53 / 61
第53話 絶対領域
しおりを挟む
道場を出ると、ブレイズは僕たちを夜のフィールドへと連れ出した。
頼りになる明かりはといえば、キングライブスの撮影用のライトだけで、辺りは漆黒の闇に包まれている。
夜は日中より危険なモンスターが出没するため、いままで外には出ないようにしていたのだけど、まさかこんなタイミングで出ることになるとは……。
こんな夜中に外に出て一体なにをしようというのか、僕はブレイズに疑問をぶつけた。
「あの、ブレイズさん。ここで一体なにを?」
「属性についてのお勉強の次は、実践練習ってやつだ。いいか、いまから見せるのが俺の最強の剣技、『絶対領域』。手取り足取り教える気はねぇ、実際に見て覚えろ」
絶対領域……それがブレイズの最強の剣技……。
《なんかめちゃくちゃ強そうな技だwwww》
《アカリちゃん大丈夫かな? 覚えられるかな?》
撮影用のライトに照らされる中、ブレイズが集中して刃気を溜め始めると、その周囲を丸い大きな半円状のオーラが覆っていく!
「そこにいるんだろお相手さん! ビビってねぇでさっさと出てきやがれッッッ!」
ブレイズが叫ぶと、闇の中からうなり声をあげながら、モンスターの群れが現れた!
あれは……ナイトウルフ……! 夜になり昼間とは比べものにならないほど、獰猛で狂暴になったモンスターだ! そのBPは昼間のおよそ十倍と、戦闘能力が飛躍的に上昇している。
闇に紛れたナイトウルフに、僕とアカリはまったく気づけなかったのに、ブレイズは気づいていたのか……!
ざっと三十匹はいようかというその数、つい先日チート級の強さを見せつけたアカリといえども、すべてを一撃で倒すことは不可能だろう。
僕とアカリが急いでブレイズの後ろに回ると、その動きを追うようにして、ナイトウルフの群れが一気にブレイズに襲いかかってきた!
《うわぁあぁあああぁ! どうすんだブレイズ~!》
《死んだ! 絶対死んだぁああぁあぁああぁああ!》
《いくらブレイズさんでも、これだけの数をいっぺんにはぁああぁああぁあ!》
阿鼻叫喚と化すコメントとは裏腹に、落ち着き払った様子でブレイズは剣を構えた。薄闇の中、その眼光がひときわ鋭く光る!
「この不可侵の『領域』に足を踏み入れることは、何人たりとも不可能ッッッ! 入れるもんなら入ってみやがれモンスターァアァアアッッッッ!」
ナイトウルフの群れがブレイズの半円状のオーラに触れた瞬間、まるで聖域への侵入者を拒むかのように、強烈な斬撃を浴びてすべて弾き飛ばされた!
「グォオオオォオオオォオオオッッッッッッ!」
それも一方向ではなく、ブレイズの絶対領域はオーラに触れたすべての角度からの攻撃を弾き、同時に致命的なダメージを与え、あれほどいたナイトウルフの群れは一瞬にして壊滅してしまった!
《な、なんじゃこりゃああぁあぁあぁああッッッ!》
《ブレイズヤバすぎワロタwwww》
《要するに、あの半円状のオーラに触れた敵は、すべて返しの斬撃を浴びて弾き飛ばされるわけか!》
《いや、それって控えめに言って『無敵状態』ってことじゃね?wwww》
《すべての攻撃を受け付けない無敵状態草》
《こんなんどうやって攻略すればいいのよwwww》
ブレイズのあまりの強さに驚愕し、言葉を失う僕たち。
「いまのが俺の最強の剣技、絶対領域だ。ジイサンも修行のとき、敵との『間合い』が一番大事だとしつこいほど言ってたろ? ありゃジイサンの口癖みたいなもんだが、あながち間違っちゃいねぇ。なぜなら、その間合いを極めた技こそが、俺のこの絶対領域だからだ」
間合いを極めた……。なるほど、この領域により敵がそれ以上近づけないからこそ、ブレイズは常に敵との間合いを保って、戦闘を有利に進めていけるのか……!
モンスターとの戦闘が終わり、剣を納めるのかと思いきや、剣を握ったままブレイズは言った。
「さあアカリ、次はお前の番だぜ?」
頼りになる明かりはといえば、キングライブスの撮影用のライトだけで、辺りは漆黒の闇に包まれている。
夜は日中より危険なモンスターが出没するため、いままで外には出ないようにしていたのだけど、まさかこんなタイミングで出ることになるとは……。
こんな夜中に外に出て一体なにをしようというのか、僕はブレイズに疑問をぶつけた。
「あの、ブレイズさん。ここで一体なにを?」
「属性についてのお勉強の次は、実践練習ってやつだ。いいか、いまから見せるのが俺の最強の剣技、『絶対領域』。手取り足取り教える気はねぇ、実際に見て覚えろ」
絶対領域……それがブレイズの最強の剣技……。
《なんかめちゃくちゃ強そうな技だwwww》
《アカリちゃん大丈夫かな? 覚えられるかな?》
撮影用のライトに照らされる中、ブレイズが集中して刃気を溜め始めると、その周囲を丸い大きな半円状のオーラが覆っていく!
「そこにいるんだろお相手さん! ビビってねぇでさっさと出てきやがれッッッ!」
ブレイズが叫ぶと、闇の中からうなり声をあげながら、モンスターの群れが現れた!
あれは……ナイトウルフ……! 夜になり昼間とは比べものにならないほど、獰猛で狂暴になったモンスターだ! そのBPは昼間のおよそ十倍と、戦闘能力が飛躍的に上昇している。
闇に紛れたナイトウルフに、僕とアカリはまったく気づけなかったのに、ブレイズは気づいていたのか……!
ざっと三十匹はいようかというその数、つい先日チート級の強さを見せつけたアカリといえども、すべてを一撃で倒すことは不可能だろう。
僕とアカリが急いでブレイズの後ろに回ると、その動きを追うようにして、ナイトウルフの群れが一気にブレイズに襲いかかってきた!
《うわぁあぁあああぁ! どうすんだブレイズ~!》
《死んだ! 絶対死んだぁああぁあぁああぁああ!》
《いくらブレイズさんでも、これだけの数をいっぺんにはぁああぁああぁあ!》
阿鼻叫喚と化すコメントとは裏腹に、落ち着き払った様子でブレイズは剣を構えた。薄闇の中、その眼光がひときわ鋭く光る!
「この不可侵の『領域』に足を踏み入れることは、何人たりとも不可能ッッッ! 入れるもんなら入ってみやがれモンスターァアァアアッッッッ!」
ナイトウルフの群れがブレイズの半円状のオーラに触れた瞬間、まるで聖域への侵入者を拒むかのように、強烈な斬撃を浴びてすべて弾き飛ばされた!
「グォオオオォオオオォオオオッッッッッッ!」
それも一方向ではなく、ブレイズの絶対領域はオーラに触れたすべての角度からの攻撃を弾き、同時に致命的なダメージを与え、あれほどいたナイトウルフの群れは一瞬にして壊滅してしまった!
《な、なんじゃこりゃああぁあぁあぁああッッッ!》
《ブレイズヤバすぎワロタwwww》
《要するに、あの半円状のオーラに触れた敵は、すべて返しの斬撃を浴びて弾き飛ばされるわけか!》
《いや、それって控えめに言って『無敵状態』ってことじゃね?wwww》
《すべての攻撃を受け付けない無敵状態草》
《こんなんどうやって攻略すればいいのよwwww》
ブレイズのあまりの強さに驚愕し、言葉を失う僕たち。
「いまのが俺の最強の剣技、絶対領域だ。ジイサンも修行のとき、敵との『間合い』が一番大事だとしつこいほど言ってたろ? ありゃジイサンの口癖みたいなもんだが、あながち間違っちゃいねぇ。なぜなら、その間合いを極めた技こそが、俺のこの絶対領域だからだ」
間合いを極めた……。なるほど、この領域により敵がそれ以上近づけないからこそ、ブレイズは常に敵との間合いを保って、戦闘を有利に進めていけるのか……!
モンスターとの戦闘が終わり、剣を納めるのかと思いきや、剣を握ったままブレイズは言った。
「さあアカリ、次はお前の番だぜ?」
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
転生したら神だった。どうすんの?
埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの?
人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。
異世界でスローライフを送りたいと願ったら、最強の投擲術を手に入れました
佐竹アキノリ
ファンタジー
過労死してしまった南伊吹は、せめて次の人生ではスローライフを送りたいと願う。神様はその願いを叶えてくれたのだが――得られたスキルは「投擲術LV MAX」
「そっちのスローじゃねえ!」
平穏な暮らしをしたい伊吹の思いに反して、彼の投擲術はあまりにも強すぎて、あちこちから依頼が舞い込み、放っておいてはくれない。石を投げれば魔物の大群は吹き飛び、ドラゴンだって宇宙の彼方まで飛んでいく!
波瀾万丈の生活を抜け出すことはできるのか!? 伊吹の最強スロー(投擲)ライフが今始まる!
※小説家になろうでも投稿しています
勇者がレベル1でも仲間が全て最強クラスなら世界を救えるんじゃないか説
採点!!なんでもランキング!!
ファンタジー
魔王の城に新しい魔王が誕生し、世界は滅亡の危機に瀕していた。
勇者フラジールが成人の日、夢の中で世界を救うようにお告げに現れた精霊。
しかし、その勇者はなんと、自分では『全く戦わない勇者』だった。
戦わない代わりに、裏から仲間をサポートしたり、道具やお金の管理をしたり、パーティーのマネジメントに奮闘する勇者がいてもいいじゃないかと。
自身は一切戦うことなく、最強の仲間を揃えれば、世界は救えるんじゃないか?という仮説を立てて、勇者フラジールは冒険に旅立った。
【完結】おじいちゃんは元勇者
三園 七詩
ファンタジー
元勇者のおじいさんに拾われた子供の話…
親に捨てられ、周りからも見放され生きる事をあきらめた子供の前に国から追放された元勇者のおじいさんが現れる。
エイトを息子のように可愛がり…いつしか子供は強くなり過ぎてしまっていた…
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
召喚アラサー女~ 自由に生きています!
マツユキ
ファンタジー
異世界に召喚された海藤美奈子32才。召喚されたものの、牢屋行きとなってしまう。
牢から出た美奈子は、冒険者となる。助け、助けられながら信頼できる仲間を得て行く美奈子。地球で大好きだった事もしつつ、異世界でも自由に生きる美奈子
信頼できる仲間と共に、異世界で奮闘する。
初めは一人だった美奈子のの周りには、いつの間にか仲間が集まって行き、家が村に、村が街にとどんどんと大きくなっていくのだった
***
異世界でも元の世界で出来ていた事をやっています。苦手、または気に入らないと言うかたは読まれない方が良いかと思います
かなりの無茶振りと、作者の妄想で出来たあり得ない魔法や設定が出てきます。こちらも抵抗のある方は読まれない方が良いかと思います
悠々自適な転生冒険者ライフ ~実力がバレると面倒だから周りのみんなにはナイショです~
こばやん2号
ファンタジー
とある大学に通う22歳の大学生である日比野秋雨は、通学途中にある工事現場の事故に巻き込まれてあっけなく死んでしまう。
それを不憫に思った女神が、異世界で生き返る権利と異世界転生定番のチート能力を与えてくれた。
かつて生きていた世界で趣味で読んでいた小説の知識から、自分の実力がバレてしまうと面倒事に巻き込まれると思った彼は、自身の実力を隠したまま自由気ままな冒険者をすることにした。
果たして彼の二度目の人生はうまくいくのか? そして彼は自分の実力を隠したまま平和な異世界生活をおくれるのか!?
※この作品はアルファポリス、小説家になろうの両サイトで同時配信しております。
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる