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友達を庇う為には自己犠牲は必要不可欠だった……
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しおりを挟むすがすがしい朝だ。
多少部屋が籠っているのを除けば。
平良と古森はそのまま寝てしまったようだ。
目のやり場に困るので落ちていた布団をかけ直してやる。
それにしても幸せそうな寝顔だな。
おれは二人を見てなぜか羨ましく思えてきた。
この日からおれの悪夢は無くなった。
怖かったから一か月位平良の家に泊まり込んで(もはや効果音は気にせん)ようやく自宅でも安心して眠れるようになった。
よかった。よかった。
でもあのメールはなんだったんだろうな?
もしかして、おれに平良と古森の仲を認めてもらいたかっただけだったとか?
まさかな?
「あの?職員室ってどちらでしょうか?」
おれが一人で廊下を歩いていると声をかけられた。
この学校の制服ではない。
転校生だろうか?
すらっとした佇まい。
きれいな金髪。
天然か?
おれと比べて全然痛んでいない。
この顔どこかでみたことがあるような気がするんだよな?
雰囲気も誰かに似ているような?
「あの?」
おれが黙り込んだままだった為か、転校生?が再度呼びかけてくる。
「ああ、悪い。職員室ならそこの角を左に曲がってすぐだ」
「ありがとうございます」
転校生はとてもきれいに微笑んだ。
その微笑みになぜかおれは釘づけになっていた。
「貴方とはいいお友達になれそうですね」
「え?あ、ああ」
差し出された手があまりに冷たくて、一瞬ビクッとした。
あれ?この冷たさ?やっぱりどこかで?
「それでは、失礼致します」
おれがひっしに思い出そうとしていると転校生?の手が離れた。
すたすたと遠ざかる背中をおれはいつまでも見つめていた。
まさか、この出会いがおれの人生を再び狂わせることになるとは、このときはみじんも思っていなかったのだ。
完
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