現世では底辺配信者の僕が『バズる才能視(ビジョン)』で異世界の美少女をプロデュースしました

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第21話 心強い味方

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 ゼインさんの案内で本日の宿泊部屋に着くと(もちろんアカリとは別室。これは……残念……なのか?)、僕たちは今後の作戦会議を開いた。

「まず、ゼインさんの話でおかしいと感じたのはこの点だよね。アカリも感じなかった?」

「言われてみれば……。さすがですトベさんっ!」

 いやいや、それほどでもと謙遜しながらも、僕は紙に自分が感じた『違和感』を書き出していった。

 その違和感とは、『武道会当日』にまるで図ったかのようにミモザさんの失踪事件が起きたことだ。

 なにか人に言えない重大な理由があって、ミモザさんが失踪してしまったことはわかる。でも、それがなぜ『武道会当日』だったんだ? あまりに話ができすぎているし、ただの偶然とは到底思えない。

 普通に大会が進行していれば、当時イーストエリアで最強の剣士だったブレイズが優勝していたことは間違いない。そのブレイズの棄権によってテンペンの道場が優勝という『利』を得たというのは、偶然というにはあまりに不自然すぎるというものだろう。

 それに、ミモザさんの残したあの『書き置き』……。

【ブレイズへ。直接姿を見せないままのお別れとなることを、どうかお許しください。ですが、わたしの存在があなたの重荷になることは、わたしにとって一番耐えがたいことなのです。わたしは剣を捨てます。あなたがいてくれたからこそ、辛い修行の日々にもいつも笑顔があふれていました。わたしのことは忘れて、どうか幸せになってください。ミモザ】

 『わたしの存在があなたの重荷になる』とはどういうことだ? それまで二人は共に辛い修行を乗り越え、愛を育んできたわけだろう。重荷になんかなるはずはなく、むしろブレイズはその存在に数えきれないほど助けられてきたはずだ。それまで良好だった二人の関係の中で、ミモザさんが突然自分のことを『重荷』だと考えてしまった理由とは……。

 自分が感じた違和感をまとめると、僕はアカリに言った。

「どう? アカリもこの件、なにか『裏』があるように感じないかい?」

「感じますっ! トベさんのお話に、はげしい説得力を感じますっ!」

 アカリの同意を得られて嬉しかったけど、問題はこの違和感の『正体』をどう突き止めていくかだ。

 疑惑のテンペンに聞いたところで、しらばっくれて警戒を強めてしまうだけ。なにも良いことはないし、その線から真相を探ることは難しいだろう。ゼインさんやブレイズにしても失踪の理由を知らないから現状に至ってしまっているのだから、やはり真相を聞き出せる人物は『一人』しかいない。

「アカリ、では、真相を知っている人物とは誰のことだろう?」

 アカリは少し考え込むと、自信なさげに同意を得るかのように答えた。

「……ミモザ……さん……?」

 そう、ミモザさんだ。

 失踪してしまったミモザさんの居場所を突き止めることが、現状考えうるもっとも効果的な策といえる。ミモザさんにその理由を聞ければ、すべての謎が解明するはずなんだ。

 でも、その問題を解決するにはまた、『新たな問題』が発生する。

 それは、ブレイズが長年捜し回っても見つけられなかったミモザさんを、一体どうやって見つけるのか? ということ。

《婚約者のブレイズですら見つけられなかったミモザさんを捜す……これは難問だよな……》

《どう考えたって無理だろ……。二十年前に消えた恋人をどうやって捜すんだよ……》

「でも、ミモザさんを見つけるのはむずかしいですよね……。ブレイズさんも思いあたる場所を捜されたでしょうから、わたしたちの力ではとても……」

 アカリの言うとおり、婚約者のブレイズですら見つけられなかった相手を、しかも失踪してから二十年後に捜し出すというのは、まるで雲をつかむような話だ。なんのアテもない僕たちに、そんな芸当ができるわけが……。

 ……いや、逆に考えてみよう。ブレイズにあって僕たちにないものを嘆いていても、なにも始まらない。『ブレイズになくて僕たちにあるもの』ってなんだ……?

《一体どうするんだトベ……?》

《お前の一声がなきゃ、このチャンネルはなにも始まんねぇんだぞ……》

 そのときだった。

 視聴者さんからのコメントを見ていた僕の脳裏に、天啓のような閃きが走ったのは。

 そうだ、僕たちは

 僕とアカリ、二人の力だけでは、どんなに頑張ってもできることは限られている。

 だが、いまの僕たちには、なによりも心強い『味方』がいるじゃないか。
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