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海賊編 第十一章 黒煙竜
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そういえば、大事な話があると言っていたロンは力を蓄えたいからと言ってまた黒い棺の中で眠り込んでしまった。
フォーチューン国に着いたら起きると言っていたが本当かどうかわからない。
それに、ウェイルが言っていた‘知った真実‘とはなんなのだろうか?
黒煙竜という心強い?仲間を手に入れたけれども、未だに闇の帝国に関しては、わからないことだらけだ。
船旅は、順調に進んだ。
一応客人であるラセに対して、クレイとチャナの嫌がらせもない。
まあ、避けられている感は、思いっきりあるのだが。
トタプのおいしい料理を食べて、アンナ達と雑談して、ラセは、楽しい日々を過ごしていた。
「ラセ」
夜更けに、ルイが控えめに船室を訪ねてきた。
「なに?」
「星を見ないか?二人で」
「うん!」
ラセは、こっそりと船室を抜け出すと、甲板に出た。
夜風が心地よい。
見張り台に上ると、星空が近くなる。
「肌寒くないか?」
「大丈夫。ルイの隣は暖かい」
ラセが、寄り添うと、ルイは硬直した。
初心な反応がラセを楽しませる。
「約束守るの、遅くなってごめん、な」
「うんん。ルイはちゃんと守ってくれた。それだけでうれしい」
ラセが空を見上げると、星が流れた。
「あ!今流れ星があった」
「本当か!」
ルイは、無邪気に流れ星を探す。
「あ、また!」
ラセが指差すとすぐに消えてしまう。
「ラセばっかり、見つけられてずるいぞ」
「ルイも目を凝らして居れば、見つけられる」
ラセとルイは、夜空を見上げた。
「なあ、流れ星に願い事したか?」
「流れ星に願い事は、しない。だって願いは、どんなに辛くても、自分が努力しないとかなわないことだって、知っているから」
純粋すぎた子供時代。
嘘を知らない真白な心。
大人たちに踏みにじられた、悲しい記憶。
「それに、今、幸せだから、これ以上望んだら、罰が当たってしまう」
「ラセ。おれ、ラセの事が、す」
ラセは、すかさず、ルイの口に指を押し付けた。
「まだ、言わないで。……ルイの気持ちはわかっているつもり。
私も嬉しいと思うけれども、でも、今はまだ、迷いがあるから。忘れられないから」
ルイは、ラセを優しく抱きしめた。
「俺は、いつまでも、待っているよ。ラセが、答えを見つけられるのを」
「……うん。ありがとう。ルイ」
ラセは、ルイに手を重ねた。
このぬくもりを今度こそ、失いたくないと思った。
「ひさしぶり」
無事にフォーチューン国の本島に辿りついたラセ達は、役所にいたホークとキラーに歓迎された。
「元気していたかい?」
「キラー達こそ、元気そうでなにより」
再会を喜んでいると、背中を叩かれた。
振り返ると、眠たそうな、ロンが立っていた。
どうやら、ちゃんと起きてくれたらしい。
『大事な話がある。出来れば海の加護を得た王子を交えて』
ロンの言葉に、緊張が走る。
「関係者以外知られない方がいい?」
『可能ならば』
その時、ペンダントが淡く輝いた。
セントミアが外に出たがっているのだ。
「もうちょっと我慢して」
ラセは、小声でセントミアに話しかけた。
すると、光が収まった。
「私の屋敷でいいか?」
ホークの提案にラセ達は同意した。
フォーチューン国に着いたら起きると言っていたが本当かどうかわからない。
それに、ウェイルが言っていた‘知った真実‘とはなんなのだろうか?
黒煙竜という心強い?仲間を手に入れたけれども、未だに闇の帝国に関しては、わからないことだらけだ。
船旅は、順調に進んだ。
一応客人であるラセに対して、クレイとチャナの嫌がらせもない。
まあ、避けられている感は、思いっきりあるのだが。
トタプのおいしい料理を食べて、アンナ達と雑談して、ラセは、楽しい日々を過ごしていた。
「ラセ」
夜更けに、ルイが控えめに船室を訪ねてきた。
「なに?」
「星を見ないか?二人で」
「うん!」
ラセは、こっそりと船室を抜け出すと、甲板に出た。
夜風が心地よい。
見張り台に上ると、星空が近くなる。
「肌寒くないか?」
「大丈夫。ルイの隣は暖かい」
ラセが、寄り添うと、ルイは硬直した。
初心な反応がラセを楽しませる。
「約束守るの、遅くなってごめん、な」
「うんん。ルイはちゃんと守ってくれた。それだけでうれしい」
ラセが空を見上げると、星が流れた。
「あ!今流れ星があった」
「本当か!」
ルイは、無邪気に流れ星を探す。
「あ、また!」
ラセが指差すとすぐに消えてしまう。
「ラセばっかり、見つけられてずるいぞ」
「ルイも目を凝らして居れば、見つけられる」
ラセとルイは、夜空を見上げた。
「なあ、流れ星に願い事したか?」
「流れ星に願い事は、しない。だって願いは、どんなに辛くても、自分が努力しないとかなわないことだって、知っているから」
純粋すぎた子供時代。
嘘を知らない真白な心。
大人たちに踏みにじられた、悲しい記憶。
「それに、今、幸せだから、これ以上望んだら、罰が当たってしまう」
「ラセ。おれ、ラセの事が、す」
ラセは、すかさず、ルイの口に指を押し付けた。
「まだ、言わないで。……ルイの気持ちはわかっているつもり。
私も嬉しいと思うけれども、でも、今はまだ、迷いがあるから。忘れられないから」
ルイは、ラセを優しく抱きしめた。
「俺は、いつまでも、待っているよ。ラセが、答えを見つけられるのを」
「……うん。ありがとう。ルイ」
ラセは、ルイに手を重ねた。
このぬくもりを今度こそ、失いたくないと思った。
「ひさしぶり」
無事にフォーチューン国の本島に辿りついたラセ達は、役所にいたホークとキラーに歓迎された。
「元気していたかい?」
「キラー達こそ、元気そうでなにより」
再会を喜んでいると、背中を叩かれた。
振り返ると、眠たそうな、ロンが立っていた。
どうやら、ちゃんと起きてくれたらしい。
『大事な話がある。出来れば海の加護を得た王子を交えて』
ロンの言葉に、緊張が走る。
「関係者以外知られない方がいい?」
『可能ならば』
その時、ペンダントが淡く輝いた。
セントミアが外に出たがっているのだ。
「もうちょっと我慢して」
ラセは、小声でセントミアに話しかけた。
すると、光が収まった。
「私の屋敷でいいか?」
ホークの提案にラセ達は同意した。
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