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第51話 始動
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翌日。しばしの休息を終えた僕たちは、ブレイズに修行をつけてもらうため動き出した。
あのあとテンペンは町を追われ、道場が閉鎖されたことから、町では行き場を失った門下生たちが、新しい『受け皿』を求めて大移動する事態となっていた。
当然ブレイズの道場もその内の一つ(というか一番人気の移動先)であり、あまりに入門希望者が多すぎたことから、朝昼晩の3交替制で門下生を入れ替え、道場を運用していくことが決まった。
門下生のまとめ役はウォルカさんが務めることに決まり、指導役はもちろんブレイズ、そのサポートにゼインさんとミモザさんという体制だ。
あまりに人気がありすぎて朝から晩にかけてはブレイズの時間が取れないため、僕たちが指導を受けられるのは夜の時間帯だけとなった。
事情を理解した僕は、自室でアカリと作戦会議を開く。
「ブレイズさんの指導を受けられるのは夜だけ……。となると、それまでの時間帯になにをするかが問題だね」
「ブレイズさんもミモザさんもお話する時間もないくらい、とっても忙しそうでしたもんね……。夜までのあいだ、わたしたちがなにをするべきか……」
アカリとしばらく話し合った結果、朝から晩にかけてはこの近辺の冒険配信やバトル配信で収益を貯めていき、夜からはブレイズの指導を受けるという流れに決まった。
これで将来的にまとまったお金ができたら、イーストシティに自分たちだけのホーム、事務所を持とうという夢を僕が語ると、アカリはその大きな目をキラッキラに輝かせて喜んでくれた。
「わあっ! 夢みたいなお話ですねっ! はやくそのときがきてほしいな~」
「これまでずっと、出会った方々のお世話になりっぱなしだったからね。配信が軌道に乗ってきたら、おかみさんやゼインさんたちを事務所に招いて、お礼ができたらいいね」
これまでのキングラの収益がまとめて振り込まれるのは、来週の予定となっている。僕たちにとって配信で稼いだ初めての収益であり、視聴者さんにご支援いただいた大切なお気持ちでもある。けして無駄遣いをせず、大事に大事に使っていかないとな。
今後の方針を決めた僕たちは、キングラを起動して配信をスタートした。ここからブレイズの指導を受ける夜まで、毎日頑張って収益を貯めて、配信の実績づくりをしていくんだ。
フィールドに出ると、周辺の探索やモンスターとのバトルを繰り広げ、辺りが暗くなるまで僕たちは配信を盛り上げた。
「みなさん、長時間のご視聴本当にありがとうございました。ここからは冒険を切り上げブレイズとの修行になりますので、どうかチャンネルはそのままで」
《おおっ、いよいよブレイズに修行をつけてもらえるのか!》
《よかおめ》
《ここにたどり着くまでガチで長い道のりだったよな~wwww》
《まさか目指す師匠が剣を捨ててるとか、そんな特殊事情は予想できないもんな》
《当初の願いどおりブレイズが師匠になってくれて、アカリちゃん本当によかったね……(泣)》
視聴者さんたちの言うとおり、ここにたどり着くまで本当に長い道のりだったので、ブレイズに剣を教えてもらえるということが感慨深い。
あのとき、バズる才能視でブレイズの破格の数値を目にしてから、ようやくここまでこれた。そして、苦労した分その教えは、きっとアカリにとってかけがえのないものとなるはずだ。
「いよいよだね、アカリ」
「はいっ! ブレイズさんの教えを自分のものにできるように、がんばりますっ!」
《アカリちゃんがんば~!》
《千里の道も一歩からなのだ~!》
視聴者さんたちのエールを受けながら、道場に戻ってきた僕たち。
中に入ると、ブレイズは僕たちの帰りを待ってくれていた。
あのあとテンペンは町を追われ、道場が閉鎖されたことから、町では行き場を失った門下生たちが、新しい『受け皿』を求めて大移動する事態となっていた。
当然ブレイズの道場もその内の一つ(というか一番人気の移動先)であり、あまりに入門希望者が多すぎたことから、朝昼晩の3交替制で門下生を入れ替え、道場を運用していくことが決まった。
門下生のまとめ役はウォルカさんが務めることに決まり、指導役はもちろんブレイズ、そのサポートにゼインさんとミモザさんという体制だ。
あまりに人気がありすぎて朝から晩にかけてはブレイズの時間が取れないため、僕たちが指導を受けられるのは夜の時間帯だけとなった。
事情を理解した僕は、自室でアカリと作戦会議を開く。
「ブレイズさんの指導を受けられるのは夜だけ……。となると、それまでの時間帯になにをするかが問題だね」
「ブレイズさんもミモザさんもお話する時間もないくらい、とっても忙しそうでしたもんね……。夜までのあいだ、わたしたちがなにをするべきか……」
アカリとしばらく話し合った結果、朝から晩にかけてはこの近辺の冒険配信やバトル配信で収益を貯めていき、夜からはブレイズの指導を受けるという流れに決まった。
これで将来的にまとまったお金ができたら、イーストシティに自分たちだけのホーム、事務所を持とうという夢を僕が語ると、アカリはその大きな目をキラッキラに輝かせて喜んでくれた。
「わあっ! 夢みたいなお話ですねっ! はやくそのときがきてほしいな~」
「これまでずっと、出会った方々のお世話になりっぱなしだったからね。配信が軌道に乗ってきたら、おかみさんやゼインさんたちを事務所に招いて、お礼ができたらいいね」
これまでのキングラの収益がまとめて振り込まれるのは、来週の予定となっている。僕たちにとって配信で稼いだ初めての収益であり、視聴者さんにご支援いただいた大切なお気持ちでもある。けして無駄遣いをせず、大事に大事に使っていかないとな。
今後の方針を決めた僕たちは、キングラを起動して配信をスタートした。ここからブレイズの指導を受ける夜まで、毎日頑張って収益を貯めて、配信の実績づくりをしていくんだ。
フィールドに出ると、周辺の探索やモンスターとのバトルを繰り広げ、辺りが暗くなるまで僕たちは配信を盛り上げた。
「みなさん、長時間のご視聴本当にありがとうございました。ここからは冒険を切り上げブレイズとの修行になりますので、どうかチャンネルはそのままで」
《おおっ、いよいよブレイズに修行をつけてもらえるのか!》
《よかおめ》
《ここにたどり着くまでガチで長い道のりだったよな~wwww》
《まさか目指す師匠が剣を捨ててるとか、そんな特殊事情は予想できないもんな》
《当初の願いどおりブレイズが師匠になってくれて、アカリちゃん本当によかったね……(泣)》
視聴者さんたちの言うとおり、ここにたどり着くまで本当に長い道のりだったので、ブレイズに剣を教えてもらえるということが感慨深い。
あのとき、バズる才能視でブレイズの破格の数値を目にしてから、ようやくここまでこれた。そして、苦労した分その教えは、きっとアカリにとってかけがえのないものとなるはずだ。
「いよいよだね、アカリ」
「はいっ! ブレイズさんの教えを自分のものにできるように、がんばりますっ!」
《アカリちゃんがんば~!》
《千里の道も一歩からなのだ~!》
視聴者さんたちのエールを受けながら、道場に戻ってきた僕たち。
中に入ると、ブレイズは僕たちの帰りを待ってくれていた。
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