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異世界生活:グリーデン編
ポーション販売②
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モーセの十戒の様に人混みを割り、受付の前へ。
「こんにちは。グランさんいますか?」
「ええ。オーク討伐の報酬もお渡ししますので、少しお待ちください」
ドラコとユグドラシルの気迫に怯える美人受付嬢たちに声をかける。
おどおどしているミミィとソフィに変わってエルフ族のアニィが対応。
流石は副ギルドマスター。
多少の心得があるようで、堂々とした様子だ。
「あ、あの……」
堂々とした様子のまま、受付から動かないため蓮が声をかける。
どうやら足が震えているようだ。
『怖いものは怖いんですぅ』と小声で瞳を潤ませて言うアニィ。
ギャップ萌えで死にそうになりながらも、今はそれどころではないと蓮は振り返った。
「ドラコもユグドラシルも抑えてくれる?」
人混みをかき分けることなく受ける毛まで来れたのは助かったが、やる気満々の雰囲気を出されてたままでは話が進まない。
2人が戦意を治めると同時に、もう大丈夫であることを伝える。
蓮がにこやかに謝罪すると、アニィは不思議な感覚を得た。
グランにしてもそうだが、強者は強者たる振る舞いをする。
豪快。豪気。がさつ。見下し。慢心。
種類は異なるが、何かしらが振る舞いに現れる。
しかし、蓮にはそれが無い。
むしろ逆に、穏やかな優しい雰囲気だ。
グランから蓮たちの事は聞き及んでいるが、強さを見せない事に、良い違和感を覚えたのだ。
アニィは、隣で抱き合っていたミミィとソフィにオーク討伐の報酬の用意を指示すると、奥へグランを呼びに行った。
「で、ではこちらが報酬となります」
報酬が入った布袋が2つ。
金貨5枚と銀貨20枚。
軽く月給の倍の報酬だ。
蓮は桜に受け取るように言い『おめでとう』と伝えた。
使いやすくわけてくれていることにも感謝を伝え受け取る。
桜が初めて自身で稼いだ金銭。
「好きなものを好きなだけ買って、使い切っておいで」
蓮が笑いながら言うと、桜は使えきれないと笑って答えた。
貧しい暮らしをしていたわけではないが、何かと苦労を掛けていた。
これからは狩りとポーションで金銭的なストレスの無い生活ができると改めて安堵した。
蓮に抱きかかえられたままの向日葵がミミィにお礼というと、ミミィの緊張した表情が和らいだ。
「ひまちゃん!絵本もお洋服もいっぱい買おうね!」
これだけ自信に満ち溢れ、明るい表情をする桜を見るのはいつぶりだろうか。
普段から明るい性格ではあるが、同時に気を遣う優しい性格でもあるため、蓮に経済面を全て背負わせている事に負い目を感じている節が多くあった。
この世界に来て強さを得たことは、自分の家族を守ることができているという自信につながったようだ。
そんな風に思っていると、外から元気な声が聞こえてきた。
何やらリルに挨拶をしているようだ。
ひとしきり騒ぐと声の主は自在扉を押して入って来た。
「あー!やっぱり居たぁ!」
声の主は白い毛で覆われた狼人族のメイだ。
その後ろにフェンとローも居る。
「そろそろかと思って来たらフェンリル様が居たんでな。お前も居ると思ったんだ」
以前食事をしたことで少し距離が縮み、話しかけてくれるようになったことは嬉しいことだ。
「今日がポーションの発売日なんだ。是非買っていって」
気さくに話ができる同世代との交流は楽しい。
蓮は桜と向日葵にも、そういう交流関係を広げてほしいと思った。
「誘ってみたら?」
蓮は、桜と向日葵に同世代の友達を作ってほしかった。
そのため、桜にメイを買い物に誘ってみてはどうかと提案した。
桜はゆっくりと頷き、メイに声をかけた。
「あ、あの。この後、お暇でしたら一緒にお買い物とかどうでしょうか?」
緊張のあまり、品があるのか無いのかよくわからない話し方になっている。
「服や本を買いたいんだ。嫌でなければ案内してもらえないかな?もちろんお昼は桜の驕りだよ」
蓮がそう言うとメイは飛び跳ねて喜んだ。
桜も嬉しそうだ。
向日葵は少し緊張しているのか大人しい。
「おう!すまん!待たせたな!」
丁度良いところでグランが現れた。
蓮はユグドラシルに向日葵を抱き渡し、桜と向日葵の護衛を頼んだ。
「リルもドラコもいるし大丈夫だと思うけど、危ないことが無いようにね」
蓮がそう言うと桜は嬉しそうな笑みを浮かべて答えた。
今度は向日葵にも人間の友達を作ってあげないとな。
蓮はそんなことを思い浮かべながら、フェン達に挨拶をして奥の部屋に移動した。
中に入るとガバルも既におり、2人で話して作った契約書が机に置かれていた。
「さっそくで悪いが確認してくれ」
発売を待ち遠しくしている者が多く、少しでも早く売り出したいようだ。
蓮は書類を手に取って内容を確認。
主に書かれているのは罰則だ。
転売禁止。
転売行為が発覚すれば即資格剥奪。
再登録は1年不可。
他には買い占め防止の注意喚起や、入れ物を持参することが書かれている。
概ね問題ないため、蓮は了承。
どこまで厳しくしても悪いことをする奴はする。
「あと、大金貨8枚。白金貨よりは使いやすいだろう?」
ポーションは樽1つ白金貨2枚。
グランにはリンゴとミカンで伝えていたため、白金貨4枚分の用意しかないのは当然だ。
「これ、試作品のブドウポーションです」
蓮はそう言いながら木製の水筒からコップにブドウポーションを注ぎ、2人に飲ませた。
「う、うまい!」
「かぁー!うめぇ!もう一杯!」
2人の反応からして、ブドウポーションも問題なく需要がありそうだ。
「商品登録がまだなので、今回は1樽サービスで渡しておきます」
蓮はそれぞれの味のポーション樽を床に置き、金銭を受け取った。
ブドウポーションはガバルがギルドに帰ってから登録しておいてくれるそうだ。
「それで、今後の流れですが……」
蓮はグランとガバルに調べてほしいことを依頼。
実際に1樽から1000杯分のポーションが売れたのかどうか。
溢したり何かしらの理由で足りないことが発生しないかを確認。
次に、どの味が人気なのかを確認。
最後に、改善点探し。
他の味を出してほしい。
もっと飲む量を減らしてほしい。
そういった声が上がれば随時対処する。
蓮はグランとガバルと握手をして、一旦はこれで行こうと決めた。
「じゃあさっそくいきますか」
蓮は売り場まで運ぶために樽をアイテムボックスに収納。
受付横の売り場スペースへと向かった。
「こんにちは。グランさんいますか?」
「ええ。オーク討伐の報酬もお渡ししますので、少しお待ちください」
ドラコとユグドラシルの気迫に怯える美人受付嬢たちに声をかける。
おどおどしているミミィとソフィに変わってエルフ族のアニィが対応。
流石は副ギルドマスター。
多少の心得があるようで、堂々とした様子だ。
「あ、あの……」
堂々とした様子のまま、受付から動かないため蓮が声をかける。
どうやら足が震えているようだ。
『怖いものは怖いんですぅ』と小声で瞳を潤ませて言うアニィ。
ギャップ萌えで死にそうになりながらも、今はそれどころではないと蓮は振り返った。
「ドラコもユグドラシルも抑えてくれる?」
人混みをかき分けることなく受ける毛まで来れたのは助かったが、やる気満々の雰囲気を出されてたままでは話が進まない。
2人が戦意を治めると同時に、もう大丈夫であることを伝える。
蓮がにこやかに謝罪すると、アニィは不思議な感覚を得た。
グランにしてもそうだが、強者は強者たる振る舞いをする。
豪快。豪気。がさつ。見下し。慢心。
種類は異なるが、何かしらが振る舞いに現れる。
しかし、蓮にはそれが無い。
むしろ逆に、穏やかな優しい雰囲気だ。
グランから蓮たちの事は聞き及んでいるが、強さを見せない事に、良い違和感を覚えたのだ。
アニィは、隣で抱き合っていたミミィとソフィにオーク討伐の報酬の用意を指示すると、奥へグランを呼びに行った。
「で、ではこちらが報酬となります」
報酬が入った布袋が2つ。
金貨5枚と銀貨20枚。
軽く月給の倍の報酬だ。
蓮は桜に受け取るように言い『おめでとう』と伝えた。
使いやすくわけてくれていることにも感謝を伝え受け取る。
桜が初めて自身で稼いだ金銭。
「好きなものを好きなだけ買って、使い切っておいで」
蓮が笑いながら言うと、桜は使えきれないと笑って答えた。
貧しい暮らしをしていたわけではないが、何かと苦労を掛けていた。
これからは狩りとポーションで金銭的なストレスの無い生活ができると改めて安堵した。
蓮に抱きかかえられたままの向日葵がミミィにお礼というと、ミミィの緊張した表情が和らいだ。
「ひまちゃん!絵本もお洋服もいっぱい買おうね!」
これだけ自信に満ち溢れ、明るい表情をする桜を見るのはいつぶりだろうか。
普段から明るい性格ではあるが、同時に気を遣う優しい性格でもあるため、蓮に経済面を全て背負わせている事に負い目を感じている節が多くあった。
この世界に来て強さを得たことは、自分の家族を守ることができているという自信につながったようだ。
そんな風に思っていると、外から元気な声が聞こえてきた。
何やらリルに挨拶をしているようだ。
ひとしきり騒ぐと声の主は自在扉を押して入って来た。
「あー!やっぱり居たぁ!」
声の主は白い毛で覆われた狼人族のメイだ。
その後ろにフェンとローも居る。
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「今日がポーションの発売日なんだ。是非買っていって」
気さくに話ができる同世代との交流は楽しい。
蓮は桜と向日葵にも、そういう交流関係を広げてほしいと思った。
「誘ってみたら?」
蓮は、桜と向日葵に同世代の友達を作ってほしかった。
そのため、桜にメイを買い物に誘ってみてはどうかと提案した。
桜はゆっくりと頷き、メイに声をかけた。
「あ、あの。この後、お暇でしたら一緒にお買い物とかどうでしょうか?」
緊張のあまり、品があるのか無いのかよくわからない話し方になっている。
「服や本を買いたいんだ。嫌でなければ案内してもらえないかな?もちろんお昼は桜の驕りだよ」
蓮がそう言うとメイは飛び跳ねて喜んだ。
桜も嬉しそうだ。
向日葵は少し緊張しているのか大人しい。
「おう!すまん!待たせたな!」
丁度良いところでグランが現れた。
蓮はユグドラシルに向日葵を抱き渡し、桜と向日葵の護衛を頼んだ。
「リルもドラコもいるし大丈夫だと思うけど、危ないことが無いようにね」
蓮がそう言うと桜は嬉しそうな笑みを浮かべて答えた。
今度は向日葵にも人間の友達を作ってあげないとな。
蓮はそんなことを思い浮かべながら、フェン達に挨拶をして奥の部屋に移動した。
中に入るとガバルも既におり、2人で話して作った契約書が机に置かれていた。
「さっそくで悪いが確認してくれ」
発売を待ち遠しくしている者が多く、少しでも早く売り出したいようだ。
蓮は書類を手に取って内容を確認。
主に書かれているのは罰則だ。
転売禁止。
転売行為が発覚すれば即資格剥奪。
再登録は1年不可。
他には買い占め防止の注意喚起や、入れ物を持参することが書かれている。
概ね問題ないため、蓮は了承。
どこまで厳しくしても悪いことをする奴はする。
「あと、大金貨8枚。白金貨よりは使いやすいだろう?」
ポーションは樽1つ白金貨2枚。
グランにはリンゴとミカンで伝えていたため、白金貨4枚分の用意しかないのは当然だ。
「これ、試作品のブドウポーションです」
蓮はそう言いながら木製の水筒からコップにブドウポーションを注ぎ、2人に飲ませた。
「う、うまい!」
「かぁー!うめぇ!もう一杯!」
2人の反応からして、ブドウポーションも問題なく需要がありそうだ。
「商品登録がまだなので、今回は1樽サービスで渡しておきます」
蓮はそれぞれの味のポーション樽を床に置き、金銭を受け取った。
ブドウポーションはガバルがギルドに帰ってから登録しておいてくれるそうだ。
「それで、今後の流れですが……」
蓮はグランとガバルに調べてほしいことを依頼。
実際に1樽から1000杯分のポーションが売れたのかどうか。
溢したり何かしらの理由で足りないことが発生しないかを確認。
次に、どの味が人気なのかを確認。
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