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一章~気が付けば異世界~
探索開始
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歩き出したものの、どこへ向かえばいいのかも分からない。
「なんでこんなことになってんだろ」
歩きながらスマホをいじる。やっぱりアンテナは立ってない。
時間を見ると十時四十分になったところだった。
普段ならまだ寝ているか、起きていても起き上がれず布団でごろごろしている時間だなぁ。
「はぁ、だるい……」
しばらく黙々と歩いたけど、歩いても歩いても見えるのは広大な草原だ。
代り映えしない景色にうんざりしてくる。結構歩いたはずなんだけどな……。
少し休憩しよう。疲れたし。長年引きこもって居たせいでスタミナがない。幸い食料はある、菓子だけど。
草の上に腰を下ろして荷物をあさる。
どれにしようかと迷うが、グミが多い……買い物に行くと、よく考えずにその時食べたい物を買い溜めることがあるけど、今回は酷いな。
スーパーの買い物袋いっぱいの菓子のほとんどがグミ、なんでもっと色んなの種類の菓子を買わなかったんだよ…………。
サワーハードグミの袋を開けて口いっぱいに頬張る。
「酸っぱー!」
酸味のある粉末がまぶしてあるから結構酸っぱい。それに硬めだから顎が疲れてくる。
でもグミは頬張って食べるのが好きなんだ。
もぐもぐしながらスマホの画面を見た。十三時前、歩き始めてから結構経ってたんだな。
強い風が吹いた。歩いて熱くなった身体に涼しい風が心地よい。
「それにしても鬱陶しいな」
顔が隠れる程に伸びた前髪を摘む。外に出ることがほとんどないせいで伸ばし放題だった髪を鬱陶しく感じる。他人に会わないから頓着しなかったもんなぁ。家じゃ横に流してたし。後ろは気にならないけど前髪はなんとかしたい。
今は風でぼさぼさだ……。
そんなくだらないことを考えてぼーっとしていた。現実逃避だな。
時間を見ると十四時前、一時間もぼーっとしてたのか……。
見渡す限り草原で人工物なんて全く見当たらない。もしかしてこのままだと野宿になるのか? 意識が現実に引き戻されて不安が大きくなる。
「歩こう」
とにかくこの草原ばっかりの景色から脱出したい。今日中に人工物を見つけたい、出来れば人と接触してここがどこなのか知りたい。
再び歩き始めたけど足が重い。
このままずっと草原ってことはないよな? 鈍った身体に鞭を打って歩く。
遠くに森が見えてきた。
草原以外の場所があると分かったことで多少安心したけど、すぐに不安が大きくなる。日が傾きだしていた。
森の手前にたどり着く頃にはすっかり日が暮れていた。
どうしよう? 草原を抜けはしたけど、夜の森に入るのは危ない気がする。
このまま進むより森から少し離れて草原で野宿のほうがいいんだろうなぁ。
「はぁ、野宿か……」
現代の日本人で野宿経験がある奴なんてそうそういないんじゃないか?
疲れたなぁ。こんなに長時間動いたの何年振りだろう。
このままずっと人に会えなかったらどうしよう…………。
あんなに人と関わるのが嫌だったのに、今は人に会いたいなんて変な感じだ。
明日は人、見つかるといいんだけど……。
草の上に寝転がりリュックを枕にする。
空には雲ひとつなくて月や無数の星が瞬き、とても綺麗で吸い込まれそうなほど神秘的な光景だ。
こんな異常事態じゃなけりゃ感動もするんだろうけど、俺の心は不安に支配されていた。
帰れる、よな? 帰る……? 俺は帰りたいんだろうか? あの引きこもるだけの空間に――
疲れていたんだろう、横になって目を瞑るとすぐに眠気がやってきた。いつもなら薬を飲まないと眠れないのにな。
まぶしい――。
それにやけに青臭い。
瞼を開けると、見えるのは青い空……。
「夢じゃなかったか……」
気怠い身体を起こし周りを見る。やっぱり夢じゃなかったか。夢オチ結構期待してたんだけどなぁ。
時間は、八時か……。こんなに早起きしたのは久しぶりだ。
ぐぅー。
腹、減ったな。でも有るのは菓子だけ――。
飯食いたいなぁ。それに昨日は気にならなかったけど喉も渇いた。とりあえず水だけでも確保したい。
腹は減ってるけど、喉が渇くから少しずつだな。
グミの袋を一つ開けて、一粒口に放り込む。
今日は絶対に人――は無理にしても水場はなんとしても見つけたい。
立ち上がり昨日の森へ向かう。
改めて見るとこの森の木、物凄くデカいものが多いな。幹も凄く太いし。
やっぱりここ、日本じゃないんじゃないか?
こんな森に入って大丈夫か? ヤバいものとかいないよな?
不安で足が前に出ない。しばらく逡巡して、ようやく森へ踏み入る。
「変なものが出ませんように」
大きな木々が生い茂っているせいで森の中は少し暗い感じだ。
どう考えてもこんな所に人なんて居そうにない。引き返そうか………?
でも引き返してどこへ行く? またあのだだっ広い草原に戻るのか?
不安に駆られながらも、凸凹して歩きづらい森の中を進む。
木の根に足を取られた。
「あぁー、もう、歩きづらいしめんどくせぇー!」
なんでこんなことになった? 引きこもり続けてたから罰が当たったのか?
罰で別の場所に飛ばされました。って漫画かよ?
漫画ならタイムスリップか異世界ってところか。
タイムスリップ…………は嫌だな、こんなに自然豊かなら大昔だ。だとしたら人が全く居ない可能性がある。
異世界は異世界で問題だな、ゲームみたいなファンタジーな世界だったら魔物に遭遇したとたんに終わりだろう。武器もない特別な力もないゲームで言えば名もない村人レベルの俺が戦えるわけもない。もしかしたら村人よりも弱いかもな。うつ病引きニートなんだし………………。
あぁ、なにくだらないこと考えてるんだろう。
「進むか……」
しばらく黙々と歩く、バカなことを考え出さないように身体を動かす。運動不足の身体には堪えるらしく汗がどんどん出る。ベタベタして気持ち悪い。
大分進んだところでぽっかりと開けた空間に出た。薄暗い場所から日の光が差し込む場所に出たことでいくらか気分がマシになる。
ここで休憩しよう。近くの木にもたれ掛かる。随分と歩いた気がする。
スマホで時間を確認すると十三時前だった。五時間近くも歩き続けたんだと思うと疲れが一気に身体を襲う。このまま寝てしまえたらどんなにいいだろう。
でもこんな森の中で野宿なんて絶対したくない。
三十分程休憩してまた歩き出す。
疲れと空腹感からついグミを頬張る。気づけば三袋空にしていた。
喉が渇いた……。せめて水場くらいないのか。
ぐきゅるる~。
忘れていた。
グミを食べ過ぎると腹痛になるんだった……。
「うぅぅ」
我慢できそうにない。
「はぁ、ティッシュ持っててよかった」
もう嫌だ。普通にトイレで済ませたいし、風呂にだって入りたい。
無理してでも歩くスピードを上げて、森を抜けてしまおう。
そんなことを考えていたとき、奇妙な鳴き声が聞こえた。不安が一気に膨らんだ。
俺は疲れているのも忘れて無我夢中で走った。
息が切れて、動けなくなって膝をつく。
「ヒュー、ヒュー、ヒュー」
身体が酸素を求めて呼吸が荒くなり喘鳴がする。
しばらくしてやっと呼吸が落ち着いてきて、ようやく気付く。
俺は街道らしき場所に居た。
――轍がある! 人がいるんだ! まだ明るいし今日中に人のいる場所にたどり着けるかもしれない。
疲れてはいたけど、早くこの状況から脱したい一心で轍に沿って歩き続けた。
小高い丘を登り切ると町が見えた。
「やった……」
人がいる場所にたどり着けた。疲労で足が重たいがそんなこと気にせず走った。
全然速くなんてなかったけど、それでも走った。
「なんでこんなことになってんだろ」
歩きながらスマホをいじる。やっぱりアンテナは立ってない。
時間を見ると十時四十分になったところだった。
普段ならまだ寝ているか、起きていても起き上がれず布団でごろごろしている時間だなぁ。
「はぁ、だるい……」
しばらく黙々と歩いたけど、歩いても歩いても見えるのは広大な草原だ。
代り映えしない景色にうんざりしてくる。結構歩いたはずなんだけどな……。
少し休憩しよう。疲れたし。長年引きこもって居たせいでスタミナがない。幸い食料はある、菓子だけど。
草の上に腰を下ろして荷物をあさる。
どれにしようかと迷うが、グミが多い……買い物に行くと、よく考えずにその時食べたい物を買い溜めることがあるけど、今回は酷いな。
スーパーの買い物袋いっぱいの菓子のほとんどがグミ、なんでもっと色んなの種類の菓子を買わなかったんだよ…………。
サワーハードグミの袋を開けて口いっぱいに頬張る。
「酸っぱー!」
酸味のある粉末がまぶしてあるから結構酸っぱい。それに硬めだから顎が疲れてくる。
でもグミは頬張って食べるのが好きなんだ。
もぐもぐしながらスマホの画面を見た。十三時前、歩き始めてから結構経ってたんだな。
強い風が吹いた。歩いて熱くなった身体に涼しい風が心地よい。
「それにしても鬱陶しいな」
顔が隠れる程に伸びた前髪を摘む。外に出ることがほとんどないせいで伸ばし放題だった髪を鬱陶しく感じる。他人に会わないから頓着しなかったもんなぁ。家じゃ横に流してたし。後ろは気にならないけど前髪はなんとかしたい。
今は風でぼさぼさだ……。
そんなくだらないことを考えてぼーっとしていた。現実逃避だな。
時間を見ると十四時前、一時間もぼーっとしてたのか……。
見渡す限り草原で人工物なんて全く見当たらない。もしかしてこのままだと野宿になるのか? 意識が現実に引き戻されて不安が大きくなる。
「歩こう」
とにかくこの草原ばっかりの景色から脱出したい。今日中に人工物を見つけたい、出来れば人と接触してここがどこなのか知りたい。
再び歩き始めたけど足が重い。
このままずっと草原ってことはないよな? 鈍った身体に鞭を打って歩く。
遠くに森が見えてきた。
草原以外の場所があると分かったことで多少安心したけど、すぐに不安が大きくなる。日が傾きだしていた。
森の手前にたどり着く頃にはすっかり日が暮れていた。
どうしよう? 草原を抜けはしたけど、夜の森に入るのは危ない気がする。
このまま進むより森から少し離れて草原で野宿のほうがいいんだろうなぁ。
「はぁ、野宿か……」
現代の日本人で野宿経験がある奴なんてそうそういないんじゃないか?
疲れたなぁ。こんなに長時間動いたの何年振りだろう。
このままずっと人に会えなかったらどうしよう…………。
あんなに人と関わるのが嫌だったのに、今は人に会いたいなんて変な感じだ。
明日は人、見つかるといいんだけど……。
草の上に寝転がりリュックを枕にする。
空には雲ひとつなくて月や無数の星が瞬き、とても綺麗で吸い込まれそうなほど神秘的な光景だ。
こんな異常事態じゃなけりゃ感動もするんだろうけど、俺の心は不安に支配されていた。
帰れる、よな? 帰る……? 俺は帰りたいんだろうか? あの引きこもるだけの空間に――
疲れていたんだろう、横になって目を瞑るとすぐに眠気がやってきた。いつもなら薬を飲まないと眠れないのにな。
まぶしい――。
それにやけに青臭い。
瞼を開けると、見えるのは青い空……。
「夢じゃなかったか……」
気怠い身体を起こし周りを見る。やっぱり夢じゃなかったか。夢オチ結構期待してたんだけどなぁ。
時間は、八時か……。こんなに早起きしたのは久しぶりだ。
ぐぅー。
腹、減ったな。でも有るのは菓子だけ――。
飯食いたいなぁ。それに昨日は気にならなかったけど喉も渇いた。とりあえず水だけでも確保したい。
腹は減ってるけど、喉が渇くから少しずつだな。
グミの袋を一つ開けて、一粒口に放り込む。
今日は絶対に人――は無理にしても水場はなんとしても見つけたい。
立ち上がり昨日の森へ向かう。
改めて見るとこの森の木、物凄くデカいものが多いな。幹も凄く太いし。
やっぱりここ、日本じゃないんじゃないか?
こんな森に入って大丈夫か? ヤバいものとかいないよな?
不安で足が前に出ない。しばらく逡巡して、ようやく森へ踏み入る。
「変なものが出ませんように」
大きな木々が生い茂っているせいで森の中は少し暗い感じだ。
どう考えてもこんな所に人なんて居そうにない。引き返そうか………?
でも引き返してどこへ行く? またあのだだっ広い草原に戻るのか?
不安に駆られながらも、凸凹して歩きづらい森の中を進む。
木の根に足を取られた。
「あぁー、もう、歩きづらいしめんどくせぇー!」
なんでこんなことになった? 引きこもり続けてたから罰が当たったのか?
罰で別の場所に飛ばされました。って漫画かよ?
漫画ならタイムスリップか異世界ってところか。
タイムスリップ…………は嫌だな、こんなに自然豊かなら大昔だ。だとしたら人が全く居ない可能性がある。
異世界は異世界で問題だな、ゲームみたいなファンタジーな世界だったら魔物に遭遇したとたんに終わりだろう。武器もない特別な力もないゲームで言えば名もない村人レベルの俺が戦えるわけもない。もしかしたら村人よりも弱いかもな。うつ病引きニートなんだし………………。
あぁ、なにくだらないこと考えてるんだろう。
「進むか……」
しばらく黙々と歩く、バカなことを考え出さないように身体を動かす。運動不足の身体には堪えるらしく汗がどんどん出る。ベタベタして気持ち悪い。
大分進んだところでぽっかりと開けた空間に出た。薄暗い場所から日の光が差し込む場所に出たことでいくらか気分がマシになる。
ここで休憩しよう。近くの木にもたれ掛かる。随分と歩いた気がする。
スマホで時間を確認すると十三時前だった。五時間近くも歩き続けたんだと思うと疲れが一気に身体を襲う。このまま寝てしまえたらどんなにいいだろう。
でもこんな森の中で野宿なんて絶対したくない。
三十分程休憩してまた歩き出す。
疲れと空腹感からついグミを頬張る。気づけば三袋空にしていた。
喉が渇いた……。せめて水場くらいないのか。
ぐきゅるる~。
忘れていた。
グミを食べ過ぎると腹痛になるんだった……。
「うぅぅ」
我慢できそうにない。
「はぁ、ティッシュ持っててよかった」
もう嫌だ。普通にトイレで済ませたいし、風呂にだって入りたい。
無理してでも歩くスピードを上げて、森を抜けてしまおう。
そんなことを考えていたとき、奇妙な鳴き声が聞こえた。不安が一気に膨らんだ。
俺は疲れているのも忘れて無我夢中で走った。
息が切れて、動けなくなって膝をつく。
「ヒュー、ヒュー、ヒュー」
身体が酸素を求めて呼吸が荒くなり喘鳴がする。
しばらくしてやっと呼吸が落ち着いてきて、ようやく気付く。
俺は街道らしき場所に居た。
――轍がある! 人がいるんだ! まだ明るいし今日中に人のいる場所にたどり着けるかもしれない。
疲れてはいたけど、早くこの状況から脱したい一心で轍に沿って歩き続けた。
小高い丘を登り切ると町が見えた。
「やった……」
人がいる場所にたどり着けた。疲労で足が重たいがそんなこと気にせず走った。
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