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日本
敗残兵、日本に帰る
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・・・タカと別れてから2年後・・・・
バンコクの私と中田さんの土産物店はすっかり経営が行き詰まっておりました。
当初まずまずのスタートを切ったこのお店もしばらくすると問題が山積みになり、遂に累積赤字が膨らみ始めておりました。
「トミーさん。どうします?」
タニヤの居酒屋での重役会議(?)で中田さんが聞きます。
「う~ん。タイ人の店員もどんどん扱いにくくなってますし、赤字もふえてますからねえ」
「これ以上、赤字が膨らむとヤケドしますよ」
「やっぱり商売は日本でやる方が堅いですかね」
「やめますか?」
「やめましょう!」
というわけで敗残兵トミーはまたまた日本へ。。
さて、帰国したものの・・・当座の食い扶持を稼ぐ方法といえば私に思いつくのは
あの露店です。
「よし、お店を出しに行こう!」
懐かしの露店街。宮城さんの姿を探します。
・・・「あ、宮城さん!」
「ん?あ!冨井さんか?ひさしぶりだなあ。どうした?」
「はあ、実はバンコクの店を閉めてきましたのでまたこっちに出させて欲しいんですけど」
「おお、そうか。それは構わんよ。明日からでも出してくれ。それよりなあ・・」
宮城さんが何か言いかけたとき。
「師匠おお~っ!!」遠くから呼ぶ声が?あの声はまさか・・。
「・・・・いやあ、タカもね、戻ってきてるんだよ・・・・」
たこ焼き屋台からタカが走ってきます。
「師匠!おかえりなさい!!」
「タカ。お前どうしたの?就職したんだろう?」
「押忍。でもすぐ辞めちゃったんですよ」
タカの話によると勤めだして3ヶ月ほどは一生懸命真面目に働いていたのですが、ひとりの先輩社員の新人いびりが激しく・・ついカッとなってボディに軽く入れたところ、先輩は悶絶・・・会社で問題になり辞めざるを得なくなったそうです。
「まあ、むこうが悪いんですから。オレは別に気にしてないし」
う~ん。がっかりするやら・・でも思わぬ弟子との再会はうれしくもあり。
「それより師匠。技を見てください。稽古は欠かしてませんから」
「おおそうか。うん。見せてみろ」
タカはその場で構えるとシャドウボクシングのように突き蹴りのコンビネーションを始めます・・・スゴイ・・・以前にも増してハイスピード。
素早く左右足をスイッチしての連続蹴り・・・以前はバラバラだったパンチと蹴りのコンビネーションがなめらかに一体化しております。
最後に気合をいれて残心・・「押忍。どうですか?」
「すごく上達してるよ、タカ。どこか道場に通っているのかい?」
「なに言ってるんですか。オレは師匠の弟子ですよ。勝手に他の道場に行けるわけないじゃないですか」
「・・・・タカ・・・」
私はこの言葉に思わず胸がつかえて声がでませんでした。
・・・二年もほったらかしだった私を今でも師であると思ってくれているのか・・。
ま、このころのタカはこんなしおらしいことも言ったものですが最近では・・・
私がちょっともたつくと「師匠はでぶだから邪魔!どいて」
それでもまだもたついていると「おい、でぶ!どけっ!」
・・・って。仮にも師匠に向かってでぶはないだろう。でぶはっ!
とにかく技の上達ぶりは素晴らしく、おそらく組手では私は二度とタカに勝つことは出来ないだろうと思いました。
またタカは私の言い付けどおり、かなりの読書量をこなしたらしくずいぶん知的なことも言うようになってきました。
もう彼も二十歳です。成長しています。
・・・が、たったひとつ成長していなかったのは・・・すぐキレること。
バンコクの私と中田さんの土産物店はすっかり経営が行き詰まっておりました。
当初まずまずのスタートを切ったこのお店もしばらくすると問題が山積みになり、遂に累積赤字が膨らみ始めておりました。
「トミーさん。どうします?」
タニヤの居酒屋での重役会議(?)で中田さんが聞きます。
「う~ん。タイ人の店員もどんどん扱いにくくなってますし、赤字もふえてますからねえ」
「これ以上、赤字が膨らむとヤケドしますよ」
「やっぱり商売は日本でやる方が堅いですかね」
「やめますか?」
「やめましょう!」
というわけで敗残兵トミーはまたまた日本へ。。
さて、帰国したものの・・・当座の食い扶持を稼ぐ方法といえば私に思いつくのは
あの露店です。
「よし、お店を出しに行こう!」
懐かしの露店街。宮城さんの姿を探します。
・・・「あ、宮城さん!」
「ん?あ!冨井さんか?ひさしぶりだなあ。どうした?」
「はあ、実はバンコクの店を閉めてきましたのでまたこっちに出させて欲しいんですけど」
「おお、そうか。それは構わんよ。明日からでも出してくれ。それよりなあ・・」
宮城さんが何か言いかけたとき。
「師匠おお~っ!!」遠くから呼ぶ声が?あの声はまさか・・。
「・・・・いやあ、タカもね、戻ってきてるんだよ・・・・」
たこ焼き屋台からタカが走ってきます。
「師匠!おかえりなさい!!」
「タカ。お前どうしたの?就職したんだろう?」
「押忍。でもすぐ辞めちゃったんですよ」
タカの話によると勤めだして3ヶ月ほどは一生懸命真面目に働いていたのですが、ひとりの先輩社員の新人いびりが激しく・・ついカッとなってボディに軽く入れたところ、先輩は悶絶・・・会社で問題になり辞めざるを得なくなったそうです。
「まあ、むこうが悪いんですから。オレは別に気にしてないし」
う~ん。がっかりするやら・・でも思わぬ弟子との再会はうれしくもあり。
「それより師匠。技を見てください。稽古は欠かしてませんから」
「おおそうか。うん。見せてみろ」
タカはその場で構えるとシャドウボクシングのように突き蹴りのコンビネーションを始めます・・・スゴイ・・・以前にも増してハイスピード。
素早く左右足をスイッチしての連続蹴り・・・以前はバラバラだったパンチと蹴りのコンビネーションがなめらかに一体化しております。
最後に気合をいれて残心・・「押忍。どうですか?」
「すごく上達してるよ、タカ。どこか道場に通っているのかい?」
「なに言ってるんですか。オレは師匠の弟子ですよ。勝手に他の道場に行けるわけないじゃないですか」
「・・・・タカ・・・」
私はこの言葉に思わず胸がつかえて声がでませんでした。
・・・二年もほったらかしだった私を今でも師であると思ってくれているのか・・。
ま、このころのタカはこんなしおらしいことも言ったものですが最近では・・・
私がちょっともたつくと「師匠はでぶだから邪魔!どいて」
それでもまだもたついていると「おい、でぶ!どけっ!」
・・・って。仮にも師匠に向かってでぶはないだろう。でぶはっ!
とにかく技の上達ぶりは素晴らしく、おそらく組手では私は二度とタカに勝つことは出来ないだろうと思いました。
またタカは私の言い付けどおり、かなりの読書量をこなしたらしくずいぶん知的なことも言うようになってきました。
もう彼も二十歳です。成長しています。
・・・が、たったひとつ成長していなかったのは・・・すぐキレること。
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