魔宝石 

覗見ユニシア

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≪眠りの花≫編

✡プロローグ✡

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 学校の帰り道。
 わたしは、ため息をついた。

(いつも暇だ。家に帰っても誰も居ない。
 一年前に死んじゃった、じいちゃんのくれたお守り。
 これだけが唯一わたしの宝物。
 友達のゆりかも転校していない。
 ……とても遠い居所へ行きたい)

 と、思った時、周りの音が掻き消えて、一人の占い師が姿を現した。

「いらっしゃいませ。不思議な占い屋へ。あなただけにいいことを教えましょう」
「いいこと?」
(なんだろう?いいことって?)

「それは、呪文です。高いところから落ちながら
 『我に相応しい所へ連れて行け』
 と唱えれば、ワープします」
 と言って占い師は消えた。

 にぎやかな喧騒が、また街に戻って来た。
 わたしは、占い師に教わった呪文を試すことにした。

(確か『我に相応しい所へ連れて行け』だったよね)

 七階建てのマンションの上から落ちながら、
 わたしは『我に相応しい所へ連れて行け』と唱えた。
 そこで、わたしの意識は、途切れた。

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