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アルフリード
出会い2
しおりを挟む「殿下、お静かに」
ライディンが近づいてくると、小さな声で言った。
「何があった?」
「もう時期なんです」
「だから、何が?」
ライディンは興奮しているのか、時計と奥の一角を気にしていた。
良く見ると、部屋の奥の片隅にソファがあり、長い黒い髪らしき物が見えている。まさか人が寝ている?しかも女性ではなかろうか?
未婚の女性がこんな公の場で、しかも男性も居る中で寝ているとは信じがたい。絶句ものである。
「あと、1分」
なんのカウントダウンだ?
しかも、周りは期待の目で彼女を見ている?
「5,4,3,・・・」
「う~ん・・・、おはよ、ございます?」
「やった~!!」
おい?なんだ?
すごい勢いの歓声!おかしいだろう!なんで、ガッツポーズしているやつまでいる?
しかも、寝ていたのはアイリ•マクアリスではないか。令嬢だよね。いや、ここにいるのはほぼ、令息と令嬢だよね。平民は一部だよね。普通、令嬢が寝てたら止めるよね。研究室とはいえ男女の嗜みは存在するはず。誰も突っ込まないのか?!
後ろで控えているマルクも目が点になっている。
アイリ嬢が、他の令嬢に連れられて退出をするのを見てから、メモを取っているライディンに近づいた。
「ライディン、詳しく話してもらおうか?」
「あっ、殿下」
やっと気づいたのか、苦笑いしながらさっとメモごと持っていたノートを背中に隠した。なにを隠した?もう一度問おう。
「ライディン。詳しく話してもらおうか?」
「はははっ。すみません。ここにこられたのは苦情の事ですよね。最近盛り上がりすぎまして「ライディン!」・・・ははっ、すみません・・・」
そっと隠したノートを手渡してくる。そこには「アイリ嬢 観察日記」と書かれていた。
観察日記?
なぜ、彼女の観察をしているのだ?こいつら全員ストーカーでもしているのか?
「やましい事は書いていませんよ」
普通思うぞ。
ノートを捲り字を追っていく。描き始めたのは、研究科に来て10日後からになっていた。
「いや~、彼女面白いですね。特に徹夜させると、笑えますよ」
「人格崩壊です」
「令嬢あるまじきの口の悪さ」
「本音ぶっちゃけの悪気なし」
「普通の時も最高です」
「ここで研究できて幸せです」
みな、プルプルと笑いを堪えながら言ってくる。
なんだ?こいつら?何楽しんでるんだ?
「面白くてみんなが代わる代わる書いていたら、面白いことに気づきまして、今日はその実証実験だったんです」
それは、今やることか?実際の研究実験はどこに行った?なんの研究をしている?
しかも令嬢にやることか、おい!
だか、まあ、興味がある。聞いてはみよう。
「どんな実証実験です?」
「彼女曰く。1日6時間睡眠が必要らしく、1日徹夜しても6時間寝ます。今までの実証でも一度寝たら最後、6時間寝ないと、起きない事がわかりました。仮眠は無理という事です。今回二徹させるとその場合は6時間×2日分になるのかを試み、それが実証されたところであります。もう少しデータは欲しい所ですが、今回の結果は十分なものと言えます」
なんて清々しい・・・いやいや、爽やかに言うのであろうか。それの為に彼女に二徹させたのか?!この場合、みんなが協力したというのか?
なんだ?ふむっ、面白いぞ。
「殿下・・・?」
「面白そうだな。これからも、報告を頼もうか。だが、面立って騒ぐな。他から苦情がはいっている。やるなら静かにやれ。あと残業はほどほどにしとけ」
そういって、ノートをそのまま持ってでていった。
「アル様、久しぶりにいいお顔されていますね」
後ろでマルクが、変な事を言っていたが無視した。
楽しい事は是非共有しなくてな、なっ。
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