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三十二話、変なエンリュリッヒ様

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 休みの日、タロ=タリオンに行くことなった。

 マロン様たちに見繕っていただいた服をきます。

 ・・・どうしてかな・・・?
 この服、マロン様、ミッシェル様、ポニー様が一枚ずつ買ってくださったのです。わたしも、わたしも久しぶりに一枚買いましたよ。
 でも、なぜ、こうなった?です。
しかも、どの服が好評か教えてって、どうしてですか?

 ううっ・・・。

 メガネを外し、髪も緩い三つ編みにします。


 待ち合わせ場所に行くとエンリュリッヒ様は待っていました。

「・・・おはよう、ごさいます」
「おは・・・っ」

 なんです?!
 手で顔を覆って!

 やっぱり、似合ってない?

 やめるベきだったか・・・。

「可愛い・・・」
「?」

 何かいいました?
 小さな声では聞こえませんよ。

「変ですか?時間がありませんので、申し訳ありませんが着替えにはいけません。気になるようでしたら、離れて歩いてください」
「何言ってるんだ。ほら、行くよ」

     えっ、ちょっ・・・。

 手を握られ歩きだしました。
 しかも、これ・・・、

 恋人結び、ってやつじゃないですか?

 
  えっ、待って、ええぇっっ。

 エンリュリッヒ様、こんなに強引でしたぁ?


 頭の中がパンクしそうです。
 だって、仮恋人ですよ。ここまでします?
 え、演技だよね?
 
 わたし・・・わからない・・・。
 どうすればいいんだろ?

 モンモンと考えているうちにタロ=タジェロにつきました。

 チケットを見せて、テントに入ります。

 今日からだと言うのに盛況のようで、沢山の人が入っていました。
 よく見える場所に座り、始まるのを待ちます。

 初めは、歌から始まりました。
 タリオンが出てきて開催の言葉を言うと、ダンス、大道芸、サーカス、休憩を挟んで、劇・・・と、飽きさせる事なく終わりました。

 エンリュリッヒ様はも顔を紅潮させてああました。

 急ぐことも無いので、人が空くのを待って、出ます。その足でバックヤードへいきました。

 入り口で停められましたが、名前を言うとすんなり入れました。
 さすが、タリオンです。
 統制がとれてますね。


 何人か知り合いがいて、手を振ってくれます。

「メリア」
「メリア!」

 愛称で呼んでくれます。

「メリア?」
「ここでは、そう呼んでくれます」
「ふ~ん・・・」

 なに?
 その不服そうな声は?
 なにか悪いの?

 今日のエンリュリッヒ様は変!
 悪い者でも食べたのか?

 わたしが悪いの?
 な訳ないよね。

「僕も呼んでもいい?」
「・・・はっ?」
「リアって呼んでもいいかい?」
「ダメです」
「・・・」
「リアは大事な親友だけの名前だから・・・」

 アンだけが読んでいい名前なの。


「・・・」

 エンリュリッヒ様は複雑な顔をされました。

 
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