愚兄のネットワークビジネスに巻き込まれてお金を取られた挙句実母から悪者扱いされたヤベー話

5.絆されると思ったか

頭が痛い。
利用詳細メールには、一度目とほぼ同額の料金が記載されていた。
利用先も兄のマルチ商法会社と同じ。

私は、ひと月の間に約二ヶ月分の給料を勝手に決済されたのだ。
○ねぇぇーー！

すぐに兄に連絡を取る。

「商品を使ってから解約するか考えてほしいんや」

などと宣うたのだ。

私が、あれだけ強くキツく解約と返金対応をするように言ったのにもかかわらず、何の手続きもしていなかったのだ。
信じられない。
出るとこ出るぞ。

そしてまた、良いものだから！口撃が始まった。
これもいい加減にしてほしい。

兄曰く、サプリメントと基礎化粧品がとにかく良いものらしい。
私は、それらの商品の特徴と体や肌にどうプラスの効果をもたらすのか、聞いた。

「みんなめっちゃ良いって薦めてる！俺も使ってみて良かったと思ったから、使ってみて！」
「だから、どんな風に良かったん？もっと具体的に説明してよ」
「健康になるんやって！使い続けてたら癌とか病気も治ったって言ってたで！」

はい、ダメ。アウト～～～！！

私が保有している資格は、登録販売者というもの。
医薬品登録販売者と言った方が分かりやすいかもしれない。
ここ数年、一般用医薬品がスーパーやコンビニ等、売り場が拡大した事もあり、求人数も増えてやたら推奨され始めた資格である。
今でこそ知名度も増えて合格率も上がっているが、私が受験した約10年前はまだまだマイナーな資格だった。

当時、調剤薬局で勤務していたので、一般用医薬品やサプリメント等健康食品に限らず、処方箋薬にも日常的に触れていた為、普通の人より多少なりともその辺の知識はあった。

サプリメントは医薬品ではない。
普段の食事では満足に摂取できない栄養を補う為のものだ。だから食品と同じ。
サプリメントで補う事によって病気の予防は期待できるかもしれないが、病気が治るなんて事はないと思って良い。
医薬品ではないのに、病気の改善や治癒に効くと標榜するのは薬事法違反である。

しょっ引いてやろうか。

そもそも。
薬事法に触れていないとしても、自分の取り扱っているご自慢の商品のセールスポイントをまともに説明できない時点で終わってるよ。

兄の説明になってない説明で納得して購入する人は、よっぽどの馬鹿だと思う。


後日、柴犬程の段ボール箱が届いた。
母が開封したところ、サプリメントと基礎化粧品が数点ずつ入っていた。

サプリメントはビタミン系。
基礎化粧品は「コラーゲン配合で奥までしっとりもち肌」的な商品だった。

コラーゲンを肌に塗って真皮まで浸透する訳ねーだろ！●ケ！

こんな、ドラッグストアで五千円出せば十分揃えられそうなものが、十数万？！
キレっぞ！（もうキレてる）


続