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第二部

第14話 ※

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「エデル‥気持ちいい‥」
「エルシャ様‥」

 きつく抱き合い荒い息で舌を擦り付け合う。その甘さにエデルの理性のネジがぐらぐらと緩んだ。
 昼間に会わない、服を脱がない、少しだけ。自ら設けた制約を自らあっさり取っ払う。もじもじと脚を擦り合わせるエルーシアのスカートに手をかけてまくり上げた。晒される艶かしい太ももを快感を誘うように撫で上げる。

「んッエデ‥や‥」
「‥‥もう少しだけ‥」

 エルーシアもエデルの愛撫に慣れた。次の段階に進めそうだ。迷いなく即断し太ももに手を這わせる。決して衝動ではないと自身に言い訳しながら手を動かした。普段と違う箇所に触れられエルーシアがびくりと身を震わせる。

「ああん?!」
「大丈夫です。力を抜いて。少しだけ触れます」

 太ももの内側を指でくすぐればエルーシアは熱い息を吐く。嫌がっていない様子からエデルのネジがきしんでさらに緩んだ。
 少しだけ。少しだけ。脳内で呪文のように唱えるが指は止まらない。エデルは自分の人差し指と中指をペろりと舐める。たっぷりの唾液で濡らした指二本で太ももの付け根に這わせた。

「あッやめッダメッ」
「大丈夫です」

 エルーシアの制止をいなし手を太ももの付け根に差し込みエデルは目を瞠る。触れるはずの下穿きがない。夜身につけてないには知っているが今は昼間だ。エルーシアが恥ずかしげに目を伏せた。

「え?エルシャ様?」
「‥だって‥エデルと一緒だと‥すごく濡れちゃうから恥ずかしくて‥」
「でも」
「侍女のみんなに知られちゃうから‥」

 確かにそうかもしれないが何もない方が恥ずかしくないのか?脳内で冷静なツっこみが飛ぶ。世間知らずか天然が故か他の女性と少々考え方が違うようだ。突拍子もない。だかそこもエデル的には可愛らしい。忍び笑いを漏らしつつ指は障壁のないそこをまさぐり続ける。

「エデル‥‥‥ンンッ」
「‥‥‥‥濡れてます」

 初めて触れるエルーシアの蜜壺はこんこんと愛蜜を溢していた。自分を受け入れる準備をしてくれていると思えば脳が熱湯をかけられたように沸騰した。焦燥と衝動のままに蜜口と秘裂をゆっくりと擦り秘肉を愛撫する。エルーシアが口を押さえてぶるりと体を震わせた。はしばみ色ヘーゼルの瞳から涙が溢れ出ている。

「ひんッエデル‥もうダメ‥もう‥あぁんッ」
「もう‥少し‥だけ‥」

 可愛い涙声でダメだと言われては止まらない。それは制止ではなく煽る言葉だ。蜜を纏った指二本で秘裂を探り勃ち上がっているだろうそこをするりと撫でた。神経に直接繋がるそこを初めて触れられ、衝撃でエルーシアが目を剥いた。

「やッそこダメッ」
「もう少し‥気持ち良くなって‥」

 指を擦らず小刻みに振動だけ与える。それだけで十分だった。口を押さえ声を殺して啜り泣くエルーシアにもっともっとと劣情が募る。尖る胸を口に含み舐れば味がしないはずなのに酷く甘いと感じられた。

「エデッやめッ変なの‥」
「それでいいんです。もっと感じてください」

 目の前の雌をイかせたい。自分の手で初めての快感を教えたい。その本能に呑まれエデルは我を忘れエルーシアを攻め立てた。

「ダメッ声がッエデ———」

 喘ぐその口を己が口で深く封じる。指で胸と陰核を同時に攻められエルーシアは快感を極めて体を震わせた。くぐもった声は深く口づけるエデルの喉に消えた。びくんびくんと震える愛しい恋人をエデルは荒い息を吐いて見下ろしていた。

「初めてイけましたね?」
「イ‥‥?」
「男と女の睦み合いです。気持ちよかったですか?」
「‥‥‥ええ‥‥‥ああんッやんッ」

 嬉しくてつい下腹部の指を動かしてしまった。

 ああ、この小悪魔はなんて可愛らしいんだ‥‥

 涙に濡れた瞳が光の加減で色を変える。達したばかりでまだ感度がいいのかびくびくと震えるエルーシアが可愛らしくて堪らない。喉が勝手にごくりとなった。さらに募る劣情を歯を食いしばってねじ伏せエルーシアを支え起こし服を着せる。これ以上は流石にダメだ。
 
 初めて達したエルーシアは腰が抜けていた。一人では帰れない。当然だろう。もうダメだと言われたのにもう少しと押し切ったエデルが悪い。エデルは目元を覆う。

 昼間なのに。目立ってはダメなのに。少しだけと言いながら脱がせてイかせて。僕は何をしているんだ?繁殖期サカリの駄馬か?愚か者のように自分の墓の穴をせっせと掘っている。

 エルーシアを抱いてこっそり部屋の外まで連れて行く。格子窓越しにドロシーと呼ばれる侍女に声をかけた。そして隠し扉を開けエルーシアをベッドまで横抱きに運ぶ。ドロシーの視線が痛かったが努めて無視した。こういうスキルも男には時には必要だ。

「もう昼間に外に出るのはダメです。危険ですから」
「でも‥」
「我慢してください。また明日の休憩に参りますから」

 ドロシーの何か言いたげな刺さる視線を受けながらエデルは隠し扉を通り抜ける。酷い汗で背中がぐっしょり濡れていた。
 エルーシアは達したからいい。だがエルーシアに火をつけられ火照ったこの体を宥めるのは水浴びだろうか。これではどちらがリードしているのかわからない。エデルはふぅと嘆息した。

「我慢だ。堪えろ。もうこれ以上昼間はダメだ」

 昼間はあらゆる意味で危険だ。夜会まで耐えるしかない。だが小悪魔の淫らな誘惑に堪えられるはずもない。自戒の甲斐なく、結局エルーシアに請われるままに夜会のない夜や昼間の密かな逢瀬が増えることとなった。

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