷!? ちょっと大きい民家ではなく? 美緒の言葉に引っ掛かる部分はあるが新居を見るのが楽しみになってきた。一体どんな家が建っているのか、広い庭とかあるといいなぁ。他のみんなはリオと同じ不安があるのか俺を見てため息を吐いている。
「まぁ、私たちもそのうち住む事になるかもしれないから広いに越した事はないですね」
 空気が凍り付くとはこういう事かと妙に納得してしまう、そんな空気がこの場に横たわっている。愛衣め余計な一言を、冗談が過ぎるぞ。
「ワタル? この娘たちは本当の本当に歳が離れてる娘たちですよね? それをやったら人として問題があるのは分かってますよね?」
「リオさんその顔やめてください、笑顔のはずなのに目が笑ってないし般若に見える――というか他のみんなも何その目!? 手出さないよ? 友達だってば」
「でも村に居た時あたし達をお嫁に貰うって話してたじゃん。こんなに居るんだから今更三人くらい増えてもいいんじゃない? それに航のお嫁になれば日本に行けるよね?」
 それやったら日本に行った時俺の立場は大変な事になりますが!? いや本当に。
「あぁそれいいかも、私も日本観光してみたいです。お兄さん、大事にしてくださいね?」
 隣からは愛衣たちのからかうような視線を受け、背中には恐ろしい視線をグサグサと刺されながら荷物を運ぶ。怖くて後ろが見れない……そんなに睨まなくても分かってるって、俺だって美緒たちをそういう目で見た事はない。どちらかといえば可愛い妹たちといった感じだ。手を出すはずがない。
「航どこ行くの? 航たちの家ここだよ」
「は? ……はぁあああああ!? ここぉ!? ここって、ずーっと白塗りの壁が続いてるんだが一体どんだけデカいんだ」
 立派な瓦の屋根付きの門を潜るとそこには異世界とは思えないほどに厳かで美しい日本庭園が広がっている。門から母屋までは石灯籠が立ち並び池の傍には東屋まである。これが俺の家? 母屋も大きい……大きな料亭とか旅館と言われた方がしっくりくるほどだ。
「本当に大きいですね」
「あら、そうかしら? このくらい普通じゃない? 私たちは十人も居るのよ?」
 元々城住まいだった姫には俺たちの驚きは伝わらないようだ。10LDKプラスミシャの工房があるとしても尚大きい、人数分以上の部屋数だとは言っていたが――将来的には良いのかな? その……子供、とか……何想像して照れてんだ俺! でも、嫁の人数的に物凄い子沢山になりそうじゃないか? うぉ……無性に恥ずかしくなってきた。
「航なに悶えてんの? 家具とかも揃ってるから荷物持ってきたらすぐに住めるよ――というかもうみんな荷物取りに行っちゃったよ」
「え? って、ほんとだ。いつのまに…………」
「航さんが顔を赤くして悶えている間にです」
「私たちもこれ持って帰りますからまた後で」
「あ、あぁ、案内ありがと」
 持てるだけの荷物をもって美空たちは駆け出して行った。私物の移動はそんなに手間じゃないし俺は少し中を見て回ろう、これが俺たちの家かー……引きこもりだったのに人生って分かんないなぁ。おぉ和箪笥だ、階段みたいになってるのもあるし二階もあって本当に広いな。これってこの階段箪笥を使って屋根裏に上がれって事か? っ!? 壁が回転した……隠し通路なんてあるのかよ。他にもあるのかと走り回ってみると畳の下や回転する壁の向こうに隠し部屋を発見した。俺の家忍者屋敷になっとる! 想像以上に面白い家に仕上がっているようだ。新しい暮らしという楽しみを得て、平穏を取り戻す戦いへの俺の意気は更に高まっていくのだった。
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