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閑話〜夏休み2

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「おねぇちゃま」

 はうっ。

 可愛い妹サリーが部屋に入ってくるなり駆け寄ってきました。

 金の髪のクルクル天パ。金に近い茶色い瞳。
 まるで羽を落として来た天使。
  

       癒されるっ

    なぜ、うちの妹は可愛いの~

「サリー、大きくなったわね」

 抱き上げクルクルとその場でまわりました。

 サリーは5歳です。
 年が離れてる分可愛い。

「おねぇちゃま、おかえりなさい」

      はうっ。

 前に帰って来た時は舌足らずで、「おかえりなちゃい」だったのに。

       いや~ん。

 しっかりしてきた。
 これは、これでいいっ!

「姉さん、おかしな人になってるよ」

 テリーが突っ込みます。

 ひどい。
 あんたは毎日聞いて堪能してんでしょうが!

「睨まないでよ」

 テリーが降参ポーズをとる。
 姉の気持ちを察したなら許そう。

 サリーを下ろすと、手を繋いで、父と母のところへと向かった。

 居間に二人はいた。

 家令のバルと執事のロット、メイドのカナリーもいました。

「ただいま帰ってまいりました」

 挨拶をします。
 みんな笑って出迎えてくれます。

「おかえり、アメリア。元気にしてたかい?」
「はい。滞りなく過ごしています。学園長先生から、よろしくと伝言を言付かりました」
「そうか。ごめんね、バイト」
「そうですね。誰かさんのせいでなりましたからね」
「アメリア、もっと柔らかく言ってくれないかい?」
「迷惑かけてる自覚があるなら、慎重に行動していただけませんか?いつもいつも」

 柔和な容貌の父の眉が垂れ下がります。
 後ろに立っている三人は苦笑。
 これが我が家です。


「わかってるんだけど・・・」

 んっ?

 テリーと目配せします。

 こう、歯切れが悪い時は何がある時。
 理解してます。

「なんです?」
「うんっ・・・実は・・・、ソリアンド伯爵から、牛を買って欲しいと頼まれちゃって・・・」
「はああああぁぁ?」
「アメリアちゃん!」
「ソリアンドはくしゃあくぅぅ?」

 あまり、経営が上手くいってないと聞きますね。
 もちろん父もわかっているのでしょう。
 伯爵も人の良い父が断れないのをいいことに話を持って来たのでしょう。

「助けてあげたいんだよ、どうにかならないかな?」


 本当に人が良すぎます。
 だけど、憎めないのです。
 懲りない人ですが・・・。

 父は言います。

  「情けは人の為ならず」と。

 だからこそ・・・と・・・。
 にしても・・・。


      ・・・・・・・・・。


          はあ・・・。



「テリーどう?」
「父さん専用に費用を確保してるから多少なら。直接ソリアンド男爵とバルを立ち会いの元、交渉してください」

 テリーもため息を吐きながら言いました。

 テリー、流石ね。
 でもねっ。

「テリー、あんたとわたし、バルで行くのよ。父さんに任したら、泣き落としされて、負けるわよ」
「あっ・・・」
「二人ともしっかり屋さんね」

 母さん・・・。
 もう、おっとりして!!


 こうして、わたしの夏休みは始まったのです。




 もちろん、交渉はわたしたちの勝利。

 予算内で牛を買いました。
 まあっ、他にいろいろついて来たり、あったり、交換したり交渉したりと複雑な取引になりましたが・・・。

 わたしは、


      がんばるのです。



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