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38.アーサー視点
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閉館ギリギリになって、たくさんの本を抱えカウンターに来た彼女を呼ぶ。
「おいっ!」
彼女が反応をしないものだから、つい大きな声を出した。
その瞬間、彼女は怯えたように身をすくめる。
しまった・・・。
「女性には優しくしろ」とライールの教えを思い出す。
「お静かに願います」
案の定、図書館司書のお姉さんに注意された。
「すみません・・・」
小さく謝まると、彼女を見た。
優しく気をつける。
疑ったのをきちんと謝りたくて、ゆっくりと喋る。
「えっと・・・さっきは言いすぎた。ちゃんと読んでるのはわかった・・・」
彼女の表情が僅かに穏やかになるのがわかった。
にしても・・・、気になる。
「明日もくるのか?」
「・・・その、つもり・・・ですが?」
「じゃあ、意見交換しよう!」
「・・・・・・」
話を聞いてみたい。
彼女はどんなことを考えているんだろうか。
知りたい。
「女性がそんな本を読んでいるのを初めて見た。貴重だ。ぜひ女性観点での意見が聞きたい」
ワクワクする。
でも、彼女の表情は固まった。
えっ、ダメだったか・・・?
彼女はふいっと目を逸らして帰ってしまう。
「強引な男性はもてませんよ」
はい、ごもっともです、司書のおねーさん。でも僕はもてたいためじゃないんです・・・。純粋に彼女の意見が知りたいだけでー。
「閉館の時間ですので、今日はお帰りください。ありがとうございました」
しょげる僕は司書のお姉さんに追い出された。
諦めるつもりはない。
次の日の図書館の開館時間から行って彼女を待った。
1時間ほど待って彼女が来る。
たくさんの本を抱えていた。
「おう!やっときたか!」
手を振ると彼女はぴたりと立ち止まっる。
どうした?あぁ、重いんだな。
そう思って僕は立ち上がり本を持ってあげると、彼女は呆気に取られたような間抜けな顔をした。
「あっ・・・」
「何んだ?」
どうたしたのか?本をここに置くのじゃなかった?
彼女が何か言いたそうにしていたので待った。
これもライールに言われた。
「ゆっくり考える人もいるのだから、一呼吸待ってやれ」と。
彼女は息を吐くと言った。
「話合い・・・するなら、ここじゃない方が・・・いいと、思います」
「そうか、そうだな。うるさくしてはいけないし。個室があるって言ってたな。そこにいこう」
確かにそうだ。図書館ではうるさくはしてはいけない。
僕は本を持ち直すと奥の部屋に入った。
後から彼女も部屋に入るが、入り口でつまずく。
「大丈夫か?」
「あ、・・・はい」
おっちょこちょいなのか?
彼女は机に本を置きメモ書きを広げていく。僕も本を置くと彼女の置いたメモを手に取った。
綺麗な文字が目に飛び込む。
「すげぇ・・・。よく分析してる。そうか・・・そう捉えることもできるのか・・・」
これは、面白い。着眼点が違う。
つい、あるもの全てを読み出した。
そのうち彼女は静かに本を読み出している。
「ちょっといいか?」
本を読み中の彼女には悪いが気になることができて声をかけた。
「なぜ、これは女性発祥の話だと思った?俺は男性の思想であり、男性側のものだと思っていたのに、それとは全く逆だ。根拠はなんだ?」
伝承の発生源が女性からだと気づいたのかが気になったのだ。
「端的に言ってもいいし、感覚的な表現でもいい。焦らなくていいから教えてくれ」
知りたい。彼女の意見をー。
「女性目線だと、思ったからです」
「女性目線?」
「はい。当時の女性の生活は・・・家庭での生活の基準でした。それには子育ても含まれます。・・・主に母親が子供に言い聞かせや寝物語にするために伝承を語ります。その過程で話を短略化したり、自己解釈するのは当たりまえかと。そしてそれを覚えるのは子供なのですから、彼らが大人になりまたその子供に伝われば当然変化します・・・」
「だから、もとは女性からだと・・・」
僕にはない発想だ。それでいて、筋が通っている。
「そうか・・・。そんな考え方もありだな。じゃあ、これは??」
再び聞いくと、彼女はまた答えた。
本を探しに二人で行ったりする。本を読みわかったことや疑問に思うことを書き連ねて、議論した。
他人とこうやるのは、楽しい。
充実している。
そうしてあっという間に夕方になるのが惜しく思った。
「また、明日な」
「はい」
「また、明日」そういえる幸せを感じた。
「おいっ!」
彼女が反応をしないものだから、つい大きな声を出した。
その瞬間、彼女は怯えたように身をすくめる。
しまった・・・。
「女性には優しくしろ」とライールの教えを思い出す。
「お静かに願います」
案の定、図書館司書のお姉さんに注意された。
「すみません・・・」
小さく謝まると、彼女を見た。
優しく気をつける。
疑ったのをきちんと謝りたくて、ゆっくりと喋る。
「えっと・・・さっきは言いすぎた。ちゃんと読んでるのはわかった・・・」
彼女の表情が僅かに穏やかになるのがわかった。
にしても・・・、気になる。
「明日もくるのか?」
「・・・その、つもり・・・ですが?」
「じゃあ、意見交換しよう!」
「・・・・・・」
話を聞いてみたい。
彼女はどんなことを考えているんだろうか。
知りたい。
「女性がそんな本を読んでいるのを初めて見た。貴重だ。ぜひ女性観点での意見が聞きたい」
ワクワクする。
でも、彼女の表情は固まった。
えっ、ダメだったか・・・?
彼女はふいっと目を逸らして帰ってしまう。
「強引な男性はもてませんよ」
はい、ごもっともです、司書のおねーさん。でも僕はもてたいためじゃないんです・・・。純粋に彼女の意見が知りたいだけでー。
「閉館の時間ですので、今日はお帰りください。ありがとうございました」
しょげる僕は司書のお姉さんに追い出された。
諦めるつもりはない。
次の日の図書館の開館時間から行って彼女を待った。
1時間ほど待って彼女が来る。
たくさんの本を抱えていた。
「おう!やっときたか!」
手を振ると彼女はぴたりと立ち止まっる。
どうした?あぁ、重いんだな。
そう思って僕は立ち上がり本を持ってあげると、彼女は呆気に取られたような間抜けな顔をした。
「あっ・・・」
「何んだ?」
どうたしたのか?本をここに置くのじゃなかった?
彼女が何か言いたそうにしていたので待った。
これもライールに言われた。
「ゆっくり考える人もいるのだから、一呼吸待ってやれ」と。
彼女は息を吐くと言った。
「話合い・・・するなら、ここじゃない方が・・・いいと、思います」
「そうか、そうだな。うるさくしてはいけないし。個室があるって言ってたな。そこにいこう」
確かにそうだ。図書館ではうるさくはしてはいけない。
僕は本を持ち直すと奥の部屋に入った。
後から彼女も部屋に入るが、入り口でつまずく。
「大丈夫か?」
「あ、・・・はい」
おっちょこちょいなのか?
彼女は机に本を置きメモ書きを広げていく。僕も本を置くと彼女の置いたメモを手に取った。
綺麗な文字が目に飛び込む。
「すげぇ・・・。よく分析してる。そうか・・・そう捉えることもできるのか・・・」
これは、面白い。着眼点が違う。
つい、あるもの全てを読み出した。
そのうち彼女は静かに本を読み出している。
「ちょっといいか?」
本を読み中の彼女には悪いが気になることができて声をかけた。
「なぜ、これは女性発祥の話だと思った?俺は男性の思想であり、男性側のものだと思っていたのに、それとは全く逆だ。根拠はなんだ?」
伝承の発生源が女性からだと気づいたのかが気になったのだ。
「端的に言ってもいいし、感覚的な表現でもいい。焦らなくていいから教えてくれ」
知りたい。彼女の意見をー。
「女性目線だと、思ったからです」
「女性目線?」
「はい。当時の女性の生活は・・・家庭での生活の基準でした。それには子育ても含まれます。・・・主に母親が子供に言い聞かせや寝物語にするために伝承を語ります。その過程で話を短略化したり、自己解釈するのは当たりまえかと。そしてそれを覚えるのは子供なのですから、彼らが大人になりまたその子供に伝われば当然変化します・・・」
「だから、もとは女性からだと・・・」
僕にはない発想だ。それでいて、筋が通っている。
「そうか・・・。そんな考え方もありだな。じゃあ、これは??」
再び聞いくと、彼女はまた答えた。
本を探しに二人で行ったりする。本を読みわかったことや疑問に思うことを書き連ねて、議論した。
他人とこうやるのは、楽しい。
充実している。
そうしてあっという間に夕方になるのが惜しく思った。
「また、明日な」
「はい」
「また、明日」そういえる幸せを感じた。
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