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ボウイとの出会い
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昼過ぎには私以外のゲストはすべて出て行ってしまいましたので、さびしい限りです。
「いつもこんな調子なの?」
ゲストハウスの受付の男性に尋ねます。
「ああ、最近はめっきりお客が減ってねえ。困ったもんだよ。昔は賑やかだったんだけどね。まあそれでも多分、もうそろそろ新しいお客が何人かは来るさ。誰も来ないってことはめったにないんだ」
「そうか。じゃあ僕は街を歩いてくるけど、帰って来た頃には誰か来てるよね」
「ああ、多分」
私はバンコクのときと同様に、まず街を歩き回ることによって、ここの空気に慣れようと思っていました。
外に出ると・・・熱い。。前にも書きましたが「暑い」ではなく「熱い」のです。
日本を出るときには、体力を維持するため毎日ランニングを日課にしようと決めていたのですが冗談じゃない。
10mも走らないうちにぶっ倒れてしまうでしょう。
まずは歩く。歩いて歩いて、この熱さに慣れなきゃいけない。
この日から私は毎日コロンボの町を歩き回りましたが、これが正直、ハンパじゃなく面白かった。
見るもの聞くものすべてが面白い。この面白さをこのつたない文章をお読みの皆様に、なんとかお伝えしたいものなのですが、私の文章力では伝わるかどうか。。
コロンボの町はなかなかの都会ですが、バンコクとはかなり雰囲気が違う。
オフィス街に行くと、この暑い中ネクタイを締めたホワイトカラーを見かけますが、同時にサリーを着た女の人もいる。ノラ牛に遭遇するというインドチックな風景も随所に見られる。
そして騒がしい!
コロンボ市内の道路には、信号と言うものがありません。
そこを走るクルマには、譲り合いの精神などかけらもありませんから、やたらクラクションを鳴らす。
道路を横断するのは、かなりスリルがある。
横断歩道などもちろんありませんから、高速道路を横断するようなものです。
「テロや内戦に巻き込まれるより、交通事故に会うほうが確率が高い」・・・中田さんが言ってた通りです。
「ハロー!マイフレンド」
コロンボを歩いていて、私は何度こう声をかけられたことか。
・・・お前みたいな友達はいないぞ・・・
「フレンド。どこへ行くんだ?OKOK!ノープロブロブレムだ。宝石の安い店を知っているよ。スリランカは宝石が安いから、日本に持って帰れば君もリッチマンさ。さあ早くしないと売り切れるぞ」
「あのなあ・・・お前、僕がそんな金持ちに見えるか?」
「金か?金のことなら心配しなくていい。君はフレンドだから安くするようにボクが言ってあげるから。クレジットカードでもOKさ。あ、どこへ行く・・・・ほらタクシーを止めるから行こう」
「行かないよ!」
早足で立ち去ろうとしますが・・・・こいつがしつこい。追いかけてきます。
「どうしたんだいマイフレンド。宝石はいらないのか?じゃあバティックの店に案内するよ」
「バティックならインドネシアのほうが有名だぞ」
「NO!NO!インドネシアのはプリントさ。スリランカのはホンモノの手作り。ずっと高級だぜ」
「いらないよっ!僕は土産物を買いに来たんじゃない。あっちへ行け」
犬を追い払うような手つきで言います・・・が。。
「OK。それならガイド料をくれ。200ルピーでいいよ。さあくれ」
いいかげん私もぶち切れます。
「アホか!お前は。いつお前がガイドしたんだよ。お前はフレンドって言ったろうが。お前は友達にガイド料を請求するのかよ!」
「なあ・・・マイフレンド。タバコ持ってるか?タバコくれよ」
「フレンド、フレンドってなあ、僕はお前の名前も知らないぞ。名前も知らない友達なんかいるかよ」
「俺の名前はボウイと呼んでくれ。フレンド、お前の名前は?」
「ハルヨシ・トミイだ。覚えたか?」
「ハラ・・・トミー?トミーだな覚えたぜ。ほら友達だ」
ええ・・・いちいち書いていたらキリがありませんが、こんな調子。
とにかくスリランカ人は客引き(ガイドボーイと呼ばれる)や物乞いが、おそろしくしつこい。
私は立ち止まって話しているわけではなく、早足で振り切ろうとしているのですが、ずっとついてくるのです。
・・・いい加減振り切らなきゃな・・・ん?!あれはなんだ??・・・
道沿いのブロック塀にたくさんのポスターが貼られています。
日本ならサラ金のポスターが大量に貼られているのをよく見かけますが、あんな調子で張られているのは
・・・・KARATE・・・?
立ち止まって壁一面に張られているポスターを眺めます。
その大量のポスターすべてに”KARATE”の文字が。
空手衣を着てポーズをとる男の写真。ボディビルのように筋肉を見せている男の写真。
さらにはなぜかブルース・リーやジャッキー・チェンの写真まで。。
「ああ、トミー。お前は日本人だったな。カラテをやるのかい?」
「・・・なあ、スリランカってもしかして空手が流行ってるの?」
「すごいブームだよ。いまじゃクリケットよりも人気があるかもな。オレもやってるよ」
「え、お前、空手やるの?」
「ああ。いまどきコロンボで空手やるのって珍しかないぜ。今頃ならこの先のお寺でもやってるよ」
「お寺で空手を?本当か?」
「ああ、見に行くかい?・・・よし、じゃああれに乗っていこう」
ボウイは言うなり三輪タクシーを止めます。
ちょっと話は横にそれますが・・・
コロンボの三輪タクシーはインド方面でひろく見られる「オートリクシャー」と同じものです。
ガイドブックなどにはこの「オートリクシャー」あるいは英語の「スリーウィーラー」という言葉で紹介されていますが、現地で一番通用する通り名は「トゥクトゥク」です。
そう、タイ語の「トゥクトゥク」がスリランカでも定着しているのだ。
トゥクトゥクに乗りこむとボウイが言います。
「スリランカにM・Oが来たことがあるんだぜ。M・O・・・知ってるか?」
・・・知らないわけが無い!超有名な空手家の名前です。
「M・Oはな、バッファローを素手で殺したんだぜ!世界一強い男さ」
・・・牛殺しの伝説が、このスリランカにまで知られているとは!
私は、ちょっと・・・いや、かなり感動しました。
「ボウイ。コロンボに空手道場はどのくらい有るんだ?」
「さあ・・とにかく沢山あるよ。トミーが街に出てトイレを見つけるより空手道場を見つける方が簡単だね。あ、あそこの寺だ」
お寺の境内に入ると・・・やっています。これはすごい。
あきらかなスリランカ人以外にも白人が数名混じっています。
本格的な稽古をしている。
私は、いままでスリランカなどではどうせまともに空手をやるものなど、そうそういるまいとタカをくくっていました。私のようなインチキでも、まあなんとかなるだろうと。
しかしこれは・・・・これはとんでもないところに・・・中川先生も私を派遣してくれたものだ。
早くも自信喪失気味です・・・・。
「いつもこんな調子なの?」
ゲストハウスの受付の男性に尋ねます。
「ああ、最近はめっきりお客が減ってねえ。困ったもんだよ。昔は賑やかだったんだけどね。まあそれでも多分、もうそろそろ新しいお客が何人かは来るさ。誰も来ないってことはめったにないんだ」
「そうか。じゃあ僕は街を歩いてくるけど、帰って来た頃には誰か来てるよね」
「ああ、多分」
私はバンコクのときと同様に、まず街を歩き回ることによって、ここの空気に慣れようと思っていました。
外に出ると・・・熱い。。前にも書きましたが「暑い」ではなく「熱い」のです。
日本を出るときには、体力を維持するため毎日ランニングを日課にしようと決めていたのですが冗談じゃない。
10mも走らないうちにぶっ倒れてしまうでしょう。
まずは歩く。歩いて歩いて、この熱さに慣れなきゃいけない。
この日から私は毎日コロンボの町を歩き回りましたが、これが正直、ハンパじゃなく面白かった。
見るもの聞くものすべてが面白い。この面白さをこのつたない文章をお読みの皆様に、なんとかお伝えしたいものなのですが、私の文章力では伝わるかどうか。。
コロンボの町はなかなかの都会ですが、バンコクとはかなり雰囲気が違う。
オフィス街に行くと、この暑い中ネクタイを締めたホワイトカラーを見かけますが、同時にサリーを着た女の人もいる。ノラ牛に遭遇するというインドチックな風景も随所に見られる。
そして騒がしい!
コロンボ市内の道路には、信号と言うものがありません。
そこを走るクルマには、譲り合いの精神などかけらもありませんから、やたらクラクションを鳴らす。
道路を横断するのは、かなりスリルがある。
横断歩道などもちろんありませんから、高速道路を横断するようなものです。
「テロや内戦に巻き込まれるより、交通事故に会うほうが確率が高い」・・・中田さんが言ってた通りです。
「ハロー!マイフレンド」
コロンボを歩いていて、私は何度こう声をかけられたことか。
・・・お前みたいな友達はいないぞ・・・
「フレンド。どこへ行くんだ?OKOK!ノープロブロブレムだ。宝石の安い店を知っているよ。スリランカは宝石が安いから、日本に持って帰れば君もリッチマンさ。さあ早くしないと売り切れるぞ」
「あのなあ・・・お前、僕がそんな金持ちに見えるか?」
「金か?金のことなら心配しなくていい。君はフレンドだから安くするようにボクが言ってあげるから。クレジットカードでもOKさ。あ、どこへ行く・・・・ほらタクシーを止めるから行こう」
「行かないよ!」
早足で立ち去ろうとしますが・・・・こいつがしつこい。追いかけてきます。
「どうしたんだいマイフレンド。宝石はいらないのか?じゃあバティックの店に案内するよ」
「バティックならインドネシアのほうが有名だぞ」
「NO!NO!インドネシアのはプリントさ。スリランカのはホンモノの手作り。ずっと高級だぜ」
「いらないよっ!僕は土産物を買いに来たんじゃない。あっちへ行け」
犬を追い払うような手つきで言います・・・が。。
「OK。それならガイド料をくれ。200ルピーでいいよ。さあくれ」
いいかげん私もぶち切れます。
「アホか!お前は。いつお前がガイドしたんだよ。お前はフレンドって言ったろうが。お前は友達にガイド料を請求するのかよ!」
「なあ・・・マイフレンド。タバコ持ってるか?タバコくれよ」
「フレンド、フレンドってなあ、僕はお前の名前も知らないぞ。名前も知らない友達なんかいるかよ」
「俺の名前はボウイと呼んでくれ。フレンド、お前の名前は?」
「ハルヨシ・トミイだ。覚えたか?」
「ハラ・・・トミー?トミーだな覚えたぜ。ほら友達だ」
ええ・・・いちいち書いていたらキリがありませんが、こんな調子。
とにかくスリランカ人は客引き(ガイドボーイと呼ばれる)や物乞いが、おそろしくしつこい。
私は立ち止まって話しているわけではなく、早足で振り切ろうとしているのですが、ずっとついてくるのです。
・・・いい加減振り切らなきゃな・・・ん?!あれはなんだ??・・・
道沿いのブロック塀にたくさんのポスターが貼られています。
日本ならサラ金のポスターが大量に貼られているのをよく見かけますが、あんな調子で張られているのは
・・・・KARATE・・・?
立ち止まって壁一面に張られているポスターを眺めます。
その大量のポスターすべてに”KARATE”の文字が。
空手衣を着てポーズをとる男の写真。ボディビルのように筋肉を見せている男の写真。
さらにはなぜかブルース・リーやジャッキー・チェンの写真まで。。
「ああ、トミー。お前は日本人だったな。カラテをやるのかい?」
「・・・なあ、スリランカってもしかして空手が流行ってるの?」
「すごいブームだよ。いまじゃクリケットよりも人気があるかもな。オレもやってるよ」
「え、お前、空手やるの?」
「ああ。いまどきコロンボで空手やるのって珍しかないぜ。今頃ならこの先のお寺でもやってるよ」
「お寺で空手を?本当か?」
「ああ、見に行くかい?・・・よし、じゃああれに乗っていこう」
ボウイは言うなり三輪タクシーを止めます。
ちょっと話は横にそれますが・・・
コロンボの三輪タクシーはインド方面でひろく見られる「オートリクシャー」と同じものです。
ガイドブックなどにはこの「オートリクシャー」あるいは英語の「スリーウィーラー」という言葉で紹介されていますが、現地で一番通用する通り名は「トゥクトゥク」です。
そう、タイ語の「トゥクトゥク」がスリランカでも定着しているのだ。
トゥクトゥクに乗りこむとボウイが言います。
「スリランカにM・Oが来たことがあるんだぜ。M・O・・・知ってるか?」
・・・知らないわけが無い!超有名な空手家の名前です。
「M・Oはな、バッファローを素手で殺したんだぜ!世界一強い男さ」
・・・牛殺しの伝説が、このスリランカにまで知られているとは!
私は、ちょっと・・・いや、かなり感動しました。
「ボウイ。コロンボに空手道場はどのくらい有るんだ?」
「さあ・・とにかく沢山あるよ。トミーが街に出てトイレを見つけるより空手道場を見つける方が簡単だね。あ、あそこの寺だ」
お寺の境内に入ると・・・やっています。これはすごい。
あきらかなスリランカ人以外にも白人が数名混じっています。
本格的な稽古をしている。
私は、いままでスリランカなどではどうせまともに空手をやるものなど、そうそういるまいとタカをくくっていました。私のようなインチキでも、まあなんとかなるだろうと。
しかしこれは・・・・これはとんでもないところに・・・中川先生も私を派遣してくれたものだ。
早くも自信喪失気味です・・・・。
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