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1、幼少期

12歳ー1

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  初めは小さな夢であっても自分で考え、自らの足で動けばそれは目標となり、努力を続ければいずれ未来へとつながるー。




 目の前にいる青年姿のセイカに剣を向け打ってでる。こちらが全力で立ち向かってもセイカはいとも簡単に私の剣を受けながした。

「軽い」
 
 セイカの扱う片刃剣の方が細いというのに、押し返される。

「剣の腕だけで勝てるわけないだろう。魔力を剣に宿せ。剣の当たる場所を予測して魔力の集中しろ」

 簡単に言えども、うまくいかない。頭で考える間に行動は遅くなり、行動を先にすれば、したいことは遅れる。

 それが当たり前になるぐらい身体に叩き込まなければならない。

 セイカの指導は厳しいものだった。
 泣き言を言えば、次からの指導はない。
 「嫌ならしなければいい」と言われるだけ。セイカにとっては「大変な目をしてまでしなくて構わないだろう」という思いからの言葉だったが、わたしには自分の存在を否定されたように思えたのだ。
 どんなに辛くてもやめなかった。

 1時間ほど撃ち合って、休憩する。

 セイカも人型から、鳥の姿に戻り私の肩に止まると丸くなって動かなくなった。

『やはり、人型は疲れる。お前の相手になるのは悪くはないが、外野が五月蝿い』

 人型のセイカを見ようと侍女やメイドが何かと理由をつけて訓練場に見に来るのが煩わしいようだ。鳥の姿でもその可愛さから手懐けようとしてくるのだから、セイカは自由に行動しようとはしなかった。

「お疲れ様。あとで部屋でたらいを用意するね」
『うむ』
 
 ゆっくり水浴びをしてくつろいでもらわないと。

 ぷかぷか浮かぶ青い鳥を想像してわたしは笑った。

『エルファちゃ~ん。ここにいたの~?』
 
 クラルテの軽い声が聞こえた。

「お姉様」

 同時にふわふわの髪がわたしの頬にあたりカリナが抱きついて来る。

「カリナ?」
「お姉様!聞いた?来年から一緒に学園に行けることになったわ!」

 えっ?

 学園とはなんだろうと首を傾げる。
 確かに12歳になれば王立学園の中等科に入学することができるようになるが、それは12歳からの入学は任意であり、わたしはまだ行っていない。3年後の15歳から18歳までの義務教育である高等科に行くと聞いていた。
 だからこうして、セイカからは剣をアウスラー先生からは魔術と一般教養を習っている。

「まだ聞いてなかったの?」

 不思議そうにカリナは見上げてきた。
 
「うん・・・」
「そうなんだ。まぁ、いいっか。お姉様と行けるなんて嬉しいわ。一人だとやっぱり心細かったの」

 にこにこと笑うカリナは可愛かった。
 
 小さい頃から可愛いとは思っていたが、この数年の成長期で少しずつ女性らしく綺麗になってきている。
 縦にしか伸びないわたしには羨ましかった。
 
『本当に仲がいいわね~』

 クラルテが呆れたように言ってきた。

「ふふっ。いいでしょう。お姉様はわたしにとって自慢のお姉様だもの」
「カリナもわたしの自慢の妹よ」

 わたしがそう言えばカリナは嬉しそうに顔をスリスリしてくるのだった。
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