盗賊は風を纏い、海賊は水を纏う。

盗賊編 第二章 デチャニーがロティーラとセイハを狙う理由

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　デチャニーは、海賊で、眺めの良い海の上で、寝ていた。

　デチャニーには、アンナと名付けた、色気のある娘がいた。
　海賊仲間の間でも、アンナは、人気者で、デチャニーは、とても大事にしていた。

　ある時、好きな人が、いるので、どうすればよいかと、相談された。
　アンナの想い人が、セイハではないかと勘繰ったデチャニーは、急に、ロティーラの存在が邪魔に思えた。
　デチャニーが、思い悩んでいる時、黒ずくめの爺が目の前に現れた。

『おまえさん。ロティーラの事を嫌っておるな』
「爺。おれの気持ちがわかるのか？大好きなアンナの願いを叶えてやれない虚しい気持ちが」
『ロティーラとセイハを連れてくるがよい。
　大丈夫。ロティーラは、わしの手で始末してやるわい。
　そのかわり、セイハとの関係が進むかどうかは、おまえさんら次第じゃが』
「ロティーラを始末したって、セイハはきっとロティーラの事を忘れないだろう」
『人の心に憎しみを植え付ける薬をわしはすでに作り上げておる。
　大丈夫。セイハは、ロティーラの事を憎むようになるだろう』
「ほ、ほんとうなのか？爺？」

　デチャニーは、神様にすがるような気持ちで黒ずくめの爺を見た。

『一刻も早く、捕えて、連れてくるのじゃ』

　黒ずくめの爺は、現れた時と同様に、唐突に姿を消した。


「アンナの幸せの為ならば」


　デチャニーは、誰にも知られないように、ロティーラ達の捜索を開始した。