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33.楽しい?お茶会1

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 ロイド様の提案は、数日後に叶うことになった。

 すごいメンバーだと思う。
 
 丸い机を囲むように、王妃様の両脇にリュート殿下にロイド殿下、その隣にソレイユ様、そしてわたし、セイネ様、ルナ様と並んでいる。

ーなぜわたしが、同じ席に混じっているの!しかもソレイユ様の隣ってどうして!!

 殿下たちの後ろに控えているアルフ様を睨らみつけた。
 
 彼はわたしの視線に気づいたのに、すぐに目を逸らした。

ー逃げるんじゃないわよ!!

 そうい叫んでやりたかった。
 しかし、同じ心境はわたしだけではない。アンナ様、マリー様、メリア様、そして、サリナ様も同じような緊張感を漂わせているのがわかる。
 
ー当然よね・・・

 何が起こるのか未知すぎる。今すぐに逃げ出したいのを我慢するしかできず、形だけでも取り繕う。
 
 そんな空気の中、王妃様がにっこりと開会を宣言した。

「今日は気楽におしゃべりしましょうね」
「こうして集まってお茶会は楽しいですね」

 ロイド殿下が続く。

ーこの状況を作り出した張本人は、わかってないの!?

 この空気が読めていないのか。
 天然なのか、鈍いのか。甚だ疑問に感じてしまう。

「フィー・・・だったかしら?」

 王妃様が声をかけてきた。
 あまりのことにびっくりして立ち上がり頭を下げた。

「は、はい。フィーです。このような場所に、わたしのようなものまでお招きいただきありがとうございますっ」
「構わないわ。人魚のことを調べてる変わり者と聞いて、会ってみたかったのよ。それより、その髪、染めていないのよね」

 好奇の眼差しで見られているのを感じる。

 わたしは下を向いたまま垂れ下がっている自分の横髪を見やった。

 今回のお茶会にあたり、マリー様経由で再びアンナ様にドレスを借りたまでは良かったのだが、流石にメイドキャップで髪を隠すわけにはいかなかったのだ。

 マリー様に申し訳なく頼むと「やりがいがあるわ」っと嬉々として髪を結ってくれた。この場に見合うようにしてくれたのは良かったが慣れないためどうすればよいのかわからない。

「はい、染めていません」
「珍しいわよね。家系的なもの?」

 家系なのだろうか?
 行ったことのある国ではわたしと同じ髪色を持つ人を見たことはなかった。

「どうでしょうか?気がついた時には家族もいませんでしたから」
「あら、やだわ」
「あっ、いえ。気にしたことはないので大丈夫です」

 誰もが哀れそうな視線が飛んできたのがわかったので、こんな時に言うことではなかったと反省する。

「わたしの祖先の女性が、銀色の髪に紫の瞳の女性に会ったことがあるそうですわ」

 ソレイユ様がぽつりと呟く。

「カラナイ国でのことなの?」
「そうだと聞いています。400年前、私と同じ白髪赤い目の女性であるレフィシア様を当時の王太子がカラナイ国に連れて帰って数年後の話だそうです。少しの間レフィシア様と交流した後、旅に戻ったとされています」
「じゃあ、きっとフィーのご先祖ね」

 王妃様は無邪気に言ってくる。

「この近くの国では見ないわよね。アルフならわかるかしら?」

 アルフ様に話を振る。
 
「フィー、そのままでは首も疲れるだろう。もう普通にして座ればいい。・・・王妃」

 王妃の質問に答えるより先にわたしに指示した。

 肩を震わせながら、席に着く。

「王妃。私も全ての国を回ったわけではないので、よくはわかりませんよ。ですが、今までの人生の中では二人だけ見たことはありますね」 

 少し怖い感じがした。

「相変わらず秘密主義よね」

 王妃様はクスクスと声を立てて笑った。




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