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13.ミシェル視点
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放課後、二人きりになりたかったであろうアフタル殿下には悪いがシェリナたちの馬車に乗せて貰い皇宮へと行った。
通された部屋にいた、心労で痩せてしまったセイラを見て涙が溢れる。
「ミシェル。お帰りなさい」
こんな時にも私に笑いかけてくれるセイラ。そんな彼女が好き。
「ただいまセイラ」
セイラを抱きしめた。
「わたし・・・また・・・」
抱きしめたセイラの肩が震える。
じんわりと私の肩が濡れるのを感じながら、セイラの美しい髪を優しくなぜた。
「何も言わないで。でもこれだけは聞かせて。・・・彼との関係はどうしたい?続けたい?」
私の顔のすぐ横でふるふると首が振られるのがわかった。
「じゃあ、私に任せてもらえる?」
「ミシェル?」
すると顔を上げ私を見てきた。
「どうするの?婚約破棄をするにも簡単じゃないわ。それに、国同士の話にもなるのよ。ミシェルがどうこうできることじゃないわ」
私を心配してくれているんでしょうね。
でも、ねっ。大丈夫よ。
「セイラ。何のためにあなたの祖国であるサージャス国に行ってきたと思うの?」
「留学・・・でしょう?」
「それは表向きではよ。あの国で私の顔を効かせる為に交流しに行っただけよ」
「ミシェル?」
「セイラ。あなたは知らなくていいの。私がしたいだけだから。だから、私に全て任せてここでゆっくりしていればいいわ」
セイラの表情が固まる。
先ほどまでの悲しみに溢れた顔はどこにもない。逆に少し青ざめている気もする。
そんなセイラを気の毒に思ったのか、私の腹心がたんたんと言葉を発した。
「セイラ様。大丈夫でございます。このアリスがおりますので、いざという時はお嬢様をお止めいたします」
煽ってないかしら?
慌てるようにセイラが言ってきた。
「ミシェル!わたしのために犯罪は駄目よ!!」
「もう!セイラったら優しいんだから。犯罪なんてしないわよ。ほんのちょーーーーーーーーっとイタズラをするに決まってるでしょう」
はしたないが親指と人差し指が触れるかどうかといったジェスチャーをしてみせた。
それでもセイラは不安そうにしていた。
どうすれば安心してゆっくりしてくれるのだろうか・・・。
「セイラ様。今の貴女様は大変お疲れなっています。
もし、お嬢様をお止めしたいなら、まずセイラ様がお元気になられませんと絶対に無理でございます。セイラ様もお嬢様がいかに破天荒であるかご存じだと思いますので」
うんうんとセイラが頷く。
ちょっとアリス?
人を猛獣扱いしないでもらえるかしら?
セイラも頷かないでくれないかしら?
「それが気になるなら以前のセイラ様に戻られませんと、確実にお止めするのは無理です!」
「わかったわ。頑張るわ!」
おかしいでしょう!?
セイラもアリスも。
私を止めるために元気になるとか。
ほんと、私は信用がないのかしら?
「では、それまではお嬢様は自由ですね」
「わたし、頑張るわ」
まぁ、いいか。
セイラが前向きになってくれる理由になるのであれば。
通された部屋にいた、心労で痩せてしまったセイラを見て涙が溢れる。
「ミシェル。お帰りなさい」
こんな時にも私に笑いかけてくれるセイラ。そんな彼女が好き。
「ただいまセイラ」
セイラを抱きしめた。
「わたし・・・また・・・」
抱きしめたセイラの肩が震える。
じんわりと私の肩が濡れるのを感じながら、セイラの美しい髪を優しくなぜた。
「何も言わないで。でもこれだけは聞かせて。・・・彼との関係はどうしたい?続けたい?」
私の顔のすぐ横でふるふると首が振られるのがわかった。
「じゃあ、私に任せてもらえる?」
「ミシェル?」
すると顔を上げ私を見てきた。
「どうするの?婚約破棄をするにも簡単じゃないわ。それに、国同士の話にもなるのよ。ミシェルがどうこうできることじゃないわ」
私を心配してくれているんでしょうね。
でも、ねっ。大丈夫よ。
「セイラ。何のためにあなたの祖国であるサージャス国に行ってきたと思うの?」
「留学・・・でしょう?」
「それは表向きではよ。あの国で私の顔を効かせる為に交流しに行っただけよ」
「ミシェル?」
「セイラ。あなたは知らなくていいの。私がしたいだけだから。だから、私に全て任せてここでゆっくりしていればいいわ」
セイラの表情が固まる。
先ほどまでの悲しみに溢れた顔はどこにもない。逆に少し青ざめている気もする。
そんなセイラを気の毒に思ったのか、私の腹心がたんたんと言葉を発した。
「セイラ様。大丈夫でございます。このアリスがおりますので、いざという時はお嬢様をお止めいたします」
煽ってないかしら?
慌てるようにセイラが言ってきた。
「ミシェル!わたしのために犯罪は駄目よ!!」
「もう!セイラったら優しいんだから。犯罪なんてしないわよ。ほんのちょーーーーーーーーっとイタズラをするに決まってるでしょう」
はしたないが親指と人差し指が触れるかどうかといったジェスチャーをしてみせた。
それでもセイラは不安そうにしていた。
どうすれば安心してゆっくりしてくれるのだろうか・・・。
「セイラ様。今の貴女様は大変お疲れなっています。
もし、お嬢様をお止めしたいなら、まずセイラ様がお元気になられませんと絶対に無理でございます。セイラ様もお嬢様がいかに破天荒であるかご存じだと思いますので」
うんうんとセイラが頷く。
ちょっとアリス?
人を猛獣扱いしないでもらえるかしら?
セイラも頷かないでくれないかしら?
「それが気になるなら以前のセイラ様に戻られませんと、確実にお止めするのは無理です!」
「わかったわ。頑張るわ!」
おかしいでしょう!?
セイラもアリスも。
私を止めるために元気になるとか。
ほんと、私は信用がないのかしら?
「では、それまではお嬢様は自由ですね」
「わたし、頑張るわ」
まぁ、いいか。
セイラが前向きになってくれる理由になるのであれば。
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