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マルクの回顧録

動きます

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 初めて自覚されましたね。
 膝をつき口元に手を覆って。見てる方が恥ずかしい。

 「愛してる?アイリを、愛してる?」

 「アルフリード殿下いかがされましたか?」

 兄上と入れ替わるように行き声をかけた。 
 殿下は何でもないと立ち上がる。

 「いや、ラズに・・・」
 「兄上ですか?」
 「・・・マルク、お前愛してるやついるか」

 何いってんだ、この方は。ヤバい物食べたか?

 「殿下、どうしました?悪い物食べましたか?今日のメニュー、全て殿下の命令で私が手配しましたけど、殿下暗殺メニューにはしてませんよ」

 突っ込まれるのも面倒臭さいので、もうこの際不満も込めてぶっつけてみよう。

 「まあ、私が愛してるのは妻です」と。
 半年前籍いれたこと。殿下のせいだと強調して。

 初めは驚いていたが、次第に冷たい眼になる。でも、聞いてきたのは貴方ですからね。だから惚気てみたんですよ。

 殿下の表情がどんどん変わるから楽しい。

 「独占欲?執着心?」
 「確かに似てますね。彼女は誰にも渡したくないです。自分だけの・・・殿下?」

 再びしゃがみ込んだ。

 えっ、マジですか?こんな殿下初めてかもしれない。可愛いとこありますね。
 
 暫くして殿下は立ち上がり大きく息をはいた。
 
 「マルク、ラズを呼べ」
 「はいはい、ちゃんといますよ。殿下、なんでしょうか?」
 すぐ側にいたのか柱の向こうら兄は現れた。
 やっぱりいるよな、この兄。

 「お前ら兄弟は・・・」

 殿下は俺たち二人を見た。

 「俺は本気を出す。二人とも手を貸せ」

 なんだろう、興奮する。

 「かしこまりました」
 「同じく。殿下の為に」

 殿下のために膝を折った。
 
「殿下、覚えてらっしゃいますか?」
 
 兄は殿下を仰いだ。

 「「もし貴方が生きる希望を見つけ、その為に大いなる高みを目指すと言うなれば、私は貴方の為に膝をおります」と。今この時がそうです。私は貴方に忠誠を誓います。」
 胸に手を当て、頭を下げた。

 兄上、いつそんな話をしたんだ?まあ、俺も殿下のためなら異論はない。頭をさげた。

 「よろしく頼む」

 殿下は微笑んだ。



  
 あの日から二ヶ月。
 陛下との話し合いの場を設けることができた。

 「お前から会いに来るのは二度目だな」

 殿下は笑った。

 「そうですね。一度目はロディクに王位継承を譲って欲しいと頼みましたね。今回はその逆で、来ました」

 陛下目が大きく見開いた。
 殿下の後ろに立っているが、嫌な汗がでてくる。殿下が怖いです。

 ロディク殿下の学園生活での態度などをあげつらってゆく。

 しどろもどろな陛下の態度に殿下は冷たく続ける。

愚王を擁立するおつもりですか。とまで。

 陛下は目を逸らしました。負けましたね。
 殿下の言葉はまだ続きます。

 勉強や剣術、魔術も疎かにしていること、自分の立ち位置を顧みないことを。
 そんな者が王になれば、すぐにでも他国に侮られ、隙を与え滅びるでしょう。それも覚悟の上ですかと。

「言っても聞かないのだ!!」

 なんだ、それは。てめぇは国王である前に父親だろうが。殴ってでも息子を正すのが父親じゃないのか?しかもそれが次の国王なら特にやらなきゃいけねぇだろ。国王なら子供は捨て置いていいと言うのか?ざけんな。

 「殿下、心の声が漏れてます。口汚く罵るので、国王陛下の顔から血の気が引いてますよ」

 心の声が聞こえてますよ。陛下はガタガタと青い顔で震えているじゃないですか。
 陛下の隣に立つ、父はポカンとしているし、兄は肩を震わせて笑っていた。

 「ラズ笑うな」

 兄上の大受けする顔など初めて見た。

 殿下は吠えると咳払いをした。

 「陛下。ロディクにはもう任せられません。俺が次の王になります。つきましてはロディクの廃嫡の手続きをして頂きたく思います」

 「廃嫡?」
 「えぇ、当然でしょう。王族に物分かりのよくない出来損ないはいりません。汚点です。王族の尊厳に関わりますので。そして、俺は王太子に返り咲くにあたり一つ欲しい物があります」
 「なんだ?」

 「俺が欲しいのは、ロディクの婚約者、アイマ・クアリスです」

 とうとう言った。






 

 
 



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