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異世界生活:グリーデン編

眠り熊

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蓮の思い描いていること。
それぞれにお願いしたいこと。

分かりやすく端的に伝えた。

桜やグラン、リルやドラコはすぐに頷いたが、ユグドラシルは沈黙。

少しの間を空けてから返事をした。

「どうしても納得できないことがあります」

やはり、今だに人間の立ち入りを許可はできないのだろう。
はたまた、規模を大きくし過ぎているため、果物の供給自体を断るのだろうか。
そうなれば今までの話しはなかったことになる。

ユグドラシルに嫌な思いをしてほしくはない。
ユグドラシルの意思を尊重しようと蓮は続く言葉を待った。

「ずっと気になっていた事でもあります」

ずっと気になっていた。
後者のようだ。
人間は傲慢な生き物。
果物の味や効果を知れば、再び森への侵入者が増える可能性がある。

わざわざ助長するような行為を見過ごすわけにはいかないということか。

蓮は今までの話しが無駄になるため、皆に自身の身勝手を謝罪しようとした。

「私だってヒマワリ様と遊びたいんです。それをいつもいつも……」

ユグドラシルはそう言いながら恨めしそうにリルを見た。
向日葵の毛を掴んでよじ登る遊びに付き合っているリルが『我に言われてもな……』と困った表情を浮かべている。

蓮は拍子を抜かれ体勢を崩した。

それを見てユグドラシルが『どうされました?』と不思議そうに尋ねた。

「すみません。あまりの深刻そうな表情に他の事を考えてまして……」

「深刻です!この街に来てから抱っこしてないんですよ!?毎度毎度他の者の背に乗って!」

その言葉を聞いてドラコは、矛先を向けられることを恐れて、そそくさと向日葵の傍に行き、よじ登りやすいようにお尻を支えた。

逃げたな……。
全員の心が一致した。
流石のリルやドラコもユグドラシルにはあまり強く言い返せない。

これは強さや存在などの問題ではない。

幼馴染のお姉さんには誰も逆らえないあの感じだ。

今までリルの背中に乗るたびに向けていた笑顔は、苛立ちを隠す笑顔だったようだ。

「向日葵隊員!緊急ミッションだ!こっちに来てくれ!」

「あい!」

蓮が唐突に発したの言葉に、向日葵の順応速度は速かった。

よじ登っていた毛から手離し、綺麗に着地。
素早く蓮の元に駆け寄り敬礼をして返事した。

ちなみにアクションスターのように着地したが、高さは30cmセンチメートル程度だ。

蓮はそのまま向日葵を抱き上げ、ユグドラシルの膝に乗せた。

「ひまちゃんは、ユグドラシルさん好き?」

「うん!やさしくてねぇ。きれいでねぇ。あまいのくれるの!」

最後に食い意地の張った言葉が出ていたが、ユグドラシルには聞こえていない。

『はぁ!ヒマワリ様!』と言いながら膝に乗る向日葵を抱き締めた。
まるで不足していた栄養を補充するかのように離さない。

「それで、森への立ち入りの件なんですけど……。あのぉ……」

「え?あ、すみません。なにかおっしゃられてました?今少し余裕が無くて」

向日葵を抱き締めることに全身全霊を注ぎ過ぎて声が届くまでに時差がある。
何とか届いた蓮の声に『レン様にお任せします』という言葉が返ってきた。

「えっと……。うん。全面的にご協力頂けるようで何よりですね……。うん。ごゆっくりどうぞ」

蓮の言葉にユグドラシルは親指を立て返事をした。
よほど我慢していたのだろう。

門前で神威を発動した時には、すでに苛立っていたのだろうと蓮は一連の言動を思い返した。


話し終えるのを見計らったかのように、ベアードが料理を運んできた。

「待たせたな。まだあるからドンドン食いな」

食べなくても分かるほどの、美味しい。
一気に涎が出る。

「方向性は決まったんだ。詳細は明日にして食事にしよう」

金額設定、納品頻度、管理方法など、決めなければならないことは多くあるが、方向性が決まったため、明日には職人ギルドに話に行けそうだ。

グランも『一度ガバルさんも交えて3人で話そうか』と話し合いに前向きだ。

話し合いと食事を終え、周囲が暗くなる頃に夜を告げる4度目の鐘がグリーデンを包む。

向日葵の隣の席で食事をしたユグドラシルは機嫌を取り戻した。
まるで、世話を焼くことを生きがいにしているようだ。

向日葵の号令でご馳走様。

ベアードに食事の感想や感謝を伝えると『お前ら本当に人族か?』と聞かれた。
ベアード以外にも、猫人族の女性従業員が2人居たが、2人も同じことを口にしたそうだ。

その言葉を聞いてグランが『うちでも、同じ話があったぞ』と笑った。
蓮や桜が冒険者ギルドで受付をしている兎人族のミミィに優しい対応をしたことで、同じく受付の犬人族のソフィと同じ話をしていたそうだ。

そう話すグランはとても嬉しそうだ。
きっとグラン自身にも差別意識がないのだろう。
それが異世界人の血を引くものだからなのか、持って生まれた性格なのかは分からないが、グランとで会えた事を嬉しく思った。

そして、今だにこの世界の人族の感覚には追い付けないものがある。
染まらないように気を付けようとも強く感じた。

「ベアードは宿も経営している。今日はそこに泊ると良い」

ベアードの宿屋は部屋数も多く、広さの割に値段も安い。
本来は獣人優先の宿だが、グランの計らいとベアードが蓮たちに好印象を覚えた事から許可がおりた。

小熊のしっぽから移動すること徒歩10分。

飲食街の香りが途切れるか途切れないか程度の距離。

窓がいくつも見える2階建ての大きな宿屋に着いた。

肉球の前に家のマークが描かれてた看板。
その下には眠り熊と書かれている。

「すみません。グランさんとベアードさんの紹介で泊まりに来たのですが……」

蓮がそう言うと受付の奥からベアードと同じ黒い毛で覆われてた丸耳の黒髪で細身の女性が出てきた。

髪がショートヘアだが、ボーイッシュな感じはなく、可愛らしい顔立ちをしている。
ベアードの娘さんだろうか。

「主人から聞いてます。いらっしゃいませ」

その言葉に蓮は驚きの声を上げた。

ベアードの妻の名はツキノ。
ベアードと月のが並んだ姿を見て、美女と野獣と言っても誰も責めはしないだろう。


ツキノは驚く蓮を不思議そうに見ながら部屋に案内してくれた。

リルは裏の従魔専用の小屋。
蓮達は建物内の二階の部屋。
窓からリルの居る小屋が見える。

かなり大きくベッドも人数分。
ソロではなく複数名でパーティを組んでいる冒険者が泊まる用の部屋だそうだ。

こちらの世界ではパーティであれば男女で部屋を分けたりしないのだろうか。
用意された部屋以外は埋まっているそうで、今夜は同じ部屋で寝ることとなった。

「たまにはいいかもね」

少し恥ずかしい気もするが、並んだ5つのベッドを寄せて1つにし、『誰が向日葵と寝るのか問題』を未然に防いだ。

結果、向日葵はご満悦の表情を浮かべながら秒速で眠りについた。

「うん。ひまちゃん嬉しそうだもんね」

桜も同意見のようだ。

リルがトラブルを起こさないか不安だが、蓮達は浄化クリーンで綺麗にして眠りについた。
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