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第44話 援軍
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「会場のみなさま、お待たせしました! 今大会を見事に優勝されましたチームゼイン、そしてアカリ選手による優勝者インタビューでーす!」
「いよっ! 待ってました~!」
「アカリちゃ~ん! キャ~キャ~!」
「そうそう、あんなにちっちゃくて可愛いのに、すっごく強いんだよ! それまでは全然知らないチャンネルだったんだけど、この大会で一気にファンになっちゃったな!」
ステージ上、会場全体から響く凄まじい大歓声の中、ブレイズを加えた僕たちチームゼインの優勝者インタビューが始まった。
来たときはあんなに懐疑的な視線ばかりが並んでいたのに、優勝後はすっかりスター扱いになっていたのは、本当にビックリしてしまった。
僕たちの横には準優勝となったテンペン陣営もおり、苦虫をかみつぶしたような顔でこちらを見ている。
ハラキリは敗戦がよほどこたえたのだろうか、会場にその姿はなく、テンペンと数人の門弟のみがインタビューに答えていた。
「まずはアカリ選手! 見事優勝となったわけですが、いまのお気持ちは!」
「は、はい! ぜったいにあきらめずに最後までがんばろうと決めていたのですが、結果のことはなにも考えていませんでした。この優勝はわたしひとりの力ではなく、みなさんのお力でつかんだ優勝だと思います」
「なるほど~。謙虚なアカリ選手らしいコメントですね。会場の方々も配信を視聴された方々も、みなさん感動の勝利だったと思いますよ」
「け、謙虚だなんてそんな……。はい、わたしなんかが少しでもみなさまのお役にたてたのでしたら、本当にうれしいです」
司会者によるインタビューが続く中、僕はタイミングを見計らって、ずっと裏で動いてもらっていた『ある人』を呼んだ。
そう、僕にとってこの優勝者インタビューは、ただのインタビューじゃないんだ。
キングライブスでメールを送ると、『その人』はあの『証拠』を携えて、会場に現れた。
現れた『その人』の顔を見て、テンペンの表情が驚愕に歪む。
「き……貴様なぜここに……! 具合が悪いと会場行きは断ったのではなかったのか……!」
テンペンの問いに、『その人』は否定の意味を込めて首を振った。
あの日から僕がずっと裏で連絡を取り続けてきた『その人』とは、テンペン道場の師範代ウォルカさんだった。
謎の人物の登場に、ざわつく会場。
《誰だあの人?》
《なんか影薄いけど……》
《ああ、あの人だよあの人! ほら、アカリちゃんたちが初日にテンペン道場に行ったときに、最初に出迎えてくれた人!》
《そうか、あの人か! なんか喉まで出かかってたモヤモヤが晴れたwwww》
《お前たしか以前モブとか失礼なこと言ってたよなwwww》
《言ったかそんなこと? もはやそれすら覚えてないけどwwww》
《そんなことより、あの人が一体なにしにきたんだ? まさかテンペン陣営に肩入れ?》
ウォルカさんとアイコンタクトをすると、僕は司会者からマイクを奪い叫んだ。
「みなさんお聞きください! 今回準優勝となったこのテンペン道場は、武道会で好成績を納め続けることで、この町一番の人気道場にまで成長しました! でも、実はそれには『裏』があったんです!」
「いよっ! 待ってました~!」
「アカリちゃ~ん! キャ~キャ~!」
「そうそう、あんなにちっちゃくて可愛いのに、すっごく強いんだよ! それまでは全然知らないチャンネルだったんだけど、この大会で一気にファンになっちゃったな!」
ステージ上、会場全体から響く凄まじい大歓声の中、ブレイズを加えた僕たちチームゼインの優勝者インタビューが始まった。
来たときはあんなに懐疑的な視線ばかりが並んでいたのに、優勝後はすっかりスター扱いになっていたのは、本当にビックリしてしまった。
僕たちの横には準優勝となったテンペン陣営もおり、苦虫をかみつぶしたような顔でこちらを見ている。
ハラキリは敗戦がよほどこたえたのだろうか、会場にその姿はなく、テンペンと数人の門弟のみがインタビューに答えていた。
「まずはアカリ選手! 見事優勝となったわけですが、いまのお気持ちは!」
「は、はい! ぜったいにあきらめずに最後までがんばろうと決めていたのですが、結果のことはなにも考えていませんでした。この優勝はわたしひとりの力ではなく、みなさんのお力でつかんだ優勝だと思います」
「なるほど~。謙虚なアカリ選手らしいコメントですね。会場の方々も配信を視聴された方々も、みなさん感動の勝利だったと思いますよ」
「け、謙虚だなんてそんな……。はい、わたしなんかが少しでもみなさまのお役にたてたのでしたら、本当にうれしいです」
司会者によるインタビューが続く中、僕はタイミングを見計らって、ずっと裏で動いてもらっていた『ある人』を呼んだ。
そう、僕にとってこの優勝者インタビューは、ただのインタビューじゃないんだ。
キングライブスでメールを送ると、『その人』はあの『証拠』を携えて、会場に現れた。
現れた『その人』の顔を見て、テンペンの表情が驚愕に歪む。
「き……貴様なぜここに……! 具合が悪いと会場行きは断ったのではなかったのか……!」
テンペンの問いに、『その人』は否定の意味を込めて首を振った。
あの日から僕がずっと裏で連絡を取り続けてきた『その人』とは、テンペン道場の師範代ウォルカさんだった。
謎の人物の登場に、ざわつく会場。
《誰だあの人?》
《なんか影薄いけど……》
《ああ、あの人だよあの人! ほら、アカリちゃんたちが初日にテンペン道場に行ったときに、最初に出迎えてくれた人!》
《そうか、あの人か! なんか喉まで出かかってたモヤモヤが晴れたwwww》
《お前たしか以前モブとか失礼なこと言ってたよなwwww》
《言ったかそんなこと? もはやそれすら覚えてないけどwwww》
《そんなことより、あの人が一体なにしにきたんだ? まさかテンペン陣営に肩入れ?》
ウォルカさんとアイコンタクトをすると、僕は司会者からマイクを奪い叫んだ。
「みなさんお聞きください! 今回準優勝となったこのテンペン道場は、武道会で好成績を納め続けることで、この町一番の人気道場にまで成長しました! でも、実はそれには『裏』があったんです!」
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