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第225話 ペットかよ?
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しゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……。
頭にできた大きなタンコブ。
そこから煙をあげつつ、地面に転がるぬか娘。
モジョも同罪だと、おなじように転がされている。
がらがらがらがらがらがらぺっ!!
がらがらがらがらがらがらがらがらがらがらがらがらぺっ!!
がらがらがらがらがらがらがらがらがらがらがらがらがらがらがらがらがらがらがらがらがらがらがらがら――――――――――ぺえっ!!
水道で何度も何度も何度も口を清めるアルテマ。
目には薄っすら涙も浮かべていた。
「ぐえぁうぇあ~~~~気持ち悪い……最悪だ~~最悪だ~~~~!!」
クロードのオ〶ィンチィンを見てしまったとき以上の衝撃に、思わず死にたくなって悶絶している。
「……いや、すまん……し、しかしこうでもしないと働きそうになかったもんでな……ついな」
タンコブを擦りつつ、言い訳をしてくるモジョ。
「だ……代償がデカすぎるわっ!! せっかく結婚するまで大事に取っておいた私のふぁ、ふぁ、ふぁ……――――なんでもないっ!!」
不埒なぬか娘は、ひとり幸せそうな顔で気絶していた。
石で思いっきりぶっ叩いてやったのでしばらく起きてこないだろう。
「……いやでもおかげでホレ、ゴーレムだって大人しくなったじゃないか。ぬか娘の処分は後にして、とりあえずいまのうちに実験してしまおう」
モジョの提案に、文句はないが釈然としないアルテマ。
しかし、こうしている間にも元一の体力は刻一刻と無くなっているかもしれないのだ。接吻の一つや二つ……どうということはない。っていうか女同士だからノーカンノーカンっ!!!!
ぶつぶつ言いながらゴーレムへと近づいていくアルテマ。
モジョもその背に隠れながら、恐る恐るついていく。
「だ……大丈夫なんだろうか? もう襲ってはこないよな?」
「……大丈夫だ、消滅するギリギリまで弱らされている。攻撃反応はしているようだが、もう動く力は残っていないようだ……」
弱った魚のようにときおり痙攣するゴーレムを、チョンチョンと突っつきながら判断するアルテマ。
どうやら本当に危険はなくなったらしい。
バカで変態だが、要所要所でいい働きをする相方《ぬかむすめ》に、隠れてグッジョブサインを出してあげるモジョ。ほんのちょっぴり〝女版クロードのようだ〟と思ったが、それは胸の内にしまっておいてやる。
「電脳開門揖盗《サイバー・デモン・ザ・ホール》の方はどうだ? 動いているか?」
これだけ近寄れば充分だろうと確認するアルテマだが、しかしモジョの表情は曇っていた。
「いや……ダメだな……。弱ってしまったせいか電波状態も悪くなっているみたいだ……」
見ると画面は動くどころか、通信が途絶えてしまって起動すらしていない。
「……シャットダウンしてしまった……まいったな、これじゃ逆効果だ」
「そうか……しかし元気にさせればまた繋がるのだろう?」
「それはそうだが……そんなことができるのか?」
するとアルテマは「ああ、問題ない」と笑って見せる。
「でも、元気にしてしまったら、また暴れるんじゃないか?」
電脳開門揖盗《サイバー・デモン・ザ・ホール》が入った携帯を渡しながら聞く。
受け取ったアルテマは片方の手に携帯を、もう片方にゴーレムを掴んだ。
「それも問題ない。ゴーレムに私の魔力を注入して主人代行だと認めさせる」
「主人代行? ……そんなコトができるのか?」
「精霊魔法は精霊を飼いならす使役魔法だからな。マスターがそう指定していれば複数人の命令を聞くようにだってできる。そして師匠は普段から万が一のことを考えて、つねに弟子である私をセカンドマスター指定している。……今回もきっと」
「……よくわからんが、魔力って、魔法は使えないんじゃないのか?」
「魔力放出だけなら信仰とは無関係だ。――――まあ見ていろ」
そう言うとアルテマは「むうぅぅぅぅぅぅ」と神経を集中させる。
すると身体全体が青白く光り、それがゴーレムをも包んでいく。
やがてその光を飲み込んだゴーレムは「ビクンッ」と、大きく跳ね、スルスルスルスル……とアルテマに巻き付いていく。
そして飼い慣れたヘビのように懐いて、先端を頬に擦りつけてきた。
「おお~~~~……」
あの凶暴だったゴーレムが、ウソのように可愛らしくなって感動するモジョ。
だったら初めからこうしてほしかったと思ったが、魔力注入が使役する鍵なのだとしたら、戦う力が無いいまのアルテマでは無理だったのだろう。
「よしよし……それでお前、コイツのことが理解できるか?」
先っちょをナデナデして、気持ちよくさせてやりながらモジョの携帯を嗅がせるアルテマ。
「……いや犬かよ……っていうか何をしているんだ?」
「アイアンゴーレムは鉱物の化身だからな、おなじ鉱物でできている〝機械〟なら同族として同調できるかもしれないと思って……」
「いや……ケーブルとかとはワケが違うと思うがな……?」
精霊とやらのポテンシャルがどれだけあるのか分からないが……半導体やらなんやらかんやら、モジョでも知らない部品がいっぱいあるのだ。その全部を理解するなんていくら精霊といえど……。
などと期待薄な目で見ていると、
――――ムクムクムクムク……。
ゴーレムの先端が急に細くなって、なんだか見慣れた形に変化した。
「……むう? こ……これはType C ケーブル??」
まさかの順応力に目を丸くしてモジョは驚いた。
頭にできた大きなタンコブ。
そこから煙をあげつつ、地面に転がるぬか娘。
モジョも同罪だと、おなじように転がされている。
がらがらがらがらがらがらぺっ!!
がらがらがらがらがらがらがらがらがらがらがらがらぺっ!!
がらがらがらがらがらがらがらがらがらがらがらがらがらがらがらがらがらがらがらがらがらがらがらがら――――――――――ぺえっ!!
水道で何度も何度も何度も口を清めるアルテマ。
目には薄っすら涙も浮かべていた。
「ぐえぁうぇあ~~~~気持ち悪い……最悪だ~~最悪だ~~~~!!」
クロードのオ〶ィンチィンを見てしまったとき以上の衝撃に、思わず死にたくなって悶絶している。
「……いや、すまん……し、しかしこうでもしないと働きそうになかったもんでな……ついな」
タンコブを擦りつつ、言い訳をしてくるモジョ。
「だ……代償がデカすぎるわっ!! せっかく結婚するまで大事に取っておいた私のふぁ、ふぁ、ふぁ……――――なんでもないっ!!」
不埒なぬか娘は、ひとり幸せそうな顔で気絶していた。
石で思いっきりぶっ叩いてやったのでしばらく起きてこないだろう。
「……いやでもおかげでホレ、ゴーレムだって大人しくなったじゃないか。ぬか娘の処分は後にして、とりあえずいまのうちに実験してしまおう」
モジョの提案に、文句はないが釈然としないアルテマ。
しかし、こうしている間にも元一の体力は刻一刻と無くなっているかもしれないのだ。接吻の一つや二つ……どうということはない。っていうか女同士だからノーカンノーカンっ!!!!
ぶつぶつ言いながらゴーレムへと近づいていくアルテマ。
モジョもその背に隠れながら、恐る恐るついていく。
「だ……大丈夫なんだろうか? もう襲ってはこないよな?」
「……大丈夫だ、消滅するギリギリまで弱らされている。攻撃反応はしているようだが、もう動く力は残っていないようだ……」
弱った魚のようにときおり痙攣するゴーレムを、チョンチョンと突っつきながら判断するアルテマ。
どうやら本当に危険はなくなったらしい。
バカで変態だが、要所要所でいい働きをする相方《ぬかむすめ》に、隠れてグッジョブサインを出してあげるモジョ。ほんのちょっぴり〝女版クロードのようだ〟と思ったが、それは胸の内にしまっておいてやる。
「電脳開門揖盗《サイバー・デモン・ザ・ホール》の方はどうだ? 動いているか?」
これだけ近寄れば充分だろうと確認するアルテマだが、しかしモジョの表情は曇っていた。
「いや……ダメだな……。弱ってしまったせいか電波状態も悪くなっているみたいだ……」
見ると画面は動くどころか、通信が途絶えてしまって起動すらしていない。
「……シャットダウンしてしまった……まいったな、これじゃ逆効果だ」
「そうか……しかし元気にさせればまた繋がるのだろう?」
「それはそうだが……そんなことができるのか?」
するとアルテマは「ああ、問題ない」と笑って見せる。
「でも、元気にしてしまったら、また暴れるんじゃないか?」
電脳開門揖盗《サイバー・デモン・ザ・ホール》が入った携帯を渡しながら聞く。
受け取ったアルテマは片方の手に携帯を、もう片方にゴーレムを掴んだ。
「それも問題ない。ゴーレムに私の魔力を注入して主人代行だと認めさせる」
「主人代行? ……そんなコトができるのか?」
「精霊魔法は精霊を飼いならす使役魔法だからな。マスターがそう指定していれば複数人の命令を聞くようにだってできる。そして師匠は普段から万が一のことを考えて、つねに弟子である私をセカンドマスター指定している。……今回もきっと」
「……よくわからんが、魔力って、魔法は使えないんじゃないのか?」
「魔力放出だけなら信仰とは無関係だ。――――まあ見ていろ」
そう言うとアルテマは「むうぅぅぅぅぅぅ」と神経を集中させる。
すると身体全体が青白く光り、それがゴーレムをも包んでいく。
やがてその光を飲み込んだゴーレムは「ビクンッ」と、大きく跳ね、スルスルスルスル……とアルテマに巻き付いていく。
そして飼い慣れたヘビのように懐いて、先端を頬に擦りつけてきた。
「おお~~~~……」
あの凶暴だったゴーレムが、ウソのように可愛らしくなって感動するモジョ。
だったら初めからこうしてほしかったと思ったが、魔力注入が使役する鍵なのだとしたら、戦う力が無いいまのアルテマでは無理だったのだろう。
「よしよし……それでお前、コイツのことが理解できるか?」
先っちょをナデナデして、気持ちよくさせてやりながらモジョの携帯を嗅がせるアルテマ。
「……いや犬かよ……っていうか何をしているんだ?」
「アイアンゴーレムは鉱物の化身だからな、おなじ鉱物でできている〝機械〟なら同族として同調できるかもしれないと思って……」
「いや……ケーブルとかとはワケが違うと思うがな……?」
精霊とやらのポテンシャルがどれだけあるのか分からないが……半導体やらなんやらかんやら、モジョでも知らない部品がいっぱいあるのだ。その全部を理解するなんていくら精霊といえど……。
などと期待薄な目で見ていると、
――――ムクムクムクムク……。
ゴーレムの先端が急に細くなって、なんだか見慣れた形に変化した。
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