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37.ミシェル視点
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よく似た顔が二つ。
ファルスとレイチェル、いや、カルロも唖然としながら私たちを見てきた。
「私たちの母は双子なの。だから、従姉妹である私たちもよく似ているの」
私はわざとセイラの顔と並ぶよう自分の顔を近づけて、ふふふっと笑ってみせた。
「そんな・・・」
ファルスとレイチェルの顔が歪む。
私はセイラを背後に隠すようにして立つと、二人に一枚の紙を見せた。
「私ね、優秀な侍女に言って『あなたがセイラにされたいじめ』を時系列でまとめてもらったの。ねぇ、よく見て。たくさん重複してるのよ。わかる?」
紙を指さしてみる。
「ほら、ここなんてセイラが三人とあなたが三人いなきゃできないわよね」
「そんなの言いがかりだ!」
ファルスが叫ぶ!
「権力で捏造したんだろうが!」
「まぁ、失礼ね。セイラはあなたにあった翌日から寝込んで、回復後は静養のために皇宮にずっといたのよ」
「こ?皇宮?なぜ・・・」
「なぜって、フロンチェスター公爵家は先王妹の降嫁先ですもの。まさか、知らなかったのですの?」
わざとらしく聞いてやる。
真っ青になるファルスと、まだ理解しきれていないのか不思議そうにしているレイチェル。
「セイラはゆっくりと静養しましたわ。皇太子殿下がそれはそれは献身的にセイラを力付けましたもの。それは皇宮の誰もがしっていること。
あなた方がつけ入る隙はない上、あなた方を相手する時間などないほどでしたわよ」
わなわなとファルスは震えていた。
「嘘だ、嘘だ。レイチェルが嘘を言うわけはない!」
「ならば、この矛盾をどう説明しますの?わが帝国の皇太子殿下を嘘つき呼ばわりするおつもり?」
私は見下すように二人を見た。
「それに、この度セイラは皇太子殿下の婚約者になりました。あなた方に構う意味が本当にないことを意味しています。
そして、私も、サーシャス国ロディク王太子殿下の婚約者としてここにいます。言っている意味がおわかり?」
真っ青だったファルスの顔が蒼白になっていく。
自分の立場を考えれば、やってはいけないことを堂々としてしまったのだから。
力が抜けたのだがくりと膝をつき項垂れるファルス。
「ずるい!いい思いしてるなんてずるいわ!絶対にあたしの方が魅力があるはずなのに!立場なんてどうでもいいじゃない。身分より中身が大事じゃない!」
ー???
ー何言ってるの?
言っていた話を理解していなかったのかレイチェルは真っ赤な顔で叫んだ。
「あなた大丈夫なの?」
セイラがおずおずと尋ねた。
「好きな人を盗られて嫉妬していじめをする!それはセオリーでしょう。だからあたしをいじめた。なのに、振られたからすぐに次に乗り換えるだなんてビッチじゃない。しかも王太子の婚約者?何よ!身分ばかり!なんなのよ!中身を見なさいよ。あたしの方が何倍も可愛いのに!目がおかしいんじゃないの?」
きっと私だけではない。この場にいた誰もが思ったと思う。
ーおかしいのはお前の頭の中だーと。
ファルスとレイチェル、いや、カルロも唖然としながら私たちを見てきた。
「私たちの母は双子なの。だから、従姉妹である私たちもよく似ているの」
私はわざとセイラの顔と並ぶよう自分の顔を近づけて、ふふふっと笑ってみせた。
「そんな・・・」
ファルスとレイチェルの顔が歪む。
私はセイラを背後に隠すようにして立つと、二人に一枚の紙を見せた。
「私ね、優秀な侍女に言って『あなたがセイラにされたいじめ』を時系列でまとめてもらったの。ねぇ、よく見て。たくさん重複してるのよ。わかる?」
紙を指さしてみる。
「ほら、ここなんてセイラが三人とあなたが三人いなきゃできないわよね」
「そんなの言いがかりだ!」
ファルスが叫ぶ!
「権力で捏造したんだろうが!」
「まぁ、失礼ね。セイラはあなたにあった翌日から寝込んで、回復後は静養のために皇宮にずっといたのよ」
「こ?皇宮?なぜ・・・」
「なぜって、フロンチェスター公爵家は先王妹の降嫁先ですもの。まさか、知らなかったのですの?」
わざとらしく聞いてやる。
真っ青になるファルスと、まだ理解しきれていないのか不思議そうにしているレイチェル。
「セイラはゆっくりと静養しましたわ。皇太子殿下がそれはそれは献身的にセイラを力付けましたもの。それは皇宮の誰もがしっていること。
あなた方がつけ入る隙はない上、あなた方を相手する時間などないほどでしたわよ」
わなわなとファルスは震えていた。
「嘘だ、嘘だ。レイチェルが嘘を言うわけはない!」
「ならば、この矛盾をどう説明しますの?わが帝国の皇太子殿下を嘘つき呼ばわりするおつもり?」
私は見下すように二人を見た。
「それに、この度セイラは皇太子殿下の婚約者になりました。あなた方に構う意味が本当にないことを意味しています。
そして、私も、サーシャス国ロディク王太子殿下の婚約者としてここにいます。言っている意味がおわかり?」
真っ青だったファルスの顔が蒼白になっていく。
自分の立場を考えれば、やってはいけないことを堂々としてしまったのだから。
力が抜けたのだがくりと膝をつき項垂れるファルス。
「ずるい!いい思いしてるなんてずるいわ!絶対にあたしの方が魅力があるはずなのに!立場なんてどうでもいいじゃない。身分より中身が大事じゃない!」
ー???
ー何言ってるの?
言っていた話を理解していなかったのかレイチェルは真っ赤な顔で叫んだ。
「あなた大丈夫なの?」
セイラがおずおずと尋ねた。
「好きな人を盗られて嫉妬していじめをする!それはセオリーでしょう。だからあたしをいじめた。なのに、振られたからすぐに次に乗り換えるだなんてビッチじゃない。しかも王太子の婚約者?何よ!身分ばかり!なんなのよ!中身を見なさいよ。あたしの方が何倍も可愛いのに!目がおかしいんじゃないの?」
きっと私だけではない。この場にいた誰もが思ったと思う。
ーおかしいのはお前の頭の中だーと。
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