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異世界生活:グリーデン編

異世界プチ女子会。第二弾

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4度目の鐘が鳴るまでには職人ギルドに向かわなければならない。
武器を作り終え、ザディオにしばしの別れを告げて、蓮は冒険者ギルドへ向かった。

冒険者ギルドでグランに街を離れることを説明。
3日以内に戻ることを説明すると、そばにいたミミィが『その日なら私が受付してます!』と嬉しそうに言葉にした。

勢いで言葉にしてしまったのか、言葉にした後、恥ずかしくなり、ミミィは耳まで赤く染めて、カウンターの下に隠れてしまった。

「うちの看板娘たちをたぶらかさないでくださいね」

以前同様に、その光景を見ていたアニィに指摘されるが身に覚えがなく、蓮は慌てて否定した。
その様子を見ていた桜とドラコが不機嫌そうに蓮を睨むため、気まずい雰囲気が流れた。

「お、お前も色々と大変なんだな……」

グランの哀れみを受け、蓮は職人ギルドに向かった。


「すみません。お待たせしました」

職人ギルドに入ると、既に準備を終えた様子の調合師3人が居た。
エルフ姉妹の足元には大きなリュックが2つ。
そのリュックにちょこんと腰をかける妖精族のウィステリアが居た。

蓮たちが来たことを確認すると、エルフ姉妹は軽々とリュックを持ち上げ背負った。

その様子を見て、魔素の流れを読み桜が言葉にした。

「魔法がお上手なんですね」

フィーネとフローネは、筋力向上マッスルアップという支援魔法を使用しているそうだ。

姉のフィーネは水魔法と氷魔法と支援魔法が、妹のフローネは風魔法と地魔法と結界魔法が得意で、適性も5や6程度ある。
ウィステリアに関しては全体的に4や5があり、特に地と光はともに6だそうだ。

「皆さんすごいですね。羨ましい限りです。僕なんて風と闇以外はからっきしですよ」

3人の話を聞いて、蓮は自分よりも高い適性を持っていることを称え、羨ましく思った。
特に支援魔法の適正が高ければ蓮の戦闘能力は飛躍的に高くなったはずだ。

エルフ姉妹とウィステリアは驚いた。
そして、魔法への劣等感が強く、逆に優越感に浸る事は好きな人族が多い中、嫌味なく笑顔で素直に気持ちを話せる蓮に好印象を抱いた。

「他にも荷物はありますか?」

蓮が尋ねると、それぞれの部屋に、入りきらなかった本や、大きいフラスコ、成分を抽出するために使用する道具などがあると答えた。

蓮はそれぞれの部屋に一緒に向かい、必要な物を指示通りにアイテムボックスへ収納。

あっという間に準備を済ませ、3人を驚かせた。

「おう!もう行くのか?」

受付の近くで最終確認をしてるとガバルに声をかけられた。

「はい。明日以降やることが多いので夜のうちに移動させてもらいます」

ガバルは蓮に限って悪いようにはしないだろうとは思いながらも、3人をよろしく頼むと頭を下げた。

ザディオもそうだがドワーフは律儀で義理堅い種族なのかもしれない。
蓮はそう思いながら、不安を拭うようにはっきりと返事をし、職人ギルドを後にした。

職人ギルドを出たところでリルを見てエルフ姉妹とウィステリアは、本当にフェンリルが居ること驚いた。
リルには3人のことも家族のように守ることを伝え、出店で夕食を買ってから、いつもの北門から外に出た。

街から離れ、人目につかないところでドラコが竜型に戻り、ユグドラシルが用意した木製の大きなバスケットを用意した。
背に乗るせるのではなく、まるで気球のようにドラコが全員を乗せて運ぶのだ。

竜を目の当たりにしたことと、ユグドラシルが植物魔法を使用したことに驚いた。

フェンリルに竜に精霊。
驚きの連発に少し疲れたようだ。

「あら、具合が悪いのかしら?」

ユグドラシルはそう言いながら世界樹の実を3人に差し出した。
それがとどめを刺す行為だと自覚していないユグドラシル。
まるでこれからも3人の驚きの日々は続くことを示唆しているようだった。

特にエルフ族も妖精族も精霊に対して信仰心が強いため、ユグドラシルが普通に接するだけで心がもたないようだ。

「まぁまぁ。そう緊張なさらずに。同僚であり仲間なんですから」

蓮は、無宗教で差別意識なく育った自身だからこその言葉だと理解しながらも、3人に気負わないように伝えた。

この世界で生まれ育ち、種族特有の文化が染み込んでいるフィーネ、フローネ、ウィステリアの3人には難しいかもしれないが、少しずつ今後の暮らしに慣れなければ気疲れしてしまう。

無神経ではなく、配慮からの言葉だったが3人は口を揃えて『善処します』と答えた。

桜の向日葵、ユグドラシルと調合師3人は木製のバスケットに乗り、ドラコが運ぶ。

蓮のリルは来た時と同様に、風魔法の練習のために走って帰る。


「だからごめんってぇ」

謝るのは蓮。
相手はリルだ。
走り始めてすぐに、バスケットに乗り込んだ女性陣は夜ご飯を食べ始めた。

その時にリルとドラコに『お先にごめんね!2人には後で山盛りお肉焼くからね!』と言ったのがことの発端。

蓮はマンティコア含め、全てを冒険者ギルドに引き渡してしまっていることに気がついた。
鱗も、毛皮も、もちろん肉も。

その事実を知りリルはご立腹。
プルサルディノスやマンティコアはまだ良い。
蓮が倒した魔物だからだ。
他の数多の魔物は、苦戦はしていないが、食べるのを楽しみにリルが狩りまくった魔物だ。
全て引き渡してしまっているのだ。
怒って当然と言えば当然。

蓮が謝るがリルは一向に機嫌を直さない。
まるで取っておいたおやつを食べられ、へそを曲げた男の子のように怒るリルの様子をバスケットから見ていた女性陣。

「ね?怖くないでしょ?」

桜がリルは可愛げがあると説明すると、調合師の3人は頷いた。

「レン様も魔法がお上手ですね」

「ま、魔法よりも、あの速度の方が気になるわよ」

「うん。人族だよね?っていうか人間だよね?」

風魔法で足場を作りつつ、リルと並走する蓮を見て妹のフローネは魔法を褒め、姉のフィーネは身体能力に驚き、ウィステリアは人間であることを疑った。

「あ、やっぱり思います?私も最近、気になってたんですよ」

桜はウィステリアの疑念に共感を示し、笑いを誘った。

「さ、気にせず食事にしましょ。買ってきたものですみません。明日からはちゃんと作りますね」

桜が謝罪すると、買い物は全て蓮が支払っているため、感謝しかないと調合師の3人は、一様に謝罪を否定した。

他の者がリルやドラコの食事がないことを気遣うが、『まぁ家に向くまでには兄が何とかしますよ』と軽い口調で桜は答えた。

向日葵はすでに、ユグドラシルの膝を陣取り食べる気満々。
今は元気だが、いつもより食事が少し遅くなってしまっているため、おそらく食べればすぐに寝てしまうのだろう。

案の定、食べ始めは勢いが良かったが、少ししたら両手に串焼きを持ったまま寝てしまった。
まるで双剣使いのようなたたずまいだ。

「ひ、ひまちゃん?流石にお口の中のはごっくんして?」

桜が慌てて向日葵を起こすと、思い出したかのように口をもぐもぐと動かし、飲み込んだらまた寝てしまった。

ユグドラシルがそっと頬に手を添えて浄化クリーンで綺麗にする。

バスケットの中に寝かせる事もできるが、ユグドラシルは向日葵を下ろさず優しい笑みを浮かべている。

調合師の3人にとっては初めての空の旅。
竜に運ばれるという特殊な状況ではあるが、せっかくなので景色や会話を楽しむ。

真上は見上げられないが、地平線の上に広がる星空を見たり、月明かりや輝き草の群生地などで光が散りばめられた森を見たりしながらお互いのことを話す。

女性同士はコミュニケーションを取るのが上手く、また気が合うのかすぐに仲良くなった様子だ。

一方の蓮は、走りながら魔物を探す。
家に着くまでに数体の魔物を捉えなけば、リルにもドラコにも怒られてしまうからだ。

女性陣にとっては楽しく、蓮にとっては気が気ではない空の旅となった。
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