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第3章 剣術競技祭で刃を向けられる者
第13話 剣術競技祭開幕
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1週間が経ち、王立ハストル学院では剣術競技祭が幕を開けた。
「はぁ……校長の話、長かったなぁ……」
開会式を終え、クラスの控え場所に戻っているハルクはそんな文句を漏らしている。
「校長の話が長いのはいつもの事だから、諦めた方が良いよ?」
「次は寝るようにしよう……目を開けながら寝れるかな……?」
「だめだよ、真面目に聞かなきゃ」
「冗談だから気にしないで」
冗談というのはもちろん、目を開けながら寝る事だ。
「今日はお互い頑張ろうっ!」
レイシアがそう言った時だった。
シャルアが3人に近付いてきた。
「シルフィ! あの日の恨み、今日はらしてやる! 覚悟しておけ!」
シャルアが変な性癖を暴露してから、彼はシルフィのせいで恥を晒したと言いがかりをつけているのだ。
その怒りは半端ではなく、3日前にシルフィはシャルア率いる男子生徒達に拉致され、倉庫に監禁された。
そして、危うく服を剥かれようとしたときに、倉庫ごと魔術で吹き飛ばして返り討ちにした。
そんな事もあって、シャルアが何をしてくるのか分からない。
「正々堂々と挑んでくれる事を期待してるわ」
シルフィはそれだけ口にしてクラスの控え場所に向かうのだった。
「あいつ……クラス対抗戦術戦で最初に再起不能にしてやるか……」
控え場所でハルクが何やら物騒な事を口にしたのを聞いた者はいなかった。
* * *
『ついに始まりました、剣術競技祭! 今年も実況は剣術講師のウエト・ケリニアがお送りします!』
放送席からマイクを通して、実況のウエトの声が会場内に響き渡る。
『皆様、お待たせしました! 最初の競技、一年生のクラス対抗戦術戦、第一試合、2組対4組の選手の入場です!』
実況の熱い声に、観客の喚声が沸き起こる。
「最初は4組か。手加減はしないようにな」
「しないわよ」
「見下したら足元をすくわれる事くらい、クラスのみんなは分かってるよ」
会場の初期位置に向かうレイシアとハルクがそんな会話を交わす。
そして5分後、フィールドに変化が現れた。
『この競技は、ランダムに生成されるフィールド内を、クラス全員で生き抜くものです。最終的に生き残ったと判定された選手の多いチームが勝利となります! 判定は、攻撃をあてられた部位を元に審判が残存生命力を計算、死亡判定が出された選手はフィールド外に出されます!』
相変わらず熱のこもった実況に歓声が上がる。
「さあ、我らの本気を見せる時が来た!」
「作戦名、千対一! 発動準備!」
歓声の中、四組の生徒たちは年頃の痛々しい病気のような台詞を放っていた。
「はぁ……校長の話、長かったなぁ……」
開会式を終え、クラスの控え場所に戻っているハルクはそんな文句を漏らしている。
「校長の話が長いのはいつもの事だから、諦めた方が良いよ?」
「次は寝るようにしよう……目を開けながら寝れるかな……?」
「だめだよ、真面目に聞かなきゃ」
「冗談だから気にしないで」
冗談というのはもちろん、目を開けながら寝る事だ。
「今日はお互い頑張ろうっ!」
レイシアがそう言った時だった。
シャルアが3人に近付いてきた。
「シルフィ! あの日の恨み、今日はらしてやる! 覚悟しておけ!」
シャルアが変な性癖を暴露してから、彼はシルフィのせいで恥を晒したと言いがかりをつけているのだ。
その怒りは半端ではなく、3日前にシルフィはシャルア率いる男子生徒達に拉致され、倉庫に監禁された。
そして、危うく服を剥かれようとしたときに、倉庫ごと魔術で吹き飛ばして返り討ちにした。
そんな事もあって、シャルアが何をしてくるのか分からない。
「正々堂々と挑んでくれる事を期待してるわ」
シルフィはそれだけ口にしてクラスの控え場所に向かうのだった。
「あいつ……クラス対抗戦術戦で最初に再起不能にしてやるか……」
控え場所でハルクが何やら物騒な事を口にしたのを聞いた者はいなかった。
* * *
『ついに始まりました、剣術競技祭! 今年も実況は剣術講師のウエト・ケリニアがお送りします!』
放送席からマイクを通して、実況のウエトの声が会場内に響き渡る。
『皆様、お待たせしました! 最初の競技、一年生のクラス対抗戦術戦、第一試合、2組対4組の選手の入場です!』
実況の熱い声に、観客の喚声が沸き起こる。
「最初は4組か。手加減はしないようにな」
「しないわよ」
「見下したら足元をすくわれる事くらい、クラスのみんなは分かってるよ」
会場の初期位置に向かうレイシアとハルクがそんな会話を交わす。
そして5分後、フィールドに変化が現れた。
『この競技は、ランダムに生成されるフィールド内を、クラス全員で生き抜くものです。最終的に生き残ったと判定された選手の多いチームが勝利となります! 判定は、攻撃をあてられた部位を元に審判が残存生命力を計算、死亡判定が出された選手はフィールド外に出されます!』
相変わらず熱のこもった実況に歓声が上がる。
「さあ、我らの本気を見せる時が来た!」
「作戦名、千対一! 発動準備!」
歓声の中、四組の生徒たちは年頃の痛々しい病気のような台詞を放っていた。
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