12 / 37
二章、学園時代
13歳ー1
しおりを挟む
春になり、わたしたちは学園に入った。
わたしはカリナと同じ一年生となる。
両親がわたしは気難しく力の制御もままならないなど、あることないことを理由に出来損ないだからと、カリナと同じ学年にいれたのだ。
そんな理由を並べながらも、ちゃっかりと奨学金申請をしていったのだから驚きである。
とはいえ、魔術騎士であるアウスラー先生の助言と入学早々にあった実技テストのさい今持つ実力を見せたことで、奨学金どころか特待生候補の審査を受けれることになった。
もし、特待生になれば学費免除になり、両親からも干渉されなくなると思うと嬉しい限りである。
飛び級の話も出てはいるが、今は両親を逆撫でしたくないので、このままで行こうとは思っていた。幸いにもアウスラー先生のフォローによっておおよその先生方の理解も得ているので大丈夫そうだ。
本当にアウスラー先生には感謝しきれない。
ちなみに当のアウスラー先生はわたしの学園行きに伴い家庭教師契約を打ち切られたが、ちゃっかりと学園の魔術科の先生に収まっている。なので、いまだにわたしと顔を合わしていた。
カリナは持ち前の愛嬌と人懐っこさで入学早々に友達を作りクラスの人気者になっている。努力家でもあるため、妬む人は少ないだろう。何より光魔法を持つ者としてみんなから一目置かれていた。
それに、クラルテもいるので大丈夫だとは思っている。
仲良くおしゃべりをしているカリナを見ていると、自分の妹ながら自慢したくなった。
わたしはというと、まさか一年生というのは魔術初心者に近いとは思っていなかったため、実力テストで全員の前で膨大な魔力と青い火を見せつけてしまったことで、遠巻きにされた。
両親の流した『力の制御ができない』という噂を信じ込んだ生徒もいたため誰も声をかけてくることはなかった。
つまり、入学初めからつまづいたのだ。
もともと一人でいても苦痛に思わないので構わないのだが、カリナにだけは迷惑をかけないようにと心に誓ってはいる。
『みんなわかってないのねぇ~』
カリナの傍でいるはずのクラルテは暇さえあれば分身の小さな光の玉を私の元に飛ばして来ていた。わたしの膨大な魔力を栄養補給として求めにきている。
ただであげるとセイカは眉を寄せて嫌がり、クラルテもそれがわかっているのか、カリナの状況などを勝手に報告しにきていた。
『別にわかってもらわなくてもかまわないわ』
『あなたはそうかもしれないけど~、鸞様はそうは思ってはないわよ~。まぁ~、私が口出しすることじゃぁないわね~。それより、周りには気をつけた方がいいんじゃな~い?』
『えっ?』
わたしは光の玉を見た。
玉だけあって、表情はわからない。
『人間関係なんて、わたしたちにはわからないからね~』
それだけ言うと、クラルテは消えていった。
精霊は人間とは感性が違う。
人間のように対人関係を拗らせることもないのだろう。
クラルテはどんな意味だったのかわからなかった。
わたしはカリナと同じ一年生となる。
両親がわたしは気難しく力の制御もままならないなど、あることないことを理由に出来損ないだからと、カリナと同じ学年にいれたのだ。
そんな理由を並べながらも、ちゃっかりと奨学金申請をしていったのだから驚きである。
とはいえ、魔術騎士であるアウスラー先生の助言と入学早々にあった実技テストのさい今持つ実力を見せたことで、奨学金どころか特待生候補の審査を受けれることになった。
もし、特待生になれば学費免除になり、両親からも干渉されなくなると思うと嬉しい限りである。
飛び級の話も出てはいるが、今は両親を逆撫でしたくないので、このままで行こうとは思っていた。幸いにもアウスラー先生のフォローによっておおよその先生方の理解も得ているので大丈夫そうだ。
本当にアウスラー先生には感謝しきれない。
ちなみに当のアウスラー先生はわたしの学園行きに伴い家庭教師契約を打ち切られたが、ちゃっかりと学園の魔術科の先生に収まっている。なので、いまだにわたしと顔を合わしていた。
カリナは持ち前の愛嬌と人懐っこさで入学早々に友達を作りクラスの人気者になっている。努力家でもあるため、妬む人は少ないだろう。何より光魔法を持つ者としてみんなから一目置かれていた。
それに、クラルテもいるので大丈夫だとは思っている。
仲良くおしゃべりをしているカリナを見ていると、自分の妹ながら自慢したくなった。
わたしはというと、まさか一年生というのは魔術初心者に近いとは思っていなかったため、実力テストで全員の前で膨大な魔力と青い火を見せつけてしまったことで、遠巻きにされた。
両親の流した『力の制御ができない』という噂を信じ込んだ生徒もいたため誰も声をかけてくることはなかった。
つまり、入学初めからつまづいたのだ。
もともと一人でいても苦痛に思わないので構わないのだが、カリナにだけは迷惑をかけないようにと心に誓ってはいる。
『みんなわかってないのねぇ~』
カリナの傍でいるはずのクラルテは暇さえあれば分身の小さな光の玉を私の元に飛ばして来ていた。わたしの膨大な魔力を栄養補給として求めにきている。
ただであげるとセイカは眉を寄せて嫌がり、クラルテもそれがわかっているのか、カリナの状況などを勝手に報告しにきていた。
『別にわかってもらわなくてもかまわないわ』
『あなたはそうかもしれないけど~、鸞様はそうは思ってはないわよ~。まぁ~、私が口出しすることじゃぁないわね~。それより、周りには気をつけた方がいいんじゃな~い?』
『えっ?』
わたしは光の玉を見た。
玉だけあって、表情はわからない。
『人間関係なんて、わたしたちにはわからないからね~』
それだけ言うと、クラルテは消えていった。
精霊は人間とは感性が違う。
人間のように対人関係を拗らせることもないのだろう。
クラルテはどんな意味だったのかわからなかった。
1
お気に入りに追加
219
あなたにおすすめの小説
この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
記憶を失くした悪役令嬢~私に婚約者なんておりましたでしょうか~
Blue
恋愛
マッツォレーラ侯爵の娘、エレオノーラ・マッツォレーラは、第一王子の婚約者。しかし、その婚約者を奪った男爵令嬢を助けようとして今正に、階段から二人まとめて落ちようとしていた。
走馬灯のように、第一王子との思い出を思い出す彼女は、強い衝撃と共に意識を失ったのだった。
公爵夫人アリアの華麗なるダブルワーク〜秘密の隠し部屋からお届けいたします〜
白猫
恋愛
主人公アリアとディカルト公爵家の当主であるルドルフは、政略結婚により結ばれた典型的な貴族の夫婦だった。 がしかし、5年ぶりに戦地から戻ったルドルフは敗戦国である隣国の平民イザベラを連れ帰る。城に戻ったルドルフからは目すら合わせてもらえないまま、本邸と別邸にわかれた別居生活が始まる。愛人なのかすら教えてもらえない女性の存在、そのイザベラから無駄に意識されるうちに、アリアは面倒臭さに頭を抱えるようになる。ある日、侍女から語られたイザベラに関する「推測」をきっかけに物語は大きく動き出す。 暗闇しかないトンネルのような現状から抜け出すには、ルドルフと離婚し公爵令嬢に戻るしかないと思っていたアリアだが、その「推測」にひと握りの可能性を見出したのだ。そして公爵邸にいながら自分を磨き、リスキリングに挑戦する。とにかく今あるものを使って、できるだけ抵抗しよう!そんなアリアを待っていたのは、思わぬ新しい人生と想像を上回る幸福であった。公爵夫人の反撃と挑戦の狼煙、いまここに高く打ち上げます!
➡️登場人物、国、背景など全て架空の100%フィクションです。
性悪という理由で婚約破棄された嫌われ者の令嬢~心の綺麗な者しか好かれない精霊と友達になる~
黒塔真実
恋愛
公爵令嬢カリーナは幼い頃から後妻と義妹によって悪者にされ孤独に育ってきた。15歳になり入学した王立学園でも、悪知恵の働く義妹とカリーナの婚約者でありながら義妹に洗脳されている第二王子の働きにより、学園中の嫌われ者になってしまう。しかも再会した初恋の第一王子にまで軽蔑されてしまい、さらに止めの一撃のように第二王子に「性悪」を理由に婚約破棄を宣言されて……!? 恋愛&悪が報いを受ける「ざまぁ」もの!! ※※※主人公は最終的にチート能力に目覚めます※※※アルファポリスオンリー※※※皆様の応援のおかげで第14回恋愛大賞で奨励賞を頂きました。ありがとうございます※※※
すみません、すっきりざまぁ終了したのでいったん完結します→※書籍化予定部分=【本編】を引き下げます。【番外編】追加予定→ルシアン視点追加→最新のディー視点の番外編は書籍化関連のページにて、アンケートに答えると読めます!!
大好きな旦那様はどうやら聖女様のことがお好きなようです
古堂すいう
恋愛
祖父から溺愛され我儘に育った公爵令嬢セレーネは、婚約者である皇子から衆目の中、突如婚約破棄を言い渡される。
皇子の横にはセレーネが嫌う男爵令嬢の姿があった。
他人から冷たい視線を浴びたことなどないセレーネに戸惑うばかり、そんな彼女に所有財産没収の命が下されようとしたその時。
救いの手を差し伸べたのは神官長──エルゲンだった。
セレーネは、エルゲンと婚姻を結んだ当初「穏やかで誰にでも微笑むつまらない人」だという印象をもっていたけれど、共に生活する内に徐々に彼の人柄に惹かれていく。
だけれど彼には想い人が出来てしまったようで──…。
「今度はわたくしが恩を返すべきなんですわ!」
今まで自分のことばかりだったセレーネは、初めて人のために何かしたいと思い立ち、大好きな旦那様のために奮闘するのだが──…。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
好きでした、さようなら
豆狸
恋愛
「……すまない」
初夜の床で、彼は言いました。
「君ではない。私が欲しかった辺境伯令嬢のアンリエット殿は君ではなかったんだ」
悲しげに俯く姿を見て、私の心は二度目の死を迎えたのです。
なろう様でも公開中です。
【本編完結】婚約破棄されて嫁いだ先の旦那様は、結婚翌日に私が妻だと気づいたようです
八重
恋愛
社交界で『稀代の歌姫』の名で知られ、王太子の婚約者でもあったエリーヌ・ブランシェ。
皆の憧れの的だった彼女はある夜会の日、親友で同じ歌手だったロラに嫉妬され、彼女の陰謀で歌声を失った──
ロラに婚約者も奪われ、歌声も失い、さらに冤罪をかけられて牢屋に入れられる。
そして王太子の命によりエリーヌは、『毒公爵』と悪名高いアンリ・エマニュエル公爵のもとへと嫁ぐことになる。
仕事を理由に初日の挨拶もすっぽかされるエリーヌ。
婚約者を失ったばかりだったため、そっと夫を支えていけばいい、愛されなくてもそれで構わない。
エリーヌはそう思っていたのに……。
翌日廊下で会った後にアンリの態度が急変!!
「この娘は誰だ?」
「アンリ様の奥様、エリーヌ様でございます」
「僕は、結婚したのか?」
側近の言葉も仕事に夢中で聞き流してしまっていたアンリは、自分が結婚したことに気づいていなかった。
自分にこんなにも魅力的で可愛い奥さんが出来たことを知り、アンリの溺愛と好き好き攻撃が止まらなくなり──?!
■恋愛に初々しい夫婦の溺愛甘々シンデレラストーリー。
親友に騙されて恋人を奪われたエリーヌが、政略結婚をきっかけにベタ甘に溺愛されて幸せになるお話。
※他サイトでも投稿中で、『小説家になろう』先行公開です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる