31 / 42
31.カルロ視点
しおりを挟む
手分をして探していく。
後ろにナンバーがあるのは違うのだから、それを排除すればいいのはわかる。
だが、どれだけあるのだ?
一つ一つ裏返しにして見ていくだけでも重労働だった。
「どのくらい作ってもらったの?」
いつの間にかシェリナ皇女殿下たちが机と椅子を用意して優雅にお茶をしながら、僕たちの成り行きをみまもっていた。
「各店から100個づつお願いしました。初めは殿下からの紹介があった10店舗の予定でしたが、噂を聞きつけたのか売り込みをしてきた店もありまして、追加でその店々には50個づつ追加しましたから全部で2000個ほどですかの ね」
2000個!!
具体的な数字を聞いてしまい、手が止まる。
目の前に広がるブローチが果てしないもののように見えたのは僕だけではないだろう。
レイチェルのブローチを同じように探していた者たちの手が止まり、絶望的な表情をしたのをみてしまう。
「2000個?どこからその費用が?」
「個人資産全て使い切りましたわ」
「ドヤ顔しないで。それで、資金足りたの?」
「まさか。足りませんでしたわ。でも、どうにかこうにか頑張りましたわ」
軽やかに笑う声が怖く感じた。
個人資産を注ぎ込んで作ったのか!!
レイチェルのブローチのために?
いや、待て・・・。
レイチェルのブローチを探させるためだけにこんな手の込んだ嫌がらせをしているのか?もし僕が嫌がらせをするなら・・・。
僕は手を止めたセイラを見た。
「この中にレイチェルのブローチはあるのか?」
僕の言葉にセイラは飲んでいたカップを机に置いた。
「ありませんわ」
当然と言わんばかりの返答。
「セイラ、お前!!」
「私はブローチなど盗っていませんもの、あるわけありませんわね」
「だましたのか!?」
「失礼ですわね。ですが、こうでもしなければあなた方は信じないのではなくて?だいたい、わたしはレイチェル様のブローチなんて見たことありませんわ。皆様は見たことありますの?」
「・・・・・・」
見たことはなかった。聞いただけ。
彼女が言うから信じたのだ。
「本当よ!本当に盗まれたのよ!」
「だそうよ。なら、テキパキと探してくださいませ」
セイラは意地悪そうに笑った。
その言葉にレイチェルは悔しそうに顔を歪ませたのだった。
僕は、その顔に不自然さを感じた。
いつからセイラはこんな顔をするようになったのだろう?
控えめに微笑んでいた彼女はどこにいったのだろうか?いつの間に変わってしまったのだろうか?
僕の知っているセイラではない気がする。
本当にセイラなのかー?
そんな考えを振り払うように僕もブローチ探しを再開したのだった。
後ろにナンバーがあるのは違うのだから、それを排除すればいいのはわかる。
だが、どれだけあるのだ?
一つ一つ裏返しにして見ていくだけでも重労働だった。
「どのくらい作ってもらったの?」
いつの間にかシェリナ皇女殿下たちが机と椅子を用意して優雅にお茶をしながら、僕たちの成り行きをみまもっていた。
「各店から100個づつお願いしました。初めは殿下からの紹介があった10店舗の予定でしたが、噂を聞きつけたのか売り込みをしてきた店もありまして、追加でその店々には50個づつ追加しましたから全部で2000個ほどですかの ね」
2000個!!
具体的な数字を聞いてしまい、手が止まる。
目の前に広がるブローチが果てしないもののように見えたのは僕だけではないだろう。
レイチェルのブローチを同じように探していた者たちの手が止まり、絶望的な表情をしたのをみてしまう。
「2000個?どこからその費用が?」
「個人資産全て使い切りましたわ」
「ドヤ顔しないで。それで、資金足りたの?」
「まさか。足りませんでしたわ。でも、どうにかこうにか頑張りましたわ」
軽やかに笑う声が怖く感じた。
個人資産を注ぎ込んで作ったのか!!
レイチェルのブローチのために?
いや、待て・・・。
レイチェルのブローチを探させるためだけにこんな手の込んだ嫌がらせをしているのか?もし僕が嫌がらせをするなら・・・。
僕は手を止めたセイラを見た。
「この中にレイチェルのブローチはあるのか?」
僕の言葉にセイラは飲んでいたカップを机に置いた。
「ありませんわ」
当然と言わんばかりの返答。
「セイラ、お前!!」
「私はブローチなど盗っていませんもの、あるわけありませんわね」
「だましたのか!?」
「失礼ですわね。ですが、こうでもしなければあなた方は信じないのではなくて?だいたい、わたしはレイチェル様のブローチなんて見たことありませんわ。皆様は見たことありますの?」
「・・・・・・」
見たことはなかった。聞いただけ。
彼女が言うから信じたのだ。
「本当よ!本当に盗まれたのよ!」
「だそうよ。なら、テキパキと探してくださいませ」
セイラは意地悪そうに笑った。
その言葉にレイチェルは悔しそうに顔を歪ませたのだった。
僕は、その顔に不自然さを感じた。
いつからセイラはこんな顔をするようになったのだろう?
控えめに微笑んでいた彼女はどこにいったのだろうか?いつの間に変わってしまったのだろうか?
僕の知っているセイラではない気がする。
本当にセイラなのかー?
そんな考えを振り払うように僕もブローチ探しを再開したのだった。
23
お気に入りに追加
580
あなたにおすすめの小説
賞味期限が切れようが、サ終が発表されようが
wannai
BL
賞味期限が切れようが、サ終が発表されようが 〜VR世界の恋人が現実で俺を抱かない気らしいんですが、陰キャに本気の恋させといて逃げ切れると思ってます?〜
VRワールド『LOKI IN HAPPY WORLD』。
プレイヤーネーム・亀吉は、アバターを完璧に亀にしたい。
が、最後の砦である『スキントーン:緑』は対人ゲームモード『コロシアム』の勝利報酬でしか入手できず、苦手ながらプレイする毎日。
けれど、勝率を意識しすぎるあまり他プレイヤーから嫌われるプレイばかりしてしまい、ゲーム内掲示板では悪評を書かれている。
どうにかプレイスキルを上げる方法はないものかと悩んでいたある日、頼めば対人戦の稽古をつけてくれるギルドがある、と噂で聞く。
しかしそのギルド『欲の虜』は、初めてコロシアムでチーム戦をプレイした亀吉を、「お前、いるだけ邪魔だな」と味方なのに鈍器でキルしてきたプレイヤーが所属するギルドだった。
※ なろう(ムーンライト)でも並行掲載してます
今際の際にしあわせな夢を
餡玉(あんたま)
BL
病に侵されもはや起き上がることもできない俺は、病室で死を待ちながら、過去に自ら別れを告げた恋人・侑李(ゆうり)のことを考えていた。侑李は俺の人生で一番大切なひとだったのに、俺は彼を大切にできなかった。
侑李への贖罪を願いながら眠りに落ちた俺は、今際の際に二十年前の夢をみる。それはあまりにリアルな夢で……。
だいきちの拙作ごった煮短編集
だいきち
BL
過去作品の番外編やらを置いていくブックです!
初めましての方は、こちらを試し読みだと思って活用して頂けたら嬉しいです😆
なんだか泣きたくなってきたに関しては単品で零れ話集があるので、こちらはそれ以外のお話置き場になります。
男性妊娠、小スカ、エログロ描写など、本編では書ききれなかったマニアック濡れ場なお話もちまちま載せていきます。こればっかりは好みが分かれると思うので、✳︎の数を気にして読んでいただけるとうれいいです。
✴︎ 挿入手前まで
✴︎✴︎ 挿入から小スカまで
✴︎✴︎✴︎ 小スカから複数、野外、変態性癖まで
作者思いつきパロディやら、クロスオーバーなんかも書いていければなあと思っています。
リクエスト鋭意受付中、よろしければ感想欄に作品名とリクエストを書いていただければ、ちまちまと更新していきます。
もしかしたらここから生まれる新たなお話もあるかもしれないなあと思いつつ、よければお付き合いいただければ幸いです。
過去作
なんだか泣きたくなってきた(別途こぼれ話集を更新)
これは百貨店での俺の話なんだが
名無しの龍は愛されたい
ヤンキー、お山の総大将に拾われる、~理不尽が俺に婚姻届押し付けてきた件について~
こっち向いて、運命
アイデンティティは奪われましたが、勇者とその弟に愛されてそれなりに幸せです(更新停止中)
ヤンキー、お山の総大将に拾われる2~お騒がせ若天狗は白兎にご執心~
改稿版これは百貨店で働く俺の話なんだけど
名無しの龍は愛されたい-鱗の記憶が眠る海-
飲み屋の外国人ヤンデレ男と童貞男が人生で初めてのセックスをする話(短編)
守り人は化け物の腕の中
友人の恋が難儀すぎる話(短編)
油彩の箱庭(短編)
【完結】君が好きで彼も好き
SAI
BL
毎月15日と30日にはセックスをする、そんな契約から始まった泉との関係。ギブアンドテイクで続けられていた関係にストップをかけたのは泉と同じ職場の先輩、皐月さんだった。
2人に好きだと言われた楓は…
ホスト2人攻め×普通受け
※ 予告なしに性描写が入ります。ご了承ください。
※ 約10万字の作品になります。
※ 完結を保証いたします。
LOVE THEME 愛の曲が流れる時
行原荒野
BL
【愛の物語のそばにはいつも、愛の曲が寄り添っている――】
10年以上片恋を引きずっている脚本家の高岡勇士郎は、初めての大きな仕事を前にしたある日、色々と様子がおかしい高身長の(よく見るとイケメン)青年、栗原温人と事故のような出逢いを果たす。
行きがかり上、宿無しの温人を自宅に住まわせることにした勇士郎だったが、寡黙ながらも誠実で包容力のある温人のそばは思いのほか心地よく、戸惑いながらも少しずつ惹かれてゆく。
そんな時、長年の片思いの相手、辻野から結婚式の招待状が届き――。
欠けたピースがピタリとはまる。そんな相手に出逢えた、ちょっとおかしなふたりの優しい恋をお楽しみください。
※ムーンライトノベルズに掲載していたものに微修正を加えたものです。
※表紙は画像生成AIとイラスト加工アプリを利用して作成したものです。
いいねやエール、お気に入り、ご感想などありがとうございます!!
Don't Speak
国沢柊青
BL
17歳になるショーンは、もうずっと悩んでいた。
それは、例え血が繋がっていないとはいえ、育ての親であるスコットに恋心を抱いてしまったからだった。
その矢先、警察沙汰になるほどの騒ぎが起こり、スコットの秘密が判明する。それを知ったショーンの心は大きく揺れ動き……。
アメリカの片田舎を舞台にしたホロ苦い青春モノ。禁断の親子愛が果たして成就するのか?
**********
分自身で親子モノ+3Pという課題を決めてチャレンジしたお話(BL系)。
派手さはない、素朴な十代の切ない恋物語です。
国沢にしては珍しく14話の短編。
一応親子モノなんで近親相姦とも言えない訳ではないですが、血は繋がってません。したがって、あまり刺激は薄いかも……。でも大人シーンありです。
この次に公開予定のお話のプロローグ的な小品となります。
アネモネの花
藤間留彦
BL
S教師×健気高校生、紳士的な教授×遊び人大学生、高校生同士の純愛。
「裏切り」をテーマにした3部作。
『風岡一温編』完結、『観月脩編』完結。
現在3部作完結編の『陽川花火編』を公開中です。※毎日20時更新
『風岡一温編』
高校生・風岡一温(かぜおか ひいろ)は他人に興味がなく、感情の波が無い人間だったが、化学教師・観月脩(みづき しゅう)の不意の表情に心惹かれ、初めて恋を知る。
しかし一温のその恋は想像を超える痛みを伴うもので──
『観月脩編』
貧乏学生の観月脩(みづき しゅう)はバイトで生活費を稼ぎながら大学に通っていた。 ほぼ毎日歓楽街で爛れた生活を送っていた脩だったが、ある日ゲイバーで偶然にも大学の教授・鳥海芳慈(とりみ よしじ)と遭遇してしまいーー。
『陽川花火編』
好きな人に何もできなかった、しなかった自分を許せないままでいる風岡一温は、学校一の不良と名高い陽川花火に興味を持たれたのか、やたらと絡まれるようになる。
しかし、一温も時折花火の見せる笑顔が儚げで、なぜそう感じるのか気になってしまい、次第に行動を共にするようになっていった。
一方、かつての恋人・鳥海芳慈と再会した観月脩は──。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる