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二十話、問題勃発

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「あちらはどうでした?」

 エンリュリッヒ様の呆れた顔は無視します。
 馬鹿面はいりません。
 そう思っていると、後ろから声がかかりました。

「アメリア、お前が仕事抜きで夜会か?」

 あら、セスです。
 本名、セレス。
 学園長先生の甥です。

「仕事が一つ終わりました」
「あー、あれね。アメリアからの頼み事報告にきたけど、邪魔だった?リュー君?」

 エンリュリッヒ様?
 しかめ面されているのでしょうか?

「なぜ、貴方が?」
「えっ、言わないとダメ?」


 険悪ムードにならないでください。
 火花バチバチ?

 同属嫌悪ってやつ?
 男同士って面倒くさいのね。
 やるなら別のところでやればいいのに。

 ふぅ・・・。

「喧嘩は後にしてお二人とも、頼んだ例のこと教えてください」

「「・・・」」

 なんですか?
 その顔?
 呆れたような・・・。
 わたしが悪いって言う訳?

 ありえない。

「さっさと、教えてくださいって」
「アメリア、ひどく無い?僕は使いぱしりの男なのかい?」
「それ以外、セスに価値ありましたっけ?」
「酷いっ」
「僕はそんな事ないだろう?」
「?似たりよったりが何いいますか?あっ、エンリュリッヒ様の方がウザいかも知れませんね」

 お二人、ショボン・・・?
 なんですか、この反応。
 わたしにどうしろと?

 対応間違えました?

「で、どうなんですかっ?」

もう、話が進まないっ。

「「はぁ・・・」」

 腹が立つ~。


「で、犯人はカロン嬢でしたか??」

 無理やり話を振ります。

 驚いたように見るお二人。

 やはり、そうですか・・・。

「知ってたのか?」
「彼女から依頼がありましたが、断りました。幸せなカップルを割く真似はできませんからね」

 強行手段にでたのですね。

 お二方から、具体的な話を聞きました。
 と言っても、同じような内容でしたが、それこそ証拠というものです。

 宣戦布告でしょうか?

「どうするんだ?」
「まず、本人に注意します。
 それが無理なら忠告し学園長先生に報告、それでも改善がない場合は、退学でしょうか?
 わたしにはその権限はありませんので、学園長先生にお任せしますが・・・」
「でも、カロン嬢は、学園長より身分が高いだろう・・・」
「学園長だから持つ権限があります。それが無理と言うならば、その上ですね。
『結び屋』の主旨を忘れるようなら、バンバン破滅してもらうしかありませんね」

 笑いました。

 権力で恋愛するなら『結び屋』なくていいじゃない。
 好き勝手すればいいのよ。
 それがと言うなら、ね。

 お二人、そこで引くな!!
 わたしは悪役か?

 わたしから宣戦布告してやろうじゃないの。

 幸せを潰す悪役には悪役でしょう・・・。

 メガネをとり、少し髪を整え、素の瞳をしっかり見えるようにしました。
 『結び屋』を印象つけるのです。

 いつもは濃いブラウンの瞳ですが、になると金に輝くわたしの眼。
 普通は地味でも、色が変わるので目立ちます。
 だから認識阻害メガネがいるのですが、今回は敢えて目立ちましょう。

 エンリュリッヒ様もいるんですもの。

「エンリュリッヒ様」
「アンドリュー」
「ちっ、アンドリュー様、ダンスを踊りません?」
「いいの?」

 嬉しそうですねえ?
 なぜ?

 わたしたちは踊りました。
 目立つように・・・。

 きっと、自分が熱くなっていて、周りが見えていなかったのだと思います。


 エンリュリッヒ様の影響を甘く見てました。

 カロン様に宣戦布告どころか、すべての・・・エンリュリッヒ様狙い、ファンすべてに宣戦布告になっていた事に、気づきませんでした・・・・・・。








◇◇◇◇◇

次、4話は閑話になります。
新たな問題の前の休息です。

アンドリュー視点1つ
アメリアの夏休み(領土にて)        です。
いつもとは違う二人を見ていただきたいです。









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