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第15話 富と労働
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「く……黒い炎だ……」
「マジか……驚きだな」
ぬか娘は、はぁはぁと興奮し、モジョは額から汗を流して驚いている。
黒い炎など現世には無いので当然である。
その不思議な炎を見つめ、ぬか娘はさらに体をプルプルと震わせて感動し、
「す……すごい!! 私、魔法なんて見たの初めて~~~~!! ね、ね、教えて!! これ教えて~~~~!!」
と、アルテマに抱きついてくる。
「むぐぉっ!? いや、お、教えてと言ってもなっ!! これは我が魔族にだけ伝わる神聖なる魔術で、それ以外の者に教えることは出来んのだ!!」
おっぱいに押しつぶされながら藻掻くアルテマ。
「え~~~~そんなつれないこと言わないで~~!! 私、魔法使いになるのが夢だったの~~~~!!」
「い、いや、それに勉強と修練に何年もかかるものだし――――ぐぉ、むおぃ!!」
興奮極まってスリスリと頬ずりしてくるぬか娘に背筋がゾゾゾと震える。
「おい、やめてやれ。キモがられてる」
言って、デュクシッとぬか娘の脇腹にデュクシを決めるモジョ。
「あうぅっ!!」
ビクリと跳ねて転がるぬか娘を蹴り飛ばし、アルテマは青ざめつつ胸を押さえてゼイゼイと息をついた。
「すまんな。根はいいヤツなんだがファンタジー的なものになると我を忘れる癖があってな」
モジョがぬか娘を縛り上げながらアルテマに謝る。
「さっきは可愛いものを見るとかって、言ってなかったか!?」
「可愛くてファンタジーなモノに目が無いと言うことだ。つまりアルテマはこの女にとって、どストライクな意中の存在ということだな」
猿ぐつわまで噛まされたぬか娘は、いまだムームー騒ぎつつ、つま先だけをピョコピョコ暴れさせている。
その姿にゾッとしながらも、アルテマは今度は逆にモジョへと質問を返してみる。
「さ、さっき下で……ええと、ヨウツベとやらに聞いたのだが、お前たちは働かないで生活しているらしいな」
「おっと、そうか……聞いてしまったか。まぁ……自己紹介でも謎のニート集団とかこいつが言っていたからな。……で、それに何か文句でもあるのか?」
ドロドロドロ……と、怨念めいたオーラを滲ませながらモジョが威嚇する目付きでアルテマを睨みつけてきた。
あまり触れられたくない話題みたいだが……。
「いや、この世界での人の暮らしに意見するつもりはない。……ただ、私がいた世界では、そんな暮らしは余程大きな貴族くらいしか出来なかったものだからな……。失礼ながらお前たちはそこまで裕福な階級に見えない。なのに働かずに生きていけるとは……一体この世界はどれほど裕福なのだど……その、純粋に興味を持っただけだ」
「ほう……そうか」
そう言われて少しオーラを引っ込めるモジョ。
そして少し考えて、
「べつにこの世界の人間がみんな働いていないわけじゃない……むしろ働きすぎなくらい働いている。まぁ……そちらの世界と比べてどうかはわからんがな。ただ、わたしたちはそういう暮らしに疑問を持って主義を変えただけだ」
「……疑問?」
「……働くために生きるのか、生きるために働くのか。という問題だ」
アルテマも少し考えて答える。
「……そんなもの、生きるために働くに決まっているだろう? 何かの謎掛けか?」
首をかしげるアルテマにモジョは満足げに微笑むと、
「正解だ。……簡単な問題だろう? でもな……この世界にはこんな簡単な問題が解けない奴がわんさかいるんだ」
「?? わからんな? どういうことだ?」
「……食い物も、着るものも、住む場所も、充分あるのにまだ金を欲しがって……働き、浪費し、壊し、搾取するってことだよ」
聞いて、アルテマは聖王国の貴族どもを思い出した。
奴らも充分な富を持っているくせに、際限なく金を集めていた。それこそ今日にでも飢えて死ぬ貧乏人を蹴りつけてでも。
「なるほど、つまりお前らは欲を捨てて生きていると言うことか?」
「お? ……理解が早いなぁ~~……そういうことだよ。……人間生きていくのに米は三合、畳は一畳あればいいってな。…………それ以上を望むとろくなことにならない。……それにわたしたちは気付いたんだなぁ~~……」
機嫌が良くなり、袖をパタパタと振って鼻を鳴らすモジョ。
「労働も、浪費も最小限にぃ~~……。あとは遊んでストレスいらず。地球にも環境にも優しく、人生も充実。……こんないい生き方が他にあろうか?」
「……確かに、それで生きていけたら最高なのだろうが……しかし、それはやはり国が豊かではないと出来ない相談ではないのか? そしてその豊かさを維持するのに労働と言うのはやはり必要なのではないのか? ……つまりお前たちはそんな豊かさに甘えて――――と、す、すまない。余計なことを言っているか?」
ドロドロドロ……と、またもや怨念をにじみ出すモジョにアルテマは慌てて口をつむぐ。
「ぅぁあ~~……ぁ、え~~と、それでもその主義とやらは理解したぞ? 必要以上の贅沢は不幸しか生まないからな。食われる者も、最小限でいい。そういうことだろう? ならばそれは私も大賛成だ」
――――ぷしゅ~~ん……。
その言葉を聞いて、またしぼんでくれるモジョ。
ぬか娘もキツイがこの娘も大概だなと、アルテマはやれやれと汗を拭った。
「マジか……驚きだな」
ぬか娘は、はぁはぁと興奮し、モジョは額から汗を流して驚いている。
黒い炎など現世には無いので当然である。
その不思議な炎を見つめ、ぬか娘はさらに体をプルプルと震わせて感動し、
「す……すごい!! 私、魔法なんて見たの初めて~~~~!! ね、ね、教えて!! これ教えて~~~~!!」
と、アルテマに抱きついてくる。
「むぐぉっ!? いや、お、教えてと言ってもなっ!! これは我が魔族にだけ伝わる神聖なる魔術で、それ以外の者に教えることは出来んのだ!!」
おっぱいに押しつぶされながら藻掻くアルテマ。
「え~~~~そんなつれないこと言わないで~~!! 私、魔法使いになるのが夢だったの~~~~!!」
「い、いや、それに勉強と修練に何年もかかるものだし――――ぐぉ、むおぃ!!」
興奮極まってスリスリと頬ずりしてくるぬか娘に背筋がゾゾゾと震える。
「おい、やめてやれ。キモがられてる」
言って、デュクシッとぬか娘の脇腹にデュクシを決めるモジョ。
「あうぅっ!!」
ビクリと跳ねて転がるぬか娘を蹴り飛ばし、アルテマは青ざめつつ胸を押さえてゼイゼイと息をついた。
「すまんな。根はいいヤツなんだがファンタジー的なものになると我を忘れる癖があってな」
モジョがぬか娘を縛り上げながらアルテマに謝る。
「さっきは可愛いものを見るとかって、言ってなかったか!?」
「可愛くてファンタジーなモノに目が無いと言うことだ。つまりアルテマはこの女にとって、どストライクな意中の存在ということだな」
猿ぐつわまで噛まされたぬか娘は、いまだムームー騒ぎつつ、つま先だけをピョコピョコ暴れさせている。
その姿にゾッとしながらも、アルテマは今度は逆にモジョへと質問を返してみる。
「さ、さっき下で……ええと、ヨウツベとやらに聞いたのだが、お前たちは働かないで生活しているらしいな」
「おっと、そうか……聞いてしまったか。まぁ……自己紹介でも謎のニート集団とかこいつが言っていたからな。……で、それに何か文句でもあるのか?」
ドロドロドロ……と、怨念めいたオーラを滲ませながらモジョが威嚇する目付きでアルテマを睨みつけてきた。
あまり触れられたくない話題みたいだが……。
「いや、この世界での人の暮らしに意見するつもりはない。……ただ、私がいた世界では、そんな暮らしは余程大きな貴族くらいしか出来なかったものだからな……。失礼ながらお前たちはそこまで裕福な階級に見えない。なのに働かずに生きていけるとは……一体この世界はどれほど裕福なのだど……その、純粋に興味を持っただけだ」
「ほう……そうか」
そう言われて少しオーラを引っ込めるモジョ。
そして少し考えて、
「べつにこの世界の人間がみんな働いていないわけじゃない……むしろ働きすぎなくらい働いている。まぁ……そちらの世界と比べてどうかはわからんがな。ただ、わたしたちはそういう暮らしに疑問を持って主義を変えただけだ」
「……疑問?」
「……働くために生きるのか、生きるために働くのか。という問題だ」
アルテマも少し考えて答える。
「……そんなもの、生きるために働くに決まっているだろう? 何かの謎掛けか?」
首をかしげるアルテマにモジョは満足げに微笑むと、
「正解だ。……簡単な問題だろう? でもな……この世界にはこんな簡単な問題が解けない奴がわんさかいるんだ」
「?? わからんな? どういうことだ?」
「……食い物も、着るものも、住む場所も、充分あるのにまだ金を欲しがって……働き、浪費し、壊し、搾取するってことだよ」
聞いて、アルテマは聖王国の貴族どもを思い出した。
奴らも充分な富を持っているくせに、際限なく金を集めていた。それこそ今日にでも飢えて死ぬ貧乏人を蹴りつけてでも。
「なるほど、つまりお前らは欲を捨てて生きていると言うことか?」
「お? ……理解が早いなぁ~~……そういうことだよ。……人間生きていくのに米は三合、畳は一畳あればいいってな。…………それ以上を望むとろくなことにならない。……それにわたしたちは気付いたんだなぁ~~……」
機嫌が良くなり、袖をパタパタと振って鼻を鳴らすモジョ。
「労働も、浪費も最小限にぃ~~……。あとは遊んでストレスいらず。地球にも環境にも優しく、人生も充実。……こんないい生き方が他にあろうか?」
「……確かに、それで生きていけたら最高なのだろうが……しかし、それはやはり国が豊かではないと出来ない相談ではないのか? そしてその豊かさを維持するのに労働と言うのはやはり必要なのではないのか? ……つまりお前たちはそんな豊かさに甘えて――――と、す、すまない。余計なことを言っているか?」
ドロドロドロ……と、またもや怨念をにじみ出すモジョにアルテマは慌てて口をつむぐ。
「ぅぁあ~~……ぁ、え~~と、それでもその主義とやらは理解したぞ? 必要以上の贅沢は不幸しか生まないからな。食われる者も、最小限でいい。そういうことだろう? ならばそれは私も大賛成だ」
――――ぷしゅ~~ん……。
その言葉を聞いて、またしぼんでくれるモジョ。
ぬか娘もキツイがこの娘も大概だなと、アルテマはやれやれと汗を拭った。
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