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 わたしの気持ちが届いたのか、魔法で綺麗にしてくれます。

 良かった。ドレスが元に戻った。

 ほっとしたのも束の間、彼の腕の中に収まってしまった。

「アンジュ。僕が贈ったドレス似合うよ」
「クロード様、ありがとうございます」

 わたしに突っかかってきた女子たちの顔色がかわる。
 そうよね。皇帝陛下クロード様からの贈り物をダサいなんて言ったものね。

 クロード様はわたしの目を見ます。

「アンジュ。探し人は見つかったんだね」
「はい。ですが、全て手遅れでした」
「報告書は読んだ。なかなかのクズ揃いだね」

 冷たい視線を俯いている国王陛下と学園長に向けます。

「アンジェリーナ!!どう言うことだ!」

 何が?

「皇帝陛下ですか?すっごいイケメン。わたしカロンです。お茶しませんかぁ?」

 場違いな声が響く。
 大丈夫か?こいつら?
 マナーはどこいった?

「王太子様、どう言う意味ですか?」
「なぜお前が皇帝陛下と共にいる?」
「わたしの婚約者ですわ」
「婚約・・・者?」
「ですから、人違いです。わたしはアンジュ・トレイニーです。エルフィア帝国、トレイニー公爵令嬢のアンジュ・トレイニー。クロード皇帝陛下の婚約者です」

 王太子殿下の口がぱくぱくしています。
 気持ち悪い。

「えっ?」

「人違いだと幾度なくいいました。わたしはアンジュ・トレイニーだと」
「いや、でも・・・」
「嘘ですわ。その顔つき、髪の色、目の色、全てアンジェリーナ・クラウドじゃないですか。嘘つき!そんな方が皇帝陛下の婚約者なんてありえませんっ!」

 はあ~。
 本当に違うのに。

「世の中、自分にそっくりな人が3人いるといいます。違うといったら違います」

 どう説明すればいいのでしょう。
 そんなに似ているのか・・・。

 でも・・・当たり前か・・・。

「まあ、偽物か本物かは今はさておき、わたしの身分はトレイニー公爵令嬢でクラウド様の婚約者には変わりありません。ですので、これまでのこと、この場で報告します」


 バッと視線が集まった。
 顔色が悪くなる方揃いです。

 さあ、断罪の時間です。

 エイテルがくる。

 わたしの後ろにエイテルを合わせ3人の人物が現れます。それぞれの手には分厚い紙の束。
 見かねた侍従が机を持ってきてくれるた。
 その上にそれぞれが置く。

「こちらは国王陛下が付けて下さった『影』のぶん、こちらは帝国、クロード様が付けて下さった『影』のぶん、これは私自身が付けた報告書です。形式はだけは同じにしておりますが、わたしたちはいっさい接点はもっておりません。それをご理解の上、読み比べてください」

 国王陛下、学園長は三種類を見比べながら読みます。
 どんどんと顔色が、赤になって、青になって白へと変わります。
 面白い・・・。

 国王陛下は手が震えていますし、学園長は膝がガクガクしていて今にも、力を失いそう。
 
 クロード様も数枚、読みます。

 わたしの報告書を読んで知ってらっしゃるでしょうに。
 意地悪な方。

 悪い笑みをみせます。

「我、婚約者に・・・」

 クロード様はわたしの手をとり口づけを落とします。
 恥ずかしいです。

「学園長。これはどう言うことだ?食堂の利用を断る。アンジュに暴言を吐いたものは学園長の家の関係者か。卒業式では名前も呼ばれなかったしな。
 僕の婚約者侮ると言うことは帝国に仇することと等しいが、覚悟はできてるんだろうね」
「そ、それは・・・」
「他には・・・ほぅ、針にナイフ。鞄を隠され、教科書紛失、カンニング疑惑?さまざまなだな」

 ゾクゾクする声。
 うっとりしてしまいそう。

「違いますわ。それはわたしがその女にされたことです!!」

 何、突然?
 
「ほう・・・?」
「わたし、がアンジェリーナ様にいじめらるましたの。先日は階段からも落とされましたの!
 そんな酷い人が皇帝陛下の婚約者なんて!ありえませんわ!!」

 くくくっ、

 クロード様が喉を鳴らします。
 あらあら、悪いことをする時の癖が出てますわ。

「へぇ~。僕の『影』を馬鹿にするんだね」

 目が怖いですわね。

 カロン様がガタガタと震えあがった。

 まだクロード様は手加減しているのに。
 勝てもしないのに喧嘩を売るなんて。
 力量がわからないのかしら?


「僕は馬鹿にされるのが嫌いなんだよね。『影』が間違えているなら証拠を持ってきてもらおうかな?」

「し、証拠?証拠は、わたしよ!わたしが言ってるんだから!間違いありません」

 どうして自信満々なの?
 強気だわ。

「そんなもの証拠にもならん。こちらは同じものが3枚ある」
「口裏合したものでしょう!!」
「悪いな。僕の『影』は極秘ゆえ、こちら側には報告しなかったうえ、こちらの『影』より数段有能なんだよ。形のない証拠は証拠でない。それに盗人を信用することはできない」

 クロード様の目が細まりカロン様をみました。
 

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